№1・土用のころ便
『未来郵便と神託の三姉妹』
白い光が、レースのカーテン越しにやわらかく差し込んでいる。
草薙家のリビングは、今朝も静かで、ほんの少しだけ特別な空気が漂っていた。
その中心に、三通の封筒が並んでいる。
どれも色褪せた羊皮紙のような質感で、手に取る前から、ただならぬ存在感があった。
「ねぇ、これ……ラブレターだったらどうする?」
末妹の湍津が、目を輝かせて声を上げる。
真ん中の姉、田心はソファに胡坐をかきながら封筒を見下ろした。
「ふざけてるな……『45年後のマリリン』って誰よ。『ジャッキーチュンチュン』とか……もう意味わかんない」
「『良い子悪い子すずめの子』なんてのもあるけど、ぜったい怪しいって」と田心が笑った。
そのときだった。
窓辺にとまっていた白い文鳥が、ふわりとテーブルへ舞い降りる。
けれど、その鳥はただの文鳥ではない。
名を「文一」。草薙家の“神託の霊鳥”だ。
「それは未来から届いた手紙であるな」
文一は、まるで神社の神主のような落ち着いた声で言った。
「『さきどり・スクェア』という異次元のポストから我が回収してきた。君たち三姉妹に課せられた使命――未来への返信である」
「未来!?」
三人が同時に声を重ねる。
「うむ。これは“逆・タイムカプセル”のようなものである。かつて1985年の科学万博で『2001年の君へ』という手紙プロジェクトがあったのは知っておるか?」
「うっすら教科書で見た気もするけど……」と湍津。
「これはその“逆”じゃ。未来の誰かが、45年前の“今”――つまり君たちに宛てて送った悩み相談の手紙。君たちはそれに返事を書く。“神託ペンパル”であるな」
「ちょっと、無理無理~。受験で忙しいのに……」湍津が声をあげる。
「バイト代出るなら、考えてもいいけど?」と田心。
文一は、ふっと羽を広げた。
「願いを絵馬に書くようなものだ。叶える義務はない。ただ、“考えて”、言葉を返すだけ。それだけでも、救われる魂がある」
姉の市杵は、その言葉に黙って立ち上がった。
「……なら、まず読んでみるわ」
彼女は自分宛の封筒を開いた。中から出てきたのは、丁寧な字で綴られた一通の手紙だった。
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草薙 市杵 様
受験についての悩みというか、不安です。
先日、大学入試の過去問を色々と見てみたんですよ。日東駒専産近甲龍、GMARCH関関同立……。
最初は「全然わからないかも」と思いながら解いてみたら、3割くらいはなんとか……。
「このまま頑張ればいけるかも!」と思う反面、「やっぱり落ちちゃうかも……」という不安もあって。
やっぱり、問題を解きまくるのが一番なんでしょうか?
過去問がある程度解けるようになってきたら、本番もいけるんでしょうか?
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市杵は、手紙を胸元でそっと伏せ、目を閉じた。
まぶたの裏に、どこかの誰かが、自分と同じように机に向かっている姿が浮かぶ。
「これは……未来の誰かが、自分の“今”に向き合おうとしてる手紙だ」
ゆっくりと目を開け、市杵は机の引き出しから万年筆を取り出した。
文一が差し出した返信用の羊皮紙に、静かに、けれど迷いなく綴り始める。
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**親愛なる未来のあなたへ**
市杵です。
まず、こう言いたい。「あなたはすごい」。
だって、すでに一歩を踏み出している。自分を試して、前に進もうとしている。
3割解けたのは偶然じゃありません。あなたの努力が、ちゃんと形になった証拠です。
受験って、不安になりますよね。
「このまま頑張っても落ちたらどうしよう」って考えるの、すごく自然なことです。
でも、その不安は“覚悟”の裏返し。
それだけ、本気でこの先のことを考えてるからこそ、怖くなるんです。
過去問を解くのは、相手の癖を知ること。
剣術でいえば、構えや足の運びを見て、どう立ち向かうかを考える練習です。
完全に同じ問題が出なくても、“戦い方”を体に覚えさせていくことが、あなたを守ります。
今、あなたがやっていることは、剣を研ぐこと。
続けていけば、必ず“あなたの剣”は光ります。
どうか、あきらめず、一歩ずつ。
今を重ねてください。
