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第1話 君と一緒にいたいって思ったんだ。

 夏のふぶき。


 君と一緒にいたいって思ったんだ。


 君の顔をよく見たかったのに、暗くなり始めていた夏の夜のぼんやりとした淡い青色の中では、君の顔はよく見えなかった。

 でも、きっと君からも私の顔はよく見えていないと思ったから、それはまあよかったかなって思った。

 だって、きっと私の顔は、恥ずかしくて真っ赤になっていたと思うから。

 私の本当の気持ちが、きっと隠し切れないくらいに顔に出てしまっていたと思ったから。

「ふぶき先輩」

 君がまっすぐな声で言った。

「なに? はるかぜ」

 私は今年、高校を卒業する。

 高校を卒業して、あっという間に、大人になる。私と君は今、そんな大人と子供のちょうど半分くらいのところにいるのだと思った。

 まだ子供のままでいたいって思っている私に、君は大人になれって言っているようなきがした。君は大人になりたがっていたから。私にもそうなって欲しいって思っているのだと思った。

「好きです。ふぶき先輩」

 恋の告白かなって思っていたけど、やっぱりそうだった。(そうかもって思っていたけど、やっぱすごくどきどきした)

 遠いところで音がして、夏の夜の空にとっても綺麗な花火がたくさん咲いた。

 そのたくさんの花火の光で、君の顔が見えるようになった。(私の顔も君から見えるようになった)

 はるかぜはまっすぐに私のことを見つめていた。

 二つも年下のはるかぜの顔はなんだかいつもよりもずっと大人っぽく見えた。

 私はなにも言わずにただじっと(なんて言っていいのか、本当にわからなくて)はるかぜの顔を同じように見つめていた。

 そんな私の顔はきっといつもよりもずっと子供っぽい顔をしているのだろうなって思った。

 ううん。そうじゃない。

 きっと私はもともと子供だったのだ。大人のふりをしていたけど、先輩らしく振る舞っていたけど、私は子供だったのだ。

 本当に誰かを好きになったことがない、愛したことがない子供だったんだって、今、じっと『私のことを見ている君の顔』を見て、そう思ったんだ。

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