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ぶれいぶすとーりー!2 ~佐藤唯は勇者です~  作者: なつみん
4:清帝国編
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9:清武祭 1

まずはぶれいぶすとーりー2 9:清武祭 1読んでいただきありがとうございます。

半年ぶりぐらいでしょうか?

私は元気にしておりました。しかし、まぁ色々ありました、ホントに色々。


それはそれとして……。


清武祭編始まります。

 第9章 清武祭


「清武祭……?ですか……」

「あぁ、これに出よう!ちなみに清の野にて武勇を競う祭典……、転じて清武祭と呼ばれるようになったらしい。古くからある風習で、世界的にも有名な祭りだから我こそは!とこぞって強者が集まる」

「へぇー。だから最近異邦人が増えてるのもそういうことか?」

 清に湯治に来てからもうすでに3週間が経とうとしていて、この街の雑踏にも慣れてきた頃合いだった。


「それもあるだろうが、大型輸送船キャトレーが2週間前にこの国の西端の港に着艦してるはずなんだ。キャラバンが到着したんじゃないか?」

「なるほどなぁ……。んで、話戻すんだが急にその、なんだっけ?清武祭に出ようってのは?」

「清武祭が数年に一度開催される時期はいつもこうなんだよ」

 この街に非常に詳しいロウにはやはり雑踏の中にもある程度の秩序があり、唯達からすればいつもより騒がしく感じられ街も、違う見方ができるらしい。


「まぁ、せっかくだ。湯に入っては食い、そして眠り。またその繰り返しの緩い時間も飽きてきた。いっちょ強い奴と戦って暇でも潰そうって訳よ」

「なるほどですね。確かに最近はクエストも受けず、ロウさんの屋敷で食っては酒飲みそして寝て。適当な時間に起きては酒を飲み……。アリアさんは少し動いた方がいいですね」

「あぁ……?なんか文句あっかセイラ」

「いえ、そういう訳じゃないですよ。ただ僕らの旅の目的を忘れそうになる時があったかも知れないので」


 唯一行の旅の最終目的は、魔王を倒すこと。

 この約3週間セイラや唯は日課の鍛練こそ欠かすことは無かったかが、今までの旅路のように、次の小さな目的を立てこなしていく様なことはなかった。

 いまいち緊張感やリアリティーのようなものに欠けていたように思えた。


「……ですねぇ……。思うところが無かったとは、たしかにわたしも言えません」

「ほぉーん。お嬢やセイラでもそう思うんだなぁ」

「僕もサボり癖がついってしまったのかも知れませんね……!」

「そりぁないだろさぁ」


 清武祭にはロビン以外が出場するという運びになった。

 ロビンは戦争でもないのに人に矢を射るのは怖いと、その時はほの暗い視線でいつもよりは飄々としてない声音だった。

 戦争は彼の中で一種のトラウマのようなものらしい。


「……いつか折りを見て話そうと思ってた事がありました。ロウさん」

「俺かい?」


 かくかくしかじか四角いムーヴ……。


「なるほどなぁ……、予想通りっちゃ予想通りだわなぁ……。はぁ……!にしてもアリアお前バカだなぁ……」

「ぁあ……!?」

「どうどう。押さえてください、アリアさん」

「俺の(作品)は何年経とうが何十年経とうが名刀である事、その一点に於いて不変の価値を持つだろうさ。だかなぁ20年も前のものが()としても、魔導具としても優れ続けている訳がないだろ……」