未来のあなたが、「あの時、よく頑張った」と思えるように。
あなたの未来を、心から応援しています。
草薙 市杵
書き終えた手紙を文一がくちばしでつまむと、ふわりと宙へ舞った。
そして手紙は、光を帯びながら空へと溶けていく。まるで星に還る祈りのように。
「これが……“未来郵便”か」湍津がつぶやく。
田心が小さく笑って言う。
「なにそれ……ちょっと、かっこいいじゃん」
三姉妹の過ごす夏の日は、静かに、そして確かに動き出していた。
“神託の三姉妹”としての物語は、いま再び、未来の誰かのために――静かに幕を上げていた。
『 未来郵便と神託の三姉妹──田心編』
いちきが書いた手紙が光の粒となり、文一の羽ばたきとともに空間へ溶けていった頃。
テーブルの上には、まだ、開封されぬ封筒が残っていた。
次姉の田心は、その封筒をしばらく見つめていた。
指先に触れるのもためらっていたような、でも目だけは逸らせなかった。
「……“ジャッキーチュンチュン”って、なんなのよ、まったく」
そう言いながらも、その封筒を手に取った。目尻にはどこか笑みの名残があった。
ぱり、と封を切る音が静かな空間に溶けた。
手紙は思ったよりもきちんと折られていて、文字も驚くほど整っていた。
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たきり様
数学についての相談です。
「確率分布」という単元が、現在の数学Bに含まれていますね(「確率分布と統計的な推測」という章です。ただし仮説検定は除きます)。
ですが、私たちの高校ではBの範囲を「数列」と「ベクトル」に絞っていて、「確率分布」は手つかずでした。先生いわく、「それが普通」だと。
気になったので質問します。
高校数学Bにおける「確率分布」は、1980年頃のカリキュラムにはなかった内容ですか?
なんとなく、最近増えたものなんじゃないかと……。
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「ふうん……悪くないわね、こういうの」
田心は手紙を読み終えると、小さく鼻で笑い、椅子の背もたれに深くもたれかかった。
隣で羽を休めていた文一に視線を投げる。
「で? これって“真面目に”返さなきゃダメなやつ?」
文一は、まるで誰かの物まねのように、わずかにうなずいた。
いつになく落ち着いたその様子に、田心は思わず笑ってしまう。
「……ああ、もう。神様って本当に、お節介な制度ばっかりつくるのね」
そうぼやきつつも、田心は返信用の羊皮紙を引き寄せ、迷うことなくペンを取った。
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ジャッキーチュンチュン様(って名前で本当にいいの?)
こんにちは、田心です。お便りありがとう。
「確率分布」、気になってるのね。わたしも医系を目指してるから、統計とか確率はよく気にしてる単元よ。
結論から言うと、あなたの感覚は正しいと思う。
昔の数学B――というか、1980年頃には、そもそも「数学B」という分類がなかったの。
当時の高校数学は「代数・幾何」「基礎解析」「数学I・II」みたいな構成だったから、今とはかなり違うの。
「確率分布」や「統計的な推測」みたいな内容は、“現代数学”や“数学C”の一部で軽く触れられていたかも……というレベルで、たぶん多くの高校ではちゃんとは扱ってなかったと思う。
つまり、「今の数学Bに確率分布がある」っていうのは、わりと最近の話。
2000年代に入って、データサイエンスとか、エビデンス重視の時代になってから、教育の中にもそういう視点が反映されてきたんじゃないかな。
だから、「うちの学校で確率分布やってない」っていうのも、実は普通のことなの。
先生の「それが普通」って言葉も、思ってる以上に妥当だったりするのよ。
でもね、将来、医療とか科学の分野に進むなら、確率や統計って思った以上に重要になってくる。
「点を取るために覚える」じゃなくて、「自分の未来に必要かどうか」で判断するのもアリだと思う。
数学って、“制度”に全部収まらない教科でもあるの。
だから「入試に出るかどうか」より、「面白いと思ったからやってみる」っていう姿勢は、すごく強い。
今、あなたが「知りたい」と思ったその感覚を、大事にして。
わたしも今度の模試が終わったら、ちょっとずつ確率と統計を復習してみるつもり。
