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理不尽を論破したら異世界のルールが壊れた件  作者: 万丈トオル


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15/30

第15話「中間者ドミール」


出発の準備は、着々と進んでいた。




「忘れ物はねぇな?」




リドウが確認する。




「ああ」




俺は短く答える。




リリーニャも頷いた。




「大丈夫です」




フウカも荷物を抱えながら言う。




「……うん」




---




そのときだった。




扉が開く。




---




「戻った」




低い声。




クローだった。




だが――




その隣に、もう一人。




---




緑色のショートボブ。




どこか柔らかく、それでいて油断ならない雰囲気の女性。




---




「おー!!ドミールさん!!」




ワショーが駆け寄る。




「久しぶりっす!」




「元気そうじゃん!」




ナデクも笑う。




「相変わらず軽いわね〜」




リーノが手を振る。




---




女性――ドミールは、くすりと笑った。




「ふふ、ちゃんとやってるみたいだねぇ」




---




その視線が、こちらへ向く。




---




「……なるほど」




ゆっくりと俺たちを見渡す。




---




「君たちが“例の”子たちか」




---




「ドミールだ」




軽く手を上げる。




「ダムステル支部の――中間管理者、ってとこかな」




---




リドウの目がわずかに細くなる。




「……ミドルのアナグラムか」




---




「そうそう」




軽い調子で頷く。




---




「クローから状況は聞いたよ」




「あと、この子たちの様子もね」




3人組をちらりと見る。




---




「ちゃんと役に立ってるみたいで安心した」




---




「当然っす!!」




ワショーが胸を張る。




---




クローが口を開く。




「彼女は今回の件の護衛兼案内だ」




---




「混乱状態の中、単独行動は危険だからねぇ」




ドミールが続ける。




---




「だから、私も同行するよ」




---




「……信用できるのか」




リドウが低く言う。




---




ドミールはその言葉に、少しだけ楽しそうに笑った。




---




「ほぅ」




---




「君が、トリコワ先生の愛弟子さんか」




---




その一言で、空気が変わる。




---




「……誰から聞いた」




リドウの声が硬くなる。




---




「さあねぇ」




ドミールは肩をすくめる。




---




「ただ、興味はあるよ」




---




「どんな子が、あの人の意思を継いでるのか」




---




リドウは何も言わなかった。




ただ――




その視線は、警戒を隠していなかった。




---




場面は変わる。




---




宿屋の浴場。




湯気が立ち込める。




---




「……あったかいねぇ」




フウカが小さく呟く。




---




「ええ」




リリーニャが微笑む。




「こうして落ち着ける時間も、大切です」




---




カタリーニャがゆっくりと湯に浸かる。




---




「旅は大変よ」




優しく言う。




---




「でも――」




---




フウカを見る。




---




「あなたなら、大丈夫」




---




フウカは少しだけ照れたように笑った。




---




「……うん」




---




静かな時間。




湯の音だけが響く。




---




「……帰ってくるよ」




フウカがぽつりと言う。




---




カタリーニャは頷いた。




---




「ええ、待ってる」




---




短く、でも確かな言葉だった。




---




場面は翌日。




---




朝の光が差し込む。




---




「じゃあ、行くぞ」




リドウが言う。




---




「はい」




「うん」




---




ドミールが軽く手を振る。




「案内は任せて」




---




クローは静かに頷いた。




---




宿屋の前。




---




「いってらっしゃい」




カタリーニャが微笑む。




---




フウカが手を振る。




「行ってきます!」




---




「任せてくださいっす!!」




ワショーが叫ぶ。




---




「この街、守るからな!」




ナデクが拳を握る。




---




「なんとかなるって〜」




リーノが笑う。




---




その言葉を背に――




俺たちは歩き出した。




---




ダムステルを後にする。




---




その先にあるのは――




---




混沌。




---




アナグラム。




---




そして――




動き出す各国の思惑。




---




「……面倒なことになりそうだねぇ」




ドミールが呟く。




---




その目は、どこか楽しそうだった。




---




(続く)

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