表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/92

020 魔族リゲル


 魔族っていったいなんなのだろう。そもそも魔族ってどうやって生まれてきたんだろう。そういう根本的な部分も聞いとけばよかった。いつも大切なことって、後になって思い出すんだよな。 

 俺たちは魔族のリゲルを探してホールへ戻る。


「あの賑やかな人、魔族だったんだね。蝙蝠の亜人かと思った」


「羽以外は人間と変わらなかったもんね、魔族ってもっと不気味で怖い姿かと思ったよ」


「お父さんたちが戦った相手には、人と変わらない見た目の魔族も居れば、ケインの言うような怖い見た目の魔族もいたらしいよ」


「そか、そりゃそうだよな」


 俺たちはホールに戻るとゴルドギルド長が教えてくれた、蝙蝠の羽をもつ男「リゲル」をすぐ見つけた。探すまでもなく賑やかに過ごしており、周囲の目を集めてる。

 つか、囲んでるのほとんど女性だな。冒険者風の女性だけじゃなくて、どう見てもギルドと関係なさそうな町娘っぽい人までいるぞ。どんだけモテ男なんだ。ゴルドさんが言ってた「綺麗な娘をさらう」って話もあるし、魔族ってもしかして女好き? 気さくな男だから話しかけてみろってことだけど、この雰囲気の中に割って入るの気が引けるな……。


「チャラそう」


 アマンダがちょっと顔をしかめている。だよね。魔族ってこの国にとっては憎っくき怨敵って感じなのに、この人チャラすぎてそのイメージを重ねられない。なんか違う。細マッチョな体型に軽装な装備、そして顔が若い頃のジョージ・クルーニーにそっくりだ。そんな優しげで笑顔の眩しい色男が、綺麗な女性に囲まれキャッキャしてる。俺の中の魔族の脅威度がどんどん下がっていき嫉妬の気持ちがぐんぐん上昇していく感じだ。騎士団を数人で相手にできるって話は本当なのかな。

 

 観察スキルでリゲルを見る。


 < 骨格筋筋力比較 4.2 >


 うわ! 俺の4倍以上の腕力ってこと? 人間同士じゃこの筋力差ってありえなくない。俺が100kgの物を持ち上げれるとすれば(実際は無理)、この人、いやこの魔族は400kgの物が持ち上げられるってことだろ? アマンダの筋力ですら思い出すと悲しくなるけど、俺比較の1.6倍でビックリだったのに、いやいや有り得ない筋力だな……魔力はどうなんだ?


 < 魔力量比較 132 >


 は? 132? 132倍? 頭痛くなってきた。どういう魔力だ? 人間と根本的に規格が違うのか? こりゃ騎士団を数人で倒せるってのも眉唾じゃなさそうだな。騎士団の一個小隊がどのくらいの人数なのかとか知らないけど。これって人間の社会で自由に行動させていいの? 大丈夫なの?

 俺は観察で見た数値をアマンダに伝えると、かなり驚いた顔でリゲルを見る。


「私の身体強化スキルで筋力だけならいい勝負になるだろうし、直接的な戦いなら後は技術の勝負に持ち込めると思うけど、その魔力が脅威ね。そもそも魔法使いと戦ったことないし、対処の方法がわからないわ」


 この筋力の相手に技術の勝負に持ち込めるんだ! アマンダ恐るべし!

 俺の伝えた情報に一度は驚くも、すぐに冷静に分析し対策を考え始めるめるアマンダ。魔法への対処という未知の部分で悩んではいるが、こういう所ってホント武人って感じがする。でも経験がないことはさすがにどうにもならないよね。直接調べて納得したけど、やっぱり魔族って強敵なんだな。俺の中でかなり下がっていた脅威度が、最初のラインを突き破って大上昇してる。


「まぁ友好的ってことだし話しかけてみましょ」


「じゃぁ今回はアマンダに任せるよ。俺、ちょっとあの空気に入りたくない」


 女好きみたいだしね。あの女性だらけの空間に割って入って反感買うのいやだし。


 俺たちは女性に囲まれた魔族リゲルのもとへ行く。


「すみません、リゲルさん、少しお話いいでしょうか?」


 アマンダが話しかけると、周囲の女性からキッ! っと鋭い視線が向き俺はたじろぐ。まぁ女性達から見ればお目当てのリゲルのところへ他のいい女が現れたら邪魔でしかたないってところだろうな。

 リゲルはアマンダを見ると嬉しそうな顔で、席を立ちあがりこちらへ向き直る。


「どうしたのかな? 美しいお嬢さん。僕になんの用事かな?」


 そう言いつつススっとアマンダのとなりへ寄ってきてポンっと肩に手お置く。

 な! なんて気安い奴だ。ずっと一緒に居る俺でも、そんなスキンシップなんてとったことがないぞ。なんか腹立つ。

 そんなリゲルから、アマンダもススっと一歩引き、リゲルの手が離れる。

 いいぞ、アマンダ、そんな奴に触れさせちゃだめだ!

 リゲルはそんなアマンダの行動が意外と言わんばかりな表情となり、そしてニヤリとする。


「僕から身を引く女性なんて珍しいね……それで君たちはなんの用事なのかな?」


 俺とアマンダを調べるかのように交互に見てくる。


「行方不明になった両親について何か知らないかと思いまして。魔界にいってもう1年くらい帰ってこないんです」


 ちょっとぼかした言い方をするアマンダ。まぁこんな大勢人が居る場所で、両親の名前を出して身バレするのも問題かもしれないからね。これでもこの魔族が両親のことを知ってれば感づいてくれるかも。


「君の両親? 魔界に1年前?」


 そう言うとアマンダを見つつ、考える。そして何かに感づいたように驚いた表情となる。


「その顔、髪の色、そうか君が彼らの! そうかそうか、彼らを追ってきたんだな」


 うお! いきなり大本命? 両親を知ってるぞこの魔族。思ったよりあっさりアマンダの両親と合流できる?


「はい。両親を探しています! 知ってるんですね! お父さんとお母さんのこと」


 アマンダ、凄く嬉しそうだ。1年ぶりに聞く両親の情報なんだ、そりゃ嬉しいよな。


「ああもちろんだ、よく知ってる」


「お願いします! どうすれば会えるか教えてください、魔族領に行けば会えるんでしょうか?」


「まぁまぁ落ち着いて。ここじゃーなんだ、場所を変えよう。僕が魔族ってことは皆知ってることだけど、僕がここに居るのはイレギュラーなんだ。この国で僕が魔族として目立ちすぎちゃ困るんだよ。だから、そうだね、食事へ行こう!」


「「「え~」」」


 周囲の女性から不満の声が上がる。目立ちすぎちゃ困るって……あんためっちゃ目立ってるよ! この上なく目立ってるよ! なのに魔族として目立ちすぎたら困るって、意味わかんないぞ!

 女性たちをなだめつつ投げキスをしてギルドを出るリゲル。投げキスとかする人初めて見たよ。人じゃないけど!


 ギルドを出てリゲルが向かったのは食堂や酒場でもなく町の外だった。さらに街道を外れ、草原をしばらく歩く。これって大丈夫か? 人気のない所で襲われたりする? この人の強さ、けた外れだったしもしそんなだったらどうする? 俺のスキル通用するかな……。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