未来の現場で、たぶん使うことになるからね。
では、また手紙で会いましょう。
草薙 田心
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「ふぅ……書いたわよ」
田心は手紙を文一に差し出した。
霊鳥は何も言わず、するりとくちばしで手紙をつまむと、またゆっくりと羽ばたいた。
手紙はそのまま宙へ舞い上がり、金の粉をまぶしたように光りながら、未来へと消えていく。
田心は、少しだけまぶしそうに空を見上げた。
「こういうのって……案外、悪くないわね。自分の頭も整理されるし」
その背後から、声が飛んでくる。
「ねえ、今“ちょっといい話風にまとめようとした”でしょ」
妹の湍津が、半分笑いながらツッコミを入れた。
田心は肩越しににやりと笑ってみせる。
「……バレた?」
湍津は、面倒くさそうにため息をついたが、その口元もどこか柔らかかった。
光と風と、ほんの少しの未来を宿した夏の午後。
三姉妹の時間は、静かに、でも確かに、未来へと続いている。
『未来郵便と神託の三姉妹 ──湍津編』
封筒は、あと一つだけ残っていた。
そこには、丸みを帯びたクセのある文字で、こう記されていた。
湍津様へ
差出人:良い子悪い子すずめの子
「……欽ドンかよ」
湍津は思わず小さくつぶやいた。
隣の田心が即座にツッコむ。
「よーく、考えてみよう」
市杵はくすくすと笑いながら言う。
「いいから、読んでみなよ。気になるでしょ?」
湍津はやれやれと肩をすくめる。
「まあ、私宛ってことは、美大系の相談でしょうよ。ちゃんとしててほしいわね」
彼女は慎重に封を開き、中から出てきた便箋を目で追いはじめた。
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湍津様へ
私は藝大デザイン科、多摩美グラフィック、武蔵美視覚伝達などを志望しています。
通っているのは私立の大学付属高校で、共通テストを受けるのは私だけ。模試や小論対策もほとんどしてくれません。
予備校の友達は平日に塾通いができる環境なのに、私の高校は週6日フル授業。
サボればすぐ親に連絡がいくし、融通も利きません。
日曜に開いている塾は少ないし、実技予備校の学科対策コースは評判が悪くて辞めた子も多く……。
今、三つの選択肢で迷っています。
1. 専門塾に飛び込む
2. 実技予備校の学科対策に行く
3. 独学(その場合の勉強法がわかりません)
湍津様、どうか、ご意見をいただけたらと思います。
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読み終えた湍津は、ふうっと大きく息を吐き、立ち上がった。
背伸びをしながら天井を見上げる。
「……わかる。めっちゃ、わかるわ。ていうか、私のことかと思った」
彼女は苦笑しながらも、静かな目で文一を見た。
文一は黙って、返信用の便箋を差し出した。
「じゃあ、いっちょ答えてやるか。すずめの子、しっかり読んでな」
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良い子悪い子すずめの子さんへ
湍津です。お便りありがとう。
あなたの悩み、まるで“もうひとりの私”を見ているようだった。
私も藝大チャレンジ組だけど、正直、学校の授業はカリキュラムと合わないし、塾に行く時間もお金も足りない。
“詰んでる”って思ったこと、何度もあるよ。
でも、まずはひとつずつ整理して考えてみよう。
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1. 専門塾に通うべき?
→可能なら「検討の価値あり」。
途中入塾でも、たとえば”個別型”や”映像授業”なら、出遅れを気にせず始められる。
費用もピンキリ。まずは親に「目的」と「費用感」をしっかり伝えて、話し合ってみて。
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2. 実技予備校の学科コース?
→評判が悪いなら、やめておいた方がいい。
「実技はいいけど学科は微妙」って予備校、意外と多いの。
友達が辞めたのも、きっと“自分を守る選択”だったんだと思う。
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3. 独学で行くなら?
