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ブルー、負の覚醒

 ◆


 正面の門を蹴破って、中庭をズンズン進んだブルー。彼は中庭の中心にある噴水に興味を示したが、別に珍しい訳ではない。ちょっと喉が渇いていただけだ。

 しかしここで水を飲んだりすれば、またハンナに怒られるのは必定。

 であればブルーは噴水に背を向けて、正面に広がる豪壮な宮殿の一室を指差し、叫ぶことにした。


「たのもぉ! 俺はブルー・グラッツ! 強いんだぞぉ! ドラゴン、出て来い! 俺がぶちのめしてやる!」


 ブルーは水竜王である。

 ゆえにその鼻は、犬よりも遥かにきく竜種の中にあってさえ、冠絶した能力を誇る。そんな彼ならば同種である竜の居場所など、ちょっとクンクンするだけでお見通しなのだった。

 

 ブルーの眼前に広がる宮殿は、上弦の月に照らされて淡い輝きを湛えている。白い壁と、それを縁取る金の装飾がそうさせるのだろう。

 さらに、いたるところにある硝子窓からは、朱色みを帯びた灯りが溢れ、まるで夜に抵抗しているようだった。


 ブルーが指差した一室では、二つの影が揺れている。

 どうやらブルーは、見事に無視をされた様だった。


 今日のブルーは、全身を群青色の戦闘服で覆ってる。

 これは絹糸に魔力を込めて、オリハルコンと共に織られた生地で作られた、格闘士専用の戦闘服だ。

 しかし、あくまでも群青色なので地味である。


 だからブルーは、俺の服が地味だから気付かないのかな?


 などと、惚けた事を考えていた。

 あれだけ大きな音で壁を壊し、叫んで気付かれないはずがない。服は関係ないのだ。

 やっぱりブルーは馬鹿である。


 それはともかく、装備の説明をしよう。

 彼が両手に嵌めたガントレットは、拳に魔石をはめ込んである。魔石は、ドラゴン吐息ブレスや特殊攻撃をある程度無効化するものだ。

 これこそ、格闘士最強の対ドラゴン装備である。

 どちらの装備も金額でいうならば、十万ディナールは下らない装備。十万ディナールといえば、日本円に換算すれば一千万円である。

 もちろん、それはハンナが王国屈指のドラゴンスレイヤーであり、それによって巨万の富も得ていたからこそ、ブルーはこんな装備品を手に入れる事が出来たのだ。

 言うなれば、金持ちの馬鹿息子状態である。

 もっとも、ドラゴンが対ドラゴン装備をしている時点で、色々とおかしい。

 後の世にブルー・グラッツが述懐したところによれば、


「あれはハンナの遊び心だったのだろう」


 との事である。

 遊び心で十万ディナールをポンと出してしまうハンナ。やはり、とんでもない人だ。


 ともかく今、あくまでも人としてドラゴンと戦うブルーには、限りなく頼もしい二つの装備なのだった。


 一方のハンナ・グラッツは、昨夜の衝撃から未だに立ち直れて居ない。

 夜になってもガンガンする、そんな二日酔いの頭を抱えながら、噴水の縁の大理石に左手をつき、額を右手で覆っていた。

 彼女は青白い顔をして、時折口元を手で覆っている。胃からこみ上げてくるものがあるのだろう。

 しかも、朝起きたら自身は裸で、ブルーの両手が胸を触っていたのだから、未だに恥ずかしくて死にそうだった。

 顔色の方も今は青白いが、時折真っ赤になったりする。

 彼女は常人とは別の意味で、とてもメンドクサイ女性だったのだ。

 一応、いつも通り漆黒の鎧を身に纏い、大剣をその背に背負っているが、今日のハンナ・グラッツは、まるで役に立ちそうも無い。


「ブ、ブルー。戦闘を任せていいかしら?」

「おう! 任せとけ!」


 力強いブルーの返事に安堵して、噴水の縁に腰を下ろすハンナ。完全にダメな人である。

 二日酔いのままドラゴンと対峙しようなど、ハンナ・グラッツ以外の者はきっと考えもしないだろう。

 

