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魔女と汽車 外伝 -大学教授と元貴族の助手-  作者: 白波
エピローグ

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エピローグ

 フランの町にあるフラン魔法大学校の旧校舎の一室。

 アリスはラファの町にいた間にたまっていたマジックアイテムの解析依頼の整理をしていた。

「まったく。とんだ無駄足だったな。行くだけ行ってまったく結果が返ってこないとは思わなかったよ」

「そうですね。結局、あれが何なのかわからずじまいでしたからね」

 マリーとそう言った会話をしながら、アリスは少しだけ考えこむ。『あれ』は本当に聖書とは関係がないのだろうかと……もしも、あの石板が聖書がらみだったとしたら、マーガレットはいずれあの場所を訪れることになるのだろうか? いや、それはさすがに考えすぎかもしれない。あの石板にはめると思われるモノは本の形をしていなかったし、仮に聖書を集めきった後に何かが出てきてあの石板に収めるのだとしても、なぜあのような山の中にあるのかという謎が残る。そう考えれば、『石板』と『聖書』は何ら関係ない、偶然にも五つのモノを集めるという点で一致してるだけと言えるだろう。

「何かありましたか?」

 アリスが手を止めたのを気にしたのか、マリーが声をかける。

「あぁいや。なんでもないよ。あの石板についてちょっと考え込んでいただけだ」

 そう言って、アリスは作業を再開する。アリスとしてはラファに行って一日二日滞在して帰って来るつもりだったので、予想以上に調査に時間がかかったという点では損失が大きい。強いて言うならば、マーガレットが聖書を集めきったときにちょっとしたヒントとして彼女にあの石板の場所について話すことが出来るぐらいだろう。最も、聖書の調査に関してはその存在すら知らない完全な部外者であるマリーに知られないように工夫をする必要はあるし、先ほど考えていた通りあの石板が聖書と関連しているとは考えずらいというのが現状ではあるのだが……

 そこまで考えてアリスは小さく息をつく。

 あの石板があった場所から駅に着いたとき、アスタは『せっかく来たのだから魔法についてお互いに話がしたい』などと言っていたが、アリスはそれをすっぱりと断って帰ってきた。現状を考えるとその判断自体は正解だっただろう。しかし、もしもマーガレットがあの石板を必要とする時が来た時のことを考えると、もう少しアスタと親交を深めておいても良かったのかもしれないとも思う。

「アリス教授。私は準備室に資料を取りに行ってきますね」

「あぁよろしく頼むよ」

 ある程度、解析依頼の内容が整理されてきたところでマリーはアリスに声をかけてから準備室の方へと向かう。

 その背中を見送ったアリスは再びため息をつく。

 それにしても、遠方に行ったとはいえマーガレットは全く連絡をよこしてこない。そのあたりについては彼女なりの考えがあるのだろうし、聖書の調査という極秘任務をこなしているという現状を考えると正解だと言えるのだろうが、これまでのことを考えると少々さみしく思えてしまう。そんなことを考えてしまうと、マリーに失礼かもしれなし、状況が状況だから仕方ないのかもしれないが、何となくマリーに比べてマーガレットの方が純粋に魔法に興味を示し、ついてきてくれてたように感じてしまう。

 まぁそのあたりについてもっともなことを言うならば、彼女が連絡をよこしてくれないおかげで、アリスとしてはマーガレットが五つの大陸に散らばっている聖書を集める旅をしているということをマリーに知られることがなかったという点では十二分に成功していると言えるだろう。

「……まったく、弟子が一人ひとり立ちしたと思えば今度はその弟子が紹介した助手を育てることになるとはな……運命というのはどうなるかわからないものだ」

 アリスはマリーと一緒に作った依頼書のリストを机の上に置き、窓の外へと視界を向ける。

「……私はちゃんと教育者になれているのだろうか……」

 アリスは空を流れる雲を眺めながら独りそうつぶやいた。

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