→私は今、まさにこのルート。
▼現代文と英語
・『入試現代文へのアクセス(基本編)』『田村のやさしく語る現代文』で読解の型を習得。
・英語は『システム英単語』『NextStage』で基礎をガッチリ。
▼小論文
・藝大・美大の小論は「型」を知れば勝てる。
・たとえば『武蔵美の過去問』を一冊決めて、模写→分析→自分の言葉へ。
・“書く”より“読む・真似る”がスタート地点だよ。
▼時間の使い方
・日曜は“集中デー”。
→図書館や静かなカフェに「勉強のためのお出かけ」すると、集中力が上がる。
・平日はスキマ時間に「英語音読」や「単語アプリ」を。
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最後に。
今、あなたは「足りないもの」をたくさん数えてると思う。
でもそれって、実は“本気で目指してる証拠”なんだよ。
私も「藝大なんて無理だよ」って何度も言われた。
でも――やれることを、地道に、粘り強くやってきた。
だから、あなたもきっと大丈夫。
だって、あなたはもう、“自分を知ろうとしている”。
迷っているけど、止まっていない。
その姿勢こそが、未来を引き寄せる力になる。
あなたの感性は、すでに誰かに届きはじめているよ。
あとは、そのまま、続けていくだけ。
応援しています。
湍津より
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湍津は書き終えた手紙を、すっと文一に差し出した。
霊鳥はそのくちばしで器用に羊皮紙を挟み、ふわりと舞い上がる。
そして、夜空のように深い空間へと、手紙はまた一つ、光となって溶けていった。
「……“すずめの子”って名前のクセに、なかなか芯があるじゃない。応援したくなるわけだわ」
彼女がぽつりとつぶやくと、後ろから市杵と田心が笑った。
「まったく……私たち、完全に“導く側”になっちゃったわね」
「剣だった頃より……今の方が、ずっと好きかも」
神の器だった三姉妹は、いまや未来を照らす灯火。
それは決して強くはないけれど、
不安な夜道を進む誰かにとって、確かに見えるあかりだった。
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『未来郵便と神託の三姉妹 ──クロージングトーク』
空中にふわりと舞い上がったのは、一羽の不思議な鳥だった。白く光るその羽根は、どこか神々しさを湛えているのに、本人(鳥?)の挙動はやけに軽妙だ。
――くるり。
文一と名乗るその鳥は、器用に空中でターンを決めると、羽ばたきながらホバリングを始めた。
「えー、第一回『未来からのお便りコーナー』、いかがでしたでしょうかー!」
調子のいい司会者ふうの声が響き渡る。脳内にパチパチパチ……と拍手の効果音まで流れたのは、おそらく文一の演出だろう。
くるん、と再び身体をひねって、文一は目の前の三人の少女――否、神の娘たちに向き直る。
「では、それぞれ感想をどうぞ。まずは、長女・草薙 市杵!」
指名された少女は、静かに背筋を伸ばした。市杵――神性を持つとはいえ、表情に浮かぶのは思慮深く、穏やかな高校生の面影だ。けれどもその声は、どこか人を導くような力を帯びていた。
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「正直、手紙を読む前は、“未来からの悩み相談”って、ちょっとファンタジーすぎると思ってたんです。でも、読んでみて……胸が熱くなりました。
生まれた時代が違っても、“努力しながら未来を目指す”って意味では、私たちは同じなんですよね。
受験って孤独になりがちだけど、こうして思いを言葉にするだけで、こんなに力がわくんだって思いました。
お便りをくれた方、ありがとう。あなたの頑張りは、ちゃんと届いています。お互い、やりきろうね」
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「ナイスコメント!」
文一が羽根を上下にパタパタと揺らして賛辞を送る。
「じゃあ次は、次女・草薙 田心!」
「えー? こういうのって、ちょっと恥ずかしいんだけど……」
田心は頬を指先でかきながら、それでもまっすぐな目で語り出した。
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「未来から“数学の質問”が来るなんて、最初は正直ちょっと面食らったけど……でも、内容がすごく真剣で。
なんか、私も答えながら勉強になったなって思ったの。
今って、“教わる側”の私たちも、こうして誰かに返事をすることで気づけることがあるんだなって。
生まれた年が違っても、私たちは“今”を一生懸命生きてる仲間だよね。
焦らず、自分のペースで頑張ろうね。私もがんばるよ!」
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「いいぞいいぞ、バランス感覚が絶妙である!」
文一はすっかり司会者気取りだ。満足げにうなずき、最後の一人を紹介する。
「そしてラストは、三女・草薙 湍津!」
「うぃっす」
軽く片手を挙げて応じた湍津は、その表情に浮かぶ冗談っぽさとは裏腹に、鋭いまなざしで前を見据えていた。
彼女は一拍置いて、真剣な声で語り出す。
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「いやー、“良い子悪い子すずめの子”って名前のクセが強すぎて、最初ネタかと思ったけど(笑)。
でも、読んでみたらすっごく真面目で、切実で……。
なんていうか、“自分もずっと悩んでたことじゃん!”って、共感しまくりでした。
だからこそ言いたい。あなただけじゃないって。
私も、きっと他の子も、不安を抱えながら進んでる。
でも、それでもやるって決めたなら――きっとその先にしか見えない景色がある。
一緒に見に行こう。未来で、会おう!」
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語り終えた瞬間、文一が満足げに羽を「パンッ」と打ち鳴らす……ような音が聞こえた(気がした)。
「よき感想であった……!