 つまり、ハンナ・グラッツは雲竜クラウドドラゴンを舐めていた。

 自分ならば絶対に勝てるが、ブルーでも決して負けないだろうと考えていたのだ。


「おい、ドラゴン! 出てこないのなら、こっちからいくぞ! 建物をめちゃくちゃにするぞ!」


 なかなか姿を現さない雲竜クラウドドラゴンに、業を煮やしたブルー。言ってる事がめちゃくちゃだ。

 本来はルイードを助けに来たはずなのに、ドラゴンがいると分かった時点で、その宮殿を破壊して進入、挙句にドラゴンを相手に、建物を壊すと脅す始末。これでは、どちらが悪者か分からない。

 

「待つのじゃ。我はここにおる」


 建物の一室から現れたのは、黄金の髪を月明かりに輝かせた、一人の美少女だった。

 窓を開け放ち露台に出ると、その少女は勢いよく空を舞った。


「あっ!」


 思わず、少女が落下するであろう地点を目掛けて走り出すブルー。

 しかし、少女は空中で静止して、無慈悲な眼をブルーに向けていた。


「優秀なハンチーが我に挑んでくると聞いておったが、お主もドラゴンではないか……ガッカリじゃ」

「ハンチーじゃない! ハンターだ! あとドラゴンで悪かったな! 偉いんだぞ! 本当は!」

「ああ、そうじゃ、そうじゃ。ハン、ターじゃ。ふむ……じゃが、ドラゴンになど用はないぞ。帰ってたもれ」

「帰るかよ! 雲竜クラウドドラゴン、俺はお前を討伐しに来たんだからな!」


 少女が露台から落ちたと思ったブルーは、両手を勢いよく広げてフレイヤ・ヘカティの下に立っている。

 見上げれば、大きく広がったスカートの中身が見えそうだが、幸いそんなことには興味の無いブルー。

 フレイヤも中空でゆらゆらと揺れながら、ブルーの言動を聞き流していた。

 二人が互いに「スカートの中」に関して、羞恥も無ければ興味も無いのは当然のこと。ドラゴンとは、元来が裸なのである。いっそ、服を着ている方がおかしいのだ。

 しかし、宙に浮かぶフレイヤが、宮殿の門に目を向けたときのこと。


「それよりも、よくもウィムペムムの宮殿を壊してくれたな」


 そう言って、急に表情に怒気を湛えたフレイヤ・ヘカティである。

 彼女は青い瞳を覆う瞼をきゅっと細めて、眼下にいるブルーを見下ろした。


「ウィルヘルムにございます。フレイヤさま」


 なのにフレイヤ・ヘカティのシリアス路線は続かない。

 人間の言葉に未だ慣れないフレイヤだ。うっかりウィルヘルムの名前を間違えた。


「そ、そうじゃ、ウィル。もう、お主、名が長いゆえ、今後はウィルと名乗れ」


 フレイヤは、額に一滴の汗を流しつつ、背後の露台を振り返った。そして、もはや執事と化したルイード公に名を与える。というより、自分が覚えやすいように短縮させた。

 加えて、眼下のブルーを見据えると、ただでさえ噛み合ってない会話を、さらにあらぬ方向に投げ捨てる。

 今の一件で、先ほどの怒りが遥か彼方に飛び去ったフレイヤは、むしろドラゴンなのにハンターであるブルーに興味を覚えたようだ。

 傍若無人という意味では、ハンナ・グラッツさえ遥かに上回るフレイヤ・ヘカティである。


「ところで、ハンターというのは人間でなくともなれるのかのう?」

「なれる!」


 即答するブルーに、ハンターの規約がわかるはずもない。

 ブルーの言葉に目を輝かせるフレイヤは、ゆっくりと地上に降りてきた。

 ブルーも一瞬警戒を解くが、考えてみれば討伐しに来たのはブルーだ。

