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首なし騎士と赤目の白馬


 デュラハンが徘徊しているのは沢山の墓標が立つ廃村エリアだ。

 そこは遺跡エリアと同じく、人が生活した気配が残る場所。

 建物は朽ち果てて倒壊し、田畑は荒れ、どんよりとした空気が漂っている。


「報告。蹄の痕を発見」

「なら、ここにいるのは間違いないな」


 廃村エリアに入ってすぐ、馬の足跡を見付けた。

 荒れた畑を経由して墓場まで続いている。

 それを追い掛けるように廃村エリアを進み、墓場の中央に佇む騎士を見つけた。

 灰色に輝く鎧を身に纏い、空の兜を左手に抱え、目から赤い光を放つ白馬に跨がっている。

 大翼剣を鞘から抜き、銀の刃が薄い暗闇を裂いて残光を引く。

 それと同時に赤い目の白馬が嘶いた。


「先制攻撃だ!」


 左手に火炎を灯し、デュラハンへと放つ。

 一本の槍のように伸びたそれを白馬は避けようともしなかった。

 自ら飲まれにいくように火炎の中を突き進み、そして全くの無傷の状態で突き破る。


「効いてない!?」


 すぐに火炎を掻き消し、今度は左手に稲妻を纏う。

 上空に発生させた雲が黒く色付き、弾けた稲妻が落雷となってデュラハンを打つ。

 しかし、これもまた効果がまるでない。

 落雷に打たれたにもかかわらず、怯みすらしなかった。


「どうなってやがる」


 デュラハンにこんな耐性があるなんて聞いてない。

 通常の個体とは何かが違う。


「推奨。上空への退避」


 ついに白馬はこちらの至近距離にまでいたり、デュラハンが背中の大剣を抜く。

 片手で振るわれる一撃は、それでも剣速が速い。

 即座に後方へと跳び、背中に風の翼を生やして羽ばたいた。

 その勢いで俺の体は舞い上がり、前方に押し出した風は鎌鼬となってデュラハンを襲う。

 しかし、それもまた全く効かず、直前で乱されたように鎌鼬は掻き消えた。


「通常のデュラハンには見られない耐性を確認」

「ひょっとして無敵なんじゃないのか?」

「無敵ならば退避を推奨」

「もうちょっと抗ってからな」


 そう話している間にデュラハンが動く。

 デュラハンが勢いよく駆け出したかと思えば、次の瞬間には蹄で虚空を蹴っていた。

 白馬は足場を地面から空中に変え、蹄の音を鳴らしてこちらへと迫る。


「空も走れるのかよッ」


 急いでこちらも翼を羽ばたいて加速。

 追い付かれないように廃村エリアを縦横無尽に飛び回る。


「相手に飛び道具がないのが救い――」


 ドッグファイトの最中、デュラハンの大剣に灯る火炎。

 火の粉を散らすそれが大振りに振り抜かれ、火炎の一閃が飛ぶ。


「嘘だろッ」


 飛来する火炎の刃に対抗して、こちらも火炎で全身をコーティング。

 火炎の大翼剣で攻撃を切断する。

 なんとか大技をしのいだかと思えば、今度は大剣に稲妻が宿る。


「なんだってんだよッ!」


 こちらも稲妻を纏い、飛んでくる一閃を相殺。

 すると更に大剣が風を纏い始める。


「警告。貴方の攻撃が跳ね返されています」

「ふざけやがって!」


 次いで放たれる風の一閃を翼の羽ばたきによる鎌鼬で防ぐ。

 これで跳ね返される属性はなくなったが、こちらも迂闊に攻撃できなくなった。


「推奨。剣撃による討伐。銀の剣ならばアンデッドに有効」

「簡単に言ってくれるな。それしかないけど」


 魔物の能力はなぜか跳ね返されてしまう。

 ある意味では俺の魔法と似たような特性をこのデュラハンは持っていた。

 相手にするとこんなに厄介だとは思わなかったな。


「腹は括った! 真っ向勝負だ!」


 こちらの言葉が届いたのか、白馬が嘶いてデュラハンが大剣を構える。

 こちらも大翼剣を構えて両翼で羽ばたき、弾き出されたように加速した。

 握り締めた剣を振るうのに掛かった時間は秒にも満たず、剣閃が交差する。


「――」


 銀色の残光が白馬を裂き、大剣の一撃が片翼を断つ。

 互いに飛ぶ術を失い地に足をつく。

 刹那。

 振り向き様に剣を振るうと同時に視界に収めたデュラハンは空の兜を投げ捨てていた。

 両手を伴う剣撃は大剣とは思えない剣速を誇る。

 こちらより速い。回避の術はなく、防御もままならない。

 しかし、それを上回る速度で風の片翼が羽ばたいた。

 風に背を押されるように加速し、銀色の剣閃が胴鎧を過ぎる。

 目も眩むような鋭い光がデュラハンを二つに分かち、勝敗は決した。

 からんからんと甲高い音を響かせて、鎧は崩れ落ちる。


吸収エナジードレイン


 鎧に残る魔力を吸い上げ、また新しい能力を獲得した。


「ふぅ……上手く行ったけど。なんだったんだ? このデュラハン」


 ただの鎧になったデュラハンに近づいて観察してみる。


「どこも変わった様子は……ん? 中になにか」


 鎧の内側、空洞部分に何かが入っている。

 手を入れて一つ掴み上げると、それはアーティファクトと思しき異物の破片だった。


「アーティファクトの残骸を確認。状況判断の結果、デュラハンの異常な耐性の原因と推測」

「こいつのせいで色々と無効化されて跳ね返されたのか。ほかにも沢山……収集家だったのか?」


 よくこんなにアーティファクトを見付けられたな。


「ともかく、アーティファクトを回収……って、あれ? 壊れてないか? 全部」

「トドメの一撃によって破壊されたと推測。現状では修復は不可能」

「もったいねぇ……なにか一つくらいないか? 無事なの」


 鎧の内側から一つ一つ残骸を取り出し、最後の一つを手に取る。


「お、これならまだ使えるんじゃないか?」


 四角形の箱状のアーティファクトで無数に刻まれた回路が鮮やかな青色に発光している。

 見た目はかなり機械的で、どこにも損傷は見られない。


「解析開始……解析完了。このアーティファクトには発電機能が備わっています」

「発電? 発電か……」

「使用には大気中の魔力と初動分の電力が必要です。また周囲の電気を吸収する機能も備わっています」

「……その初動分の電力は魔法とか能力以外で賄えるか?」

「雷獣の生息域に存在する電気石であれば可能です」

「そうか……わかった」


 一度、アーティファクトをボックスに預けて廃村エリアを後にした。

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