「……仕方ねぇだろ……。お前のモン以外が粗悪だと分かってても、他の良いものを知らないから何を持たせたらいいか分かんなかったんだ……!」


 子供の様に口を尖らせ拗ねたアリアは、容姿相応のようにも見えた。

 アリアはロウが作ったものそれが一級品と認め、だからこそそれ以外を良しとしなかった。

 そして母としては、子に少しでも良いものを持たせたかったとかそんなところだったらしい。


 そしてそんなアリアの気持ちとは別に、20年という時間は剣にはあまりにも長すぎた。

 唐突だかロウ・エンセイには鍛治士としての矜持があり夢がある。

 彼の目指すものとは、不変であり続ける剣。つまりは壊れない、刃零れもしない、メンテナンスフリー、100人乗っても大丈夫。

 そんな荒唐無稽な、100人居れば100人が出来たらいいね?出来たら。と、鼻で笑う夢物語。


 しかしロウも英雄の一行ひとり。100人とか1,000人とかそんな大多数の人間の外で、101人目1,001人目として、そんな夢を現実に出来る!と言う。

「何はともあれまずは見てからだ!」


 -----・-----・-----・-----


「……んっ。また、知らない場所ですかっ……」

 慣れとは実に恐ろしいものだと思う。

 しかし慣れてしまったものは仕方なく、こういうものに慣れる状況もその仕方ないから産まれている。


 瓦礫と灰と死の大地とでも言えばいいのか。

 彼女はまた知らない土地、いやたぶんおそらくきっと十中八九ほとんど間違いなく。

 一度は訪れたことのある場所や経験した出来事を元に、その未来や経験の追体験だと勝手に予測している。

 追体験はこうなってから今までに何度もそうなってきたからだ。


 もちろん今までもこれからも、彼女はこんな大地を歩いた経験や記憶はない。

 ならば今の現実か、1個の未来かそこまではよく分からない。


 すっぽりと羽織った外套に鼻や口元を覆うよう深く埋める。

 匂いがきつい……。

「きっとわたしのせい……、なんでしょうね……」

 現実にしろ、未来にしろ彼女のせいだとそう強く思ってしまっている。

 見るに堪えない壮絶な景色だし目を背けたい。が、彼女はそうはしなかった。


「もっと器用な女だと勝手に思ってましたよ。……おやっ…?」

 多少は既視感のあるような特徴的な景色にたどり着く。

 小高い丘に灰の風が吹き抜け、盆のように浅くくぼんだ大地を見下ろす。

 あぁ、ここか……。願いを語るある王の話を思い出した。

「……あなたの願いは叶わなかったかもしれません…。約束も果たせ無かったかも知れません。……ごめんなさい」


 ------・-----・-----・-----


 鍛治場に入りルーペや小さい鎚のような道具で、実際に見て触れて叩いて。

 真剣とは遠く、どちらかと言えばものぐさな彼の印象が覆る。

「……うーんやっぱりなぁ……。剣としてはもう使いモンになんねぇよ」

 骨董品、手入れもろくにできていない。刃零れ、大小様沙汰なひび。剣としても魔道具としてももうやはりダメらしい。

 むしろこれでよくやったと驚きの方が勝る程らしい。


「任せろ!お前さんに新しい剣を打ってやる。俺のオーダーメイドとは贅沢だぜぇ……!」

「お師!!あなたが……!あなたが剣を打つ時間なんって……!」

 鍛治場で剣を打っていた春が手を止めてまでロウに言及した。

「俺は俺が選びたい仕事を選ぶ。俺はよぉ、セイラが気に入ったんだ。正直セイラ程度の使い手はいくらでもおるさ」

「……ならっ!私でも、他の弟子にでも……!」

「セイラは強くなる!3週間弱見てそう思った。真面目すぎて遊びがねぇのがちと気になるし、なんなら面白みに欠ける。……がっ、それも一興よ!」


「あなたにしかできない事があって、あなたの剣を待つ人がどれだけ多くいらっしゃるのか考えた事がありますか……!」


 春の静かであまり大きくもない怒声が、鍛治場に重く低い唸りのように響いた。

 唾を飲む音さえ憚られるような、重い沈黙が流れる。


「……た、確かに順番は大事です…、よね?……はははっ。僕なら別のものでも……」

「……春お前さんは勘違いしてるな。俺のすべき事、天寿とも言い替えれるものはただの二つだ。魔王を倒すこと、最強の剣を造り出すこと。それ以外の全ては、今の地位は、お前さんや弟子は」

 飄々としている声音に聞こえるのに、ギラギラとした重たい意志が沈黙を塗りつぶす。


「……それら全てが副産物に過ぎず、俺の道に於いては最悪無くても構わんものだ」

「お前さんは仕事を忘れたのか?お前さんの仕事は俺の体調面の管理だ。その見返りとして春、お前さんは俺から技を学ぶ。そういう契約だ」


「それになぁ……、嬢ちゃんが勇者なのは分かるさ。でもなぁ……、やっぱり勇者には剣を持っていて欲しいと。その剣を自分が打ちてぇと願うのが、鍛治士ってもんだろうよ」


「……っ!……失礼します……」

 春はそう静かに残して鍛治場を後にした。


「お前そんなだったか……?」

「……変わったんだよ、20年前とは。あの頃は若かった」


「(……重ったぁ~……)」

 思わず一連の流れに重さを感じてしまう。

 飄々としているようで意外と余裕とかないのかもしれない。

「(当然と言えば当然ですか……。生きるか死ぬかなんですよね……)」


 世界と魔王と勇者と……。

 唯も命を掛けていると言ってもどこか他人事のように、プレイヤー感覚とでも言うのだろうか?

 真剣だがどこか真摯さに欠けるような、場違い感がある……。


「お前さんたち!手ぇ止まってるぞ!作業に戻った戻った!」


 ロウの一声に、また再びカンカンと鉄を打つ音が響く。

 ひそひそざわざわと、居心地が悪い感じはやはり拭えないのか、浮き足だっているのが分かる。


「……悪いなぁ~、変な気を使わせたかぁ?まぁ、どのみちこの剣は死んでる。お前さんには新しいもんが必要だわな」


 どこおいたっけなぁ~……とぼやきながら、奥の保管庫へ行きやがて戻って来た時には一振の剣を持っていた。


「すぐすぐに出来るもんでも無いから、これでも握って西武際でな……。いくぞ……ほいっ!」

「……って!おわっと重っ……!」


 ロウが軽々と投げた剣はまるで大岩でも持ち上げているのかと思うほど重く、鞘から抜いたそれは今までセイラ使っていたレイピアとは事なり、両刃の武骨な直剣だった。


「それはちと面白い剣でなぁ……。重心と体の使い方を学ぶのにちょうどいいんだわ。お前さんの剣は小手先は上手いんだが、根底がおざなりだからな。ちゃんとした師匠が居なかったのが残念だわな」

「……悪かったな!」


 アリアは、ふんっ!とそっぽを向き露骨に機嫌が悪くなったが、それに対して本当にお前さんが剣を教えてなけりゃ、もっと強く成ってだろうなと悪態で返していた。


「それに慣れる頃には少しはおもしろく育つと思うぞ」


 唯とアリアとセイラ、そして春とロウも今年は参加するらしい。

 この世界で我こそは猛者と自負する者達の熱い闘いが始まろうとしていた。


あとがきです。なつみんです。

次回予告、オラつぇー奴とたたけぇーてぇーぞ!と始まる清武祭!

セイラ王位への挑戦、唯とアリアと春と女の戦争。

テッテッテッテーテレッ!

半年以内目指して~、次回もサービスサービス!


はい。

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