 ここは戦わなければならないと意を決して、飛び下がって間合いを取る。


 内心、ブルーは自分自身を褒めていた。

 目的を見失わない事に関して、ハンナにドヤ顔を見せるブルーである。


「ブルーとやら、我もハンターになれるか?」


 笑顔を浮かべてブルーに迫るフレイヤは、歩くたびに”カツカツ”と音を響かせている。

 彼女は桃色をしたワンピースのドレスに、超厚底の白いブーツを履いていた。

 つまるところ、ゴスロリドラゴンである。

 しかしゴスロリの価値観を持たないブルーは、あの靴で踏まれたら死んじゃう! と余計な事を考えていた。

 だからブルーは、そんな思いを振り払うように言い放つ。


「なにいってるんだよ! 雲竜クラウドドラゴンは討伐対象だよ! だから死ねよ!」

「ふむ。討伐対象は雲竜クラウドドラゴンなのじゃな? では、我は違うぞ。雷竜サンダードラゴンじゃ」

「なんでもいいよ! 似たようなもんだろ! いくぞ!」


 言うや、中庭の石畳を蹴って、フレイヤに突進したブルー。

 その動作には、一切の無駄が無い。無駄が無い理由は、あの靴で蹴られたくない一心である。

 

 そして繰り出されたのは、ブルー渾身の二連撃。

 ボクシングでいうところの、ワン、ツーである。


 もしもフレイヤが並みのドラゴンであったなら、それで瞬時に滅殺されていたであろう。それ程の勢いで繰り出されたニ撃目には、ブルーの全体重が乗っていた。


 しかしブルーの渾身の突きは、空をきる。

 中庭が暗いからといって、ブルーが目測を誤った訳ではない。

 単に、フレイヤの動きが素早かったのだ。

 それも横に左足を動かし、体を開いただけでかわしたのだから、フレイヤにはブルーを目で追う余裕さえあった。

 勢い余ってよろけるブルーの背中を、軽く蹴飛ばしたフレイヤ。

 結局蹴られたブルー。

 しかもブルーは、三メートル程吹き飛ばされた。


「や、やるなっ! サンダードラゴン!」


 吹き飛んだ拍子に、顔面をしたたかに打ちつけたブルー。口元からあふれ出す血を袖で拭うと、再び構える。

 背中に響く痛みが、妙に心地よいブルー。

 そう、いつの間にか、ブルーはドMになっていたのだ。

 あの靴で蹴られたくない、から、別に蹴られてもいいや、へ。思わぬ心変わりを経験したブルーである。

 

 ハンナ・グラッツはその様を、どんよりした面持ちで見つめていた。


 ハンナの思いはこうである。

 相手がサンダードラゴンならば、今のブルーでは勝ち目がない。

 だが、やる気がどうにも出ない。

 それにサンダードラゴンが何故、人化しているのかも不可解だ。

 何より、討伐依頼は雲竜クラウドドラゴンに対してであって、雷竜サンダードラゴンではない。

 もしも雷竜サンダードラゴン雲竜クラウドドラゴンだと思われていたのなら、もはや依頼はAランクなどではない。

 間違いなく、ギルド内でこの敵を倒せるのはハンナ・グラッツだけになるだろう。

 いや、或いは――ハンナ・グラッツでさえ倒す事が出来ない可能性もある。

 それ程に、真名マナを得ている雷竜サンダードラゴンとは、危険な存在なのだ。


「ブルー、退きなさい。敵がサンダードラゴンというのなら、話が違うわ」

「いやだ! 俺は退かないし、媚びないし、省みない!」


 なんと、ブルーの信条もフレイヤと同じである。

 ドラゴンとは、天性の帝王なのだからいっそ始末が悪い。

 しかし、ドMの帝王などいるのだろうか?

