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にーまるいちよん  作者: 川里隼生


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4

「あけましておめでとう」

初日の出と共に、俺の焚き火を頼りに降臨した。

「おめでとうございます」

太陽を背にして立たれているので直視できない。だが、間違いなく“その方”だ。

「今年の日本はどうだった? いや、もう去年になるのか」

俺は古新聞とユニフォームと議員バッジを見せて言った。

「これが悪い点です」

「お前が女装しているのは何故だ」

「この国の立派な文化です」

「そうか。……以前の調査ではこの国の文化は“浮気”と聞いたのだがな……。まあいい。では、良い点はなんだ?」

俺はニヤリと笑って言った。想像してみろ、女子フィギュアスケーターに変装した男が富士山頂で笑っている姿を。最高にキモい? ……そ、そうか。


「これです」

俺は麓を指差した。山梨県側か静岡県側かなんてどうでも良いではないか。

「これ?」

「はい。1年間調査しましたが、この国は良い事で溢れていました。ですからこの国全てをご覧いただくため、この国で最も高い場所にお呼びしたのです」

「……ふむ。そうか。ご苦労だった」

「ありがとうございます、天照大御神様」

「お前は当初の予定通り移動だ。後任も決まっている。1年間の日本調査業務、本当に大義であった」

「また古臭い言い方を」

2人とも笑った。想像してみろ、老婆と男が富士山頂で笑っている姿を。やっぱり変? よろしい、ならばお前は今年不幸にしてやる。


天照大御神様は続けた。

「最近はこの服装がかなり不自然でな。お前のような若者を雇って調査してもらわねばならん」

「ま、俺としては中々楽しい仕事でしたがね」


「お前は次にイラクへ行ってもらう」

ずいぶんさらりと無理をおっしゃる御方だ。ここまで徒歩で来たくらいなのに。

「日本の神なのに、イラクですか?」

「実は別の宗教を信仰している民がどうも日本と無関係で無さそうでな。お前に調べてほしいのだ。移動費は私が何とかする」

「なら構いませんが、イラクってデング熱も出ていますよね。大変ですよ」

「まあそう言うな」


来年はイラクか。日本ほどメディアは活動していないイメージがあるな。


「私の姿が見えないよう、富士に結界を張ったのはお前だな?」

天照大御神様は麓を眺めている。

「ええ、はい。……そう言えば、付き人の姿が見えませんが?」

「ああ、皆それぞれの国へ出向いてもらっている」

「貴女は世界の神にでもなられたおつもりですか」

「昔は世界の神だったのだからな?」

ずいぶん喧嘩腰におっしゃる。


「では、そろそろ俺も休みを取らせていただきますよ」

それだけ言って、俺は山を降りる。だからどっち側かなんてどうでも良い事ではないか。


天照大御神が、富士の山頂に佇む。

「あいつも、偏見と憶測でものを言うようになったものだ。この国を任せた者は皆そうなる。朱も交われば赤くなると言うか……」


天照大御神が微笑む。

「世界の神、か。キリスト教では、神は自身に似せて人間を作ったという。やはり、神も人間と同じように欲求や煩悩があったのだろうな」


日本の神はまだ続ける。

「今の日本人も、あるいは私に似た所があるのかもしれない。“ここ”の神と民もな」

ええ。そうかもしれません。

「デング熱は東京の代々木公園で発生したもので、イラクは関係ないぞ」

そうでしたっけ?

「まったく……。少しは面倒がらずに調べてから世界を作ってほしいものだ」

返す言葉もありません。今年はもっと事実関係をよく調べた上で小説を書こうと思っていますので、よろしくお願いします。


「そういうのは後書きに書くものではないのか?」

ぐっ……ぐふう。

あけましておめでとうございます。新年早々神とコントした私の運勢はどうなってしまうのでしょうか。

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