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さきどり・スクェア(田中オフィス・スピンオフ)  作者: 和子


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3/9

№1・土用のころ便

『未来郵便と神託の三姉妹』


白い光が、レースのカーテン越しにやわらかく差し込んでいる。

草薙家のリビングは、今朝も静かで、ほんの少しだけ特別な空気が漂っていた。


その中心に、三通の封筒が並んでいる。

どれも色褪せた羊皮紙のような質感で、手に取る前から、ただならぬ存在感があった。


「ねぇ、これ……ラブレターだったらどうする?」

末妹の湍津たぎつが、目を輝かせて声を上げる。


真ん中の姉、田心たきりはソファに胡坐をかきながら封筒を見下ろした。

「ふざけてるな……『45年後のマリリン』って誰よ。『ジャッキーチュンチュン』とか……もう意味わかんない」

「『良い子悪い子すずめの子』なんてのもあるけど、ぜったい怪しいって」と田心が笑った。


そのときだった。

窓辺にとまっていた白い文鳥が、ふわりとテーブルへ舞い降りる。


けれど、その鳥はただの文鳥ではない。

名を「文一ぶんいち」。草薙家の“神託の霊鳥”だ。


「それは未来から届いた手紙であるな」

文一は、まるで神社の神主のような落ち着いた声で言った。

「『さきどり・スクェア』という異次元のポストから我が回収してきた。君たち三姉妹に課せられた使命――未来への返信である」


「未来!?」

三人が同時に声を重ねる。


「うむ。これは“逆・タイムカプセル”のようなものである。かつて1985年の科学万博で『2001年の君へ』という手紙プロジェクトがあったのは知っておるか?」


「うっすら教科書で見た気もするけど……」と湍津。


「これはその“逆”じゃ。未来の誰かが、45年前の“今”――つまり君たちに宛てて送った悩み相談の手紙。君たちはそれに返事を書く。“神託ペンパル”であるな」


「ちょっと、無理無理~。受験で忙しいのに……」湍津が声をあげる。


「バイト代出るなら、考えてもいいけど?」と田心。


文一は、ふっと羽を広げた。


「願いを絵馬に書くようなものだ。叶える義務はない。ただ、“考えて”、言葉を返すだけ。それだけでも、救われる魂がある」


姉の市杵いちきは、その言葉に黙って立ち上がった。

「……なら、まず読んでみるわ」


彼女は自分宛の封筒を開いた。中から出てきたのは、丁寧な字で綴られた一通の手紙だった。


---


草薙 市杵 様


受験についての悩みというか、不安です。

先日、大学入試の過去問を色々と見てみたんですよ。日東駒専産近甲龍、GMARCH関関同立……。

最初は「全然わからないかも」と思いながら解いてみたら、3割くらいはなんとか……。

「このまま頑張ればいけるかも!」と思う反面、「やっぱり落ちちゃうかも……」という不安もあって。


やっぱり、問題を解きまくるのが一番なんでしょうか?

過去問がある程度解けるようになってきたら、本番もいけるんでしょうか?


