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SS・ハロウィン企画:もふっと「トリックオアトリート!」

本日はハロウィンですので、企画SSです。

「トリックオアトリート!」


 猫姿の神様たちとドラゴンと亀様がリオの自室の扉から入ってきたかと思うと、いきなりそんな言葉をかけられる。神様たちは変わった形のとんがり帽子やマントを身に着けていた。


「どうなさったのですか? 神様方。変わった衣装を着て。それにトリックオアトリート? とは何ですか?」


 この国の守護神たちがリオの部屋にやってくるのはいつものことだ。空間から突然現れたり、窓からやってきたり、影から現れたりと様々だが。


「『トリックオアトリート!』とは『お菓子をくれないといたずらするぞ』という意味なのじゃ! 十月最後の日に仮装をして、家々を回るのじゃ!」


 光の女神フレアがリオに説明をする。しかし、フレアの説明は一部間違っている。正しくはお化けの仮装をした子供たちが近所の家々を回ってお菓子をもらうというものだ。間違っても猫姿の神々が人間にお菓子をねだる風習ではない。


「それはどこかの国の風習なのですか?」


 フィンダリア王国にはそのような風習はない。不思議に思ったリオが首を傾げる。


「また異世界のおかしな本を読んだのであろう?」


 読書をしていたリオの隣で昼寝をしていたレオンが目を覚ます。くわ~と欠伸をして伸びをすると、フレアに毒づく。


「おかしな本ではないのじゃ! 可愛い童話のような話だったのじゃ! 本当にレオンはいけずなのじゃ!」


 フレアがレオンに猫パンチを繰り出すが、呆気なく躱される。


「お菓子を差し上げればいいのですね。マリーお菓子を神様たちに差し上げて」


「畏まりました。お嬢様」


 マリーが厨房へお菓子を取りに行くため、リオの部屋から出ようとすると、黒い猫に阻まれる。闇の神ダークだ。


「どうせなら、焼き立ての菓子が食べたい。俺はマリーが作ったクッキーを所望する」


 ダークはかぼちゃをくり抜いた入れ物をさっと差し出す。


「ずるいのじゃ! ならばわたくしはリオが焼いたクッキーが食べたいのじゃ!」


 フレアがぶんぶんとかぼちゃの入れ物を振り回す。


「リオの作った菓子は我のものだ! お前には食わせん」


「レオンがいけずなのじゃ!」


 フレアとダーク以外の神たちは静観している。彼らはフレアに付き合っているだけだからだ。菓子がもらえるのならばそれでよかった。それにリオとマリーが作った菓子はどれも絶品なのを彼らは知っている。


 リオとマリーの前にはかぼちゃの入れ物を持った猫たちが、二足歩行でうるうると彼女たちを見つめている。あざと可愛いその姿に負けた。


 結局、リオとマリーとレオンで協力して栗とかぼちゃ味のクッキーを作ったのだ。猫神様たちは美味しそうにクッキーを頬張っている。


「可愛いわね。マリー」


「はい。可愛いですね」


 一生懸命クッキーを食べている神様たちもあざと可愛くてほっこりする。レオンも負けじとクッキーを食べていた。作っている最中に味見と称して何枚もクッキーを食べていたにもかかわらず……。


「ねえ、マリー。結局、どういう行事だったのかしら?」


「ハロウィンだそうです」


 フレアが持ってきた本に目をやると『ハロウィンの夜~お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ~』というタイトルが目に入ってきた。表紙には可愛らしい女の子と顔がかぼちゃのお化けが描かれている。フレアがいうように童話なのだろう。


「ハロウィンというのね。楽しそうだわ。フィンダリア王国でも流行ればいいのにね」


「そうですわね」


 翌年、フィンダリア王国の各地で、十月最後の日に仮装をしてお祭りを開いて騒ぐという行事が始まったとかなんとか。

ここまでお読みいただきありがとうございました(*^▽^*)


明日から第三部が始まります。よろしくお願いいたします。

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