それではまた次回、未来からの“夢の手紙”が届いたときに会おう!
君たちの筆が、誰かの希望となるのだ!」
三姉妹は、無言でうなずき合った。
そのまま自然に立ち上がり、それぞれの言葉で締めくくる。
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「うん、やることは多いけど――誰かの背中を、少しでも押せるなら」
「勉強だけじゃない、こういう“つながり”って、なんか嬉しいよね」
「じゃ、次回も腕が鳴るわね!」
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その場に風が吹いた――音もなく、しかし確かに。
草薙三姉妹。神の名を冠しながらも、迷い、悩み、前に進もうとする者たち。
彼女たちは静かに、しかし確かに、“導き手”としての使命を受け入れはじめていた。
未来と今をつなぐ、希望の橋を――
彼女たちの手から、文字に乗せて。
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文一が天井に向かって羽ばたきながら、高らかに締めの合図を告げる。
「それでは、第一回・未来郵便お便りコーナー――これにて、しゅーりょ~~!」
ぴゅるるる〜っと、どこからともなくファンファーレ(※脳内)が鳴り響く。
そして、どこからともなく始まる懐かしのフレーズ。
☆「宿題やれよー」(いちき)
☆「風呂入れよー」(たきり)
☆「歯みがけよー」(たぎつ)
そして、3人で顔を見合わせ、にっこり笑って――
「ま〜たね〜!」
バサバサバサ……と文一が羽を広げ、背景にはなぜか巨大な日の丸と謎の紙吹雪(演出過多)。
受験生に寄り添いながら、どこか懐かしく、だけど確かに背中を押す、草薙三姉妹の“未来郵便”コーナーは、こうして幕を下ろしたのであった――。
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【ミニコーナー】
たきりの園芸 ~今日の癒しは机の上から~
(BGM:チリン…チリン…と、風鈴みたいな癒し音)
たきり:「こんにちは。たきりです。今日はね、多肉植物の寄せ植えを作ります」
(机の上に、欠けた湯飲みやミニ丼が並ぶ)
たきり:「植木鉢?そんなの、わざわざ買わなくていいのよ。割れた湯飲みとか、小さめのどんぶりとか、むしろ風情があるわ」
(スッとピンセットを取り出して、エケベリアを中心に、セダム、グリーンネックレスを丁寧に配置)
たきり:「ほら、エケベリアは主役。セダムとグリーンネックレスは舞台の袖みたいに添えてあげるの」
(サラサラ…と砂を入れる音)
たきり:「水は不要。砂が乾いたら、霧吹きでシュッとね。多肉は“ほったらかし”が愛情なのよ」
たぎつ(チラッと見て):「へえ…配置センス、意外といいじゃない」
いちき(自分の机の境界を指差しながら):「ちょっと……私の机まで侵入してるんですけど! このセダム、私のペン立ての上に根張ってるわよ⁉」
たきり(動じずに微笑む):「それもまた、“自然との共生”ってことで」
(ちゃっかり霧吹きシュッ)
☆チリン…チリン…
ナレーション(文一・声のみ):「来週は“たまごパックで苔玉づくり”。また見てねー」
ーー次号へ続くーー