---


市杵は、手紙を胸元でそっと伏せ、目を閉じた。

まぶたの裏に、どこかの誰かが、自分と同じように机に向かっている姿が浮かぶ。


「これは……未来の誰かが、自分の“今”に向き合おうとしてる手紙だ」


ゆっくりと目を開け、市杵は机の引き出しから万年筆を取り出した。

文一が差し出した返信用の羊皮紙に、静かに、けれど迷いなく綴り始める。


---


**親愛なる未来のあなたへ**


市杵です。

まず、こう言いたい。「あなたはすごい」。

だって、すでに一歩を踏み出している。自分を試して、前に進もうとしている。

3割解けたのは偶然じゃありません。あなたの努力が、ちゃんと形になった証拠です。


受験って、不安になりますよね。

「このまま頑張っても落ちたらどうしよう」って考えるの、すごく自然なことです。

でも、その不安は“覚悟”の裏返し。

それだけ、本気でこの先のことを考えてるからこそ、怖くなるんです。


過去問を解くのは、相手の癖を知ること。

剣術でいえば、構えや足の運びを見て、どう立ち向かうかを考える練習です。

完全に同じ問題が出なくても、“戦い方”を体に覚えさせていくことが、あなたを守ります。


今、あなたがやっていることは、剣を研ぐこと。

続けていけば、必ず“あなたの剣”は光ります。


どうか、あきらめず、一歩ずつ。

今を重ねてください。

未来のあなたが、「あの時、よく頑張った」と思えるように。


あなたの未来を、心から応援しています。


草薙 市杵



書き終えた手紙を文一がくちばしでつまむと、ふわりと宙へ舞った。

そして手紙は、光を帯びながら空へと溶けていく。まるで星に還る祈りのように。


「これが……“未来郵便”か」湍津がつぶやく。


田心が小さく笑って言う。

「なにそれ……ちょっと、かっこいいじゃん」


三姉妹の過ごす夏の日は、静かに、そして確かに動き出していた。

“神託の三姉妹”としての物語は、いま再び、未来の誰かのために――静かに幕を上げていた。



『 未来郵便と神託の三姉妹──田心編』


いちきが書いた手紙が光の粒となり、文一の羽ばたきとともに空間へ溶けていった頃。

テーブルの上には、まだ、開封されぬ封筒が残っていた。


次姉の田心たきりは、その封筒をしばらく見つめていた。

指先に触れるのもためらっていたような、でも目だけは逸らせなかった。


「……“ジャッキーチュンチュン”って、なんなのよ、まったく」

そう言いながらも、その封筒を手に取った。目尻にはどこか笑みの名残があった。


ぱり、と封を切る音が静かな空間に溶けた。

手紙は思ったよりもきちんと折られていて、文字も驚くほど整っていた。


---


たきり様


数学についての相談です。

「確率分布」という単元が、現在の数学Bに含まれていますね(「確率分布と統計的な推測」という章です。ただし仮説検定は除きます)。

ですが、私たちの高校ではBの範囲を「数列」と「ベクトル」に絞っていて、「確率分布」は手つかずでした。先生いわく、「それが普通」だと。


気になったので質問します。

高校数学Bにおける「確率分布」は、1980年頃のカリキュラムにはなかった内容ですか?

なんとなく、最近増えたものなんじゃないかと……。


---


「ふうん……悪くないわね、こういうの」

田心は手紙を読み終えると、小さく鼻で笑い、椅子の背もたれに深くもたれかかった。


隣で羽を休めていた文一に視線を投げる。


「で? これって“真面目に”返さなきゃダメなやつ?」


文一は、まるで誰かの物まねのように、わずかにうなずいた。

いつになく落ち着いたその様子に、田心は思わず笑ってしまう。


「……ああ、もう。神様って本当に、お節介な制度ばっかりつくるのね」


そうぼやきつつも、田心は返信用の羊皮紙を引き寄せ、迷うことなくペンを取った。


---


ジャッキーチュンチュン様(って名前で本当にいいの?)


こんにちは、田心です。お便りありがとう。

「確率分布」、気になってるのね。わたしも医系を目指してるから、統計とか確率はよく気にしてる単元よ。


結論から言うと、あなたの感覚は正しいと思う。

昔の数学B――というか、1980年頃には、そもそも「数学B」という分類がなかったの。


当時の高校数学は「代数・幾何」「基礎解析」「数学I・II」みたいな構成だったから、今とはかなり違うの。

「確率分布」や「統計的な推測」みたいな内容は、“現代数学”や“数学C”の一部で軽く触れられていたかも……というレベルで、たぶん多くの高校ではちゃんとは扱ってなかったと思う。