 ブルーの存在は、帝王に対して失礼なのではなかろうか?

 とはいえブルーは普段、ハンナに対して随分と退いているし媚びている。彼が精々守っている信条は省みないこと位だが、本来はそれをこそ一番にすべきであろう。


「ふむ。お主、ブルーという名か。じゃが、真名マナではないようだのう?」

真名マナってなんなんだよ?」

「高貴なるドラゴンのみが持つことを許された、力を為す名じゃ。お主からは、随分と高貴な香りが漂っておるのに、その力が妙に弱く感じての」

「お、俺が高貴、だ、と。わ、わかるか? わかるのか、お前?」


 高貴という言葉に釣られたブルー。

 フレイヤの方も、別に殊更ブルーを懐柔しようと思った訳ではない。二頭のドラゴンは、なぜかふんわりと和解に向かってゆく。


「うむ、わかるぞ。我はフレイヤ・ヘカティじゃ。ブルー、よろしくの」

「そうか、俺は高貴なブルーだ。フレイヤ、よろしくな」

 

 高貴な、を強調したブルーは、フレイヤに初めて笑顔を見せた。

 人間ならば諸人こぞってキュンキュンするであろう笑顔だが、フレイヤはドラゴンなのでブルーの笑顔などどうでもいい。

 だからこそここに、退かない、媚びない、省みないを三原則とした二頭のドラゴンは、妙な友情で結ばれたのだ。

 つい先ほどまでブルーは敵愾心しか抱いていなかったのだが、「高貴」といわれた事で、今では”にんまり”と口元をゆがめ続けている。

 

 当然ながら、苦虫を噛み潰したような表情でそれを見つめるのはハンナ・グラッツ。

 噴水の縁から立ち上がると、フレイヤ・ヘカティをひと睨みした。


「あなた、珍しいドラゴンね」

「うむ、我はフレイヤ・ヘカティ。仲間内からは珍しい、とよく言われるのう。それに、父上と母上にはよく叱られる」


 ハンナ・グラッツは、フレイヤ・ヘカティの呆けた声に、目を瞬かせた。大剣の柄にかけていた手を、思わず放してしまった程だ。

 何しろ、フレイヤ・ヘカティには一切の殺気がない。

 ブルーがどれ程殺気を放っても、全てをいなしている感じがした。

 それは、ドラゴン同士だとわかっていればこその事だと考えていたが、実の所そうではなかったらしい。 

 そう考えたハンナ・グラッツは、警戒心は緩めないまま、口元だけを緩めた。


「私はハンナ・グラッツ。ドラゴンならば、一度くらい耳にした事がある名前だと思うわ」

「ああ、お主が! 最強なのじゃろう? じゃが、罪無きドラゴンを何ゆえ屠る?」


 ハンナの言葉に、眉を寄せて答えるフレイヤ・ヘカティ。

 心の底から湧き上がる疑問なのだろう。体さえ左右に揺らして、両手を胸元で組み、縋るような視線をハンナに送っている。

 会話から取り残されたブルーは、退屈そうに噴水の水で顔を洗っていた。

 さっき蹴り飛ばされた時に負った傷は回復したが、汚れが顔に残っていたからである。

 顔が汚れているとハンナに怒られる。だから一生懸命に顔を洗うブルーは、どこか哀愁が漂っていた。


「ドラゴンが人を喰らうから。逆にいえば、大人しくしているドラゴンに戦いを挑んだりしないわよ?」

「我は人を喰わぬぞ? 父上も母上も、無用に人族を喰らうな、と一族の皆に言うておる。

 じゃが、稀に我等に挑みかかってくる人族の者がおってな。それらを見せしめとして喰らう事もあるが……それもいかんのか?」


 人差し指を顎に当てて首を傾げる姿は、まさに人間そのものといった感のあるフレイヤだ。


「……それは別に構わないわね。不当に自らの土地が侵されたのなら、誰でも戦うもの。

 そう、それで私たちは今日、ここにきたのだけれど……」

「我は、この土地を不当に侵してはおらぬぞ? なあ、ウィル」


 ハンナの言葉に答えたフレイヤは、いつの間にか中庭に下りてきたルイード公に声を掛ける。


「はい。フレイヤさまの仰るとおり。むしろ、我が街はフレイヤさまのお陰を持ちまして救われたのです」

 

