生後1日目 1
「いやー、あぶねー!結構ギリギリだったな。お前を回収しとかねえと、大変なことになっちまうからよー。セーフ、セーフ」
という話を目の前の大司教様がおっしゃっている。人間が住む東側と魔族が住む西側の大陸。それぞれは合わさったシルエットに十字架を重ねた紋様が入ったバッジ。
それを胸に着け、青色のラインが入ったローブを身に纏う金髪のハンサムボーイ。
その名はソプーロス。
若干20歳にして大陸聖教という最も規模の大きい宗教クラブチームのナンバー2に抜擢されたすごい奴。
でも、非常にお整いになられているそのお顔を生かした生き方を極めた非常にチャラい僧侶。人間、魔族問わず、彼に絆され、心を奪われ、結果涙を流すことになった女性は星とまでは言わないが、大陸中の川や山の数に匹敵する。世間ではそう言われている。
今、初めてそんな大司教様に出会ったわけだけど、どうしてかそんな彼の情報が俺の頭に入っていた。
今は、ローブの首元を緩めながら、川岸の岩に腰掛けている。お鍋のマークが入った妙な岩に。
せっかくの高級な生地と上級の魔術で編まれた司教専用のローブ。
お空の上から巨大な炎の岩が降ってきても、軽く無力化出来るというそのローブ。それを城からの落下中に、川岸の土塊で擦った汚れをあちこちにしながらゼーハーゼーハーと肩で息をしている。
無理もない。人間軍と魔王軍。その両方の精鋭なる追っ手から逃げるために魔王城の最奥。玉座の裏の分厚い壁。そこに膨大な魔力を当てて開けた穴。司教様はそこから、赤子であった俺を抱えて、意を決して飛び降りたのだ。