つまり、「今の数学Bに確率分布がある」っていうのは、わりと最近の話。

2000年代に入って、データサイエンスとか、エビデンス重視の時代になってから、教育の中にもそういう視点が反映されてきたんじゃないかな。


だから、「うちの学校で確率分布やってない」っていうのも、実は普通のことなの。

先生の「それが普通」って言葉も、思ってる以上に妥当だったりするのよ。


でもね、将来、医療とか科学の分野に進むなら、確率や統計って思った以上に重要になってくる。

「点を取るために覚える」じゃなくて、「自分の未来に必要かどうか」で判断するのもアリだと思う。


数学って、“制度”に全部収まらない教科でもあるの。

だから「入試に出るかどうか」より、「面白いと思ったからやってみる」っていう姿勢は、すごく強い。


今、あなたが「知りたい」と思ったその感覚を、大事にして。

わたしも今度の模試が終わったら、ちょっとずつ確率と統計を復習してみるつもり。

未来の現場で、たぶん使うことになるからね。


では、また手紙で会いましょう。


草薙 田心たきり


---


「ふぅ……書いたわよ」

田心は手紙を文一に差し出した。


霊鳥は何も言わず、するりとくちばしで手紙をつまむと、またゆっくりと羽ばたいた。

手紙はそのまま宙へ舞い上がり、金の粉をまぶしたように光りながら、未来へと消えていく。


田心は、少しだけまぶしそうに空を見上げた。


「こういうのって……案外、悪くないわね。自分の頭も整理されるし」


その背後から、声が飛んでくる。


「ねえ、今“ちょっといい話風にまとめようとした”でしょ」

妹の湍津が、半分笑いながらツッコミを入れた。


田心は肩越しににやりと笑ってみせる。


「……バレた?」


湍津は、面倒くさそうにため息をついたが、その口元もどこか柔らかかった。


光と風と、ほんの少しの未来を宿した夏の午後。

三姉妹の時間は、静かに、でも確かに、未来へと続いている。



『未来郵便と神託の三姉妹 ──湍津編』


封筒は、あと一つだけ残っていた。

そこには、丸みを帯びたクセのある文字で、こう記されていた。


湍津様へ

差出人:良い子悪い子すずめの子


「……欽ドンかよ」

湍津は思わず小さくつぶやいた。


隣の田心が即座にツッコむ。

「よーく、考えてみよう」


市杵はくすくすと笑いながら言う。

「いいから、読んでみなよ。気になるでしょ?」


湍津はやれやれと肩をすくめる。

「まあ、私宛ってことは、美大系の相談でしょうよ。ちゃんとしててほしいわね」


彼女は慎重に封を開き、中から出てきた便箋を目で追いはじめた。


---


湍津様へ


私は藝大デザイン科、多摩美グラフィック、武蔵美視覚伝達などを志望しています。

通っているのは私立の大学付属高校で、共通テストを受けるのは私だけ。模試や小論対策もほとんどしてくれません。


予備校の友達は平日に塾通いができる環境なのに、私の高校は週6日フル授業。

サボればすぐ親に連絡がいくし、融通も利きません。

日曜に開いている塾は少ないし、実技予備校の学科対策コースは評判が悪くて辞めた子も多く……。


今、三つの選択肢で迷っています。


1. 専門塾に飛び込む

2. 実技予備校の学科対策に行く

3. 独学(その場合の勉強法がわかりません)


湍津様、どうか、ご意見をいただけたらと思います。


---


読み終えた湍津は、ふうっと大きく息を吐き、立ち上がった。

背伸びをしながら天井を見上げる。


「……わかる。めっちゃ、わかるわ。ていうか、私のことかと思った」

彼女は苦笑しながらも、静かな目で文一を見た。


文一は黙って、返信用の便箋を差し出した。


「じゃあ、いっちょ答えてやるか。すずめの子、しっかり読んでな」


---


良い子悪い子すずめの子さんへ


湍津です。お便りありがとう。


あなたの悩み、まるで“もうひとりの私”を見ているようだった。

私も藝大チャレンジ組だけど、正直、学校の授業はカリキュラムと合わないし、塾に行く時間もお金も足りない。

“詰んでる”って思ったこと、何度もあるよ。


でも、まずはひとつずつ整理して考えてみよう。


---


1. 専門塾に通うべき?

→可能なら「検討の価値あり」。

途中入塾でも、たとえば”個別型”や”映像授業”なら、出遅れを気にせず始められる。

費用もピンキリ。まずは親に「目的」と「費用感」をしっかり伝えて、話し合ってみて。


---


2. 実技予備校の学科コース?

→評判が悪いなら、やめておいた方がいい。

「実技はいいけど学科は微妙」って予備校、意外と多いの。

友達が辞めたのも、きっと“自分を守る選択”だったんだと思う。


---


3. 独学で行くなら?