 腕組みをして唸るハンナ。

 唸ると頭に響くのは、未だに二日酔いだからである。

 二日酔いのままサンダードラゴンと戦う気には、流石になれないハンナ・グラッツ。

 ブルーにいたっては、笑顔でフレイヤの肩を叩いている。あっさりと二人(二頭)は仲良くなったらしい。

 互いに笑顔を見せ合うブルーとフレイヤ。その様は、まさに神々もかくやと言うほどの美少年と美少女である。

 だからこそ、それを見たハンナに、初めて抱く感情が生まれた。


 ――嫉妬――である。


 ブルーは、如何なる女性にも興味を示さなかった。

 にも拘らず、今朝、ハンナの胸を揉んで幸せそうに眠っていた。

 つまり、ハンナにとってブルーは既に自分の男。それが別の女と楽しそうに話すなど、ハンナにとっては言語道断である。


「ブルー、こっちへ来なさい」

「おう!」


 ブルーが側にくると、これ見よがしに寄り添ったハンナ。

 寄り添った上で、ハンナ必殺の一撃がブルーの顔面を襲う。

 有体に言えば、右ストレート。

 そして、ハンナのガントレットも当然ながら対ドラゴン仕様。ならば、ブルーの負ったダメージは、先ほどの比ではない。

 しかしフレイヤの視線は冷たい。

 ドラゴンならば、如何なる苦難も自力で乗り越えて当然である。

 なによりフレイヤは事の真贋を見極める眼力があった。


「え、ええと。お主らも、ドラゴンと人間なのに随分と仲良しじゃな?」

「あたりまえよ。私達は夫婦なんだから」

「なるほど」


 ハンナの言葉に理解を示すフレイヤ・ヘカティ。しかし、人間ならばここで理解を示してはならない。むしろ愕然としたのは、ルイード公ウィルヘルムだった。彼は、髪の毛が逆立たんばかりに驚いている。

 

「ブ、ブルーどのもドラゴンであらせられたのか!? いや、それよりも、ハンナどのと夫婦ですと!?」


 しかし、ウィルヘルムが驚くポイントもずれている。

 もっと、殴られて重傷を負ったブルーに驚いて欲しいところだ。

 鼻を押さえて苦しむブルーは、超高速再生をしているものの、一時は顔面が陥没したのである。


「と、とにかくハンナどの、ブルーどの。是非私の話を聞いていただきたい。フレイヤさまは、決して悪いドラゴンではないのです」


 ルイード公の言葉に暫し顔を見合わせたハンナとブルー。鼻血が止まらないブルーは、少しばかり引き攣っていた。

 だが、ブルーはもはやフレイヤを敵と見做していないし、ハンナは二日酔いで戦いたくない。そんな思いが交差して、二人はウィルヘルムの言葉に従う事にした。


「さ、お話は宮殿の中で」


 上級貴族にも関わらず、もはやフレイヤ・ヘカティの執事と化したルイード公は、頷くフレイヤに笑顔を向けて、ハンナとブルーを宮殿の中へと誘ったのである。


 その時、ブルーの背中はハンナにつねられていた。

 丁度、フレイヤに蹴られた所である。

 

 痛い――と一瞬ブルーは思ったが、実はそれが、それ程嫌な事でもなかった。

 どうやら、M化が加速度的に進行している水竜王ブルー・グラッツである。

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