XI
「クワトロ……そんな血塗れの服でよく僕の前に顔出せたね?」
「なぬッ、これは失敬」
純白のロングコートは、先程討伐した蜘蛛の瓦落多の青い血で汚れていた。クワトロはそれに全く気が付かずここまで来ていた。クインもこれには驚愕。
「馬鹿じゃん?」
「独創的と言え!!」
「……ほら、跳ぶよ。」
合図とともに地を蹴って高く飛んだ。タワーの上まで上り、2人は下町を展望した。
「こんな穴場があるとは知らなかったぞ」
「敵を見張るのにも最適、静かで見晴らしがいい!僕が東京に来てる時は必ずここに居ると覚えときな。」
「ふっ。俺の記憶力を舐めるなよ?」
「僕達には舌なんてないよ、なぁに言ってんの〜?」
「貴様ァ……巫山戯てんのか。」
「ひー怖い怖い、僕は暴力反対だよ?それでもやるってんなら、容赦しないけど。」
「知らないな。俺に勝てるとでも思ってるツラだな?ぶっ壊してやりたくなるぞ。」
犬猿の仲だろうか。
それでも、冗談を余裕な態度で放つクインは楽しそうにクワトロと話す。滲み出る嫌悪がまるで幻想かのよう。だが彼は言うだろう、「嫌い」と。
「ここでやったらヤバいね。また……今度。」
建物を崩壊させかねないので、一時休戦。そのまま角に座り、足をゆらゆらと空に振りながらくだらない話をはじめた。すっかり夕暮れなり、目先の空は燃え上がっている。もうこの時間なら瓦落多の出現はないだろうと安堵の溜息をつくが、下の路に見覚えのある傘使いが見え、息を吸えなくなった。