→私は今、まさにこのルート。


▼現代文と英語

・『入試現代文へのアクセス(基本編)』『田村のやさしく語る現代文』で読解の型を習得。

・英語は『システム英単語』『NextStage』で基礎をガッチリ。


▼小論文

・藝大・美大の小論は「型」を知れば勝てる。

・たとえば『武蔵美の過去問』を一冊決めて、模写→分析→自分の言葉へ。

・“書く”より“読む・真似る”がスタート地点だよ。


▼時間の使い方

・日曜は“集中デー”。

→図書館や静かなカフェに「勉強のためのお出かけ」すると、集中力が上がる。

・平日はスキマ時間に「英語音読」や「単語アプリ」を。


---


最後に。


今、あなたは「足りないもの」をたくさん数えてると思う。

でもそれって、実は“本気で目指してる証拠”なんだよ。


私も「藝大なんて無理だよ」って何度も言われた。

でも――やれることを、地道に、粘り強くやってきた。

だから、あなたもきっと大丈夫。


だって、あなたはもう、“自分を知ろうとしている”。

迷っているけど、止まっていない。

その姿勢こそが、未来を引き寄せる力になる。


あなたの感性は、すでに誰かに届きはじめているよ。

あとは、そのまま、続けていくだけ。


応援しています。


湍津より


---


湍津は書き終えた手紙を、すっと文一に差し出した。


霊鳥はそのくちばしで器用に羊皮紙を挟み、ふわりと舞い上がる。

そして、夜空のように深い空間へと、手紙はまた一つ、光となって溶けていった。


「……“すずめの子”って名前のクセに、なかなか芯があるじゃない。応援したくなるわけだわ」


彼女がぽつりとつぶやくと、後ろから市杵と田心が笑った。


「まったく……私たち、完全に“導く側”になっちゃったわね」

「剣だった頃より……今の方が、ずっと好きかも」


神の器だった三姉妹は、いまや未来を照らす灯火。

それは決して強くはないけれど、

不安な夜道を進む誰かにとって、確かに見えるあかりだった。


---


『未来郵便と神託の三姉妹 ──クロージングトーク』


 空中にふわりと舞い上がったのは、一羽の不思議な鳥だった。白く光るその羽根は、どこか神々しさを湛えているのに、本人(鳥?)の挙動はやけに軽妙だ。

 ――くるり。

 文一と名乗るその鳥は、器用に空中でターンを決めると、羽ばたきながらホバリングを始めた。


「えー、第一回『未来からのお便りコーナー』、いかがでしたでしょうかー!」


 調子のいい司会者ふうの声が響き渡る。脳内にパチパチパチ……と拍手の効果音まで流れたのは、おそらく文一の演出だろう。


 くるん、と再び身体をひねって、文一は目の前の三人の少女――否、神の娘たちに向き直る。


「では、それぞれ感想をどうぞ。まずは、長女・草薙 市杵いちき!」


 指名された少女は、静かに背筋を伸ばした。市杵――神性を持つとはいえ、表情に浮かぶのは思慮深く、穏やかな高校生の面影だ。けれどもその声は、どこか人を導くような力を帯びていた。


---


「正直、手紙を読む前は、“未来からの悩み相談”って、ちょっとファンタジーすぎると思ってたんです。でも、読んでみて……胸が熱くなりました。


 生まれた時代が違っても、“努力しながら未来を目指す”って意味では、私たちは同じなんですよね。


 受験って孤独になりがちだけど、こうして思いを言葉にするだけで、こんなに力がわくんだって思いました。


 お便りをくれた方、ありがとう。あなたの頑張りは、ちゃんと届いています。お互い、やりきろうね」


---


「ナイスコメント!」

 文一が羽根を上下にパタパタと揺らして賛辞を送る。


「じゃあ次は、次女・草薙 田心たきり!」


「えー? こういうのって、ちょっと恥ずかしいんだけど……」


 田心は頬を指先でかきながら、それでもまっすぐな目で語り出した。


---


「未来から“数学の質問”が来るなんて、最初は正直ちょっと面食らったけど……でも、内容がすごく真剣で。


 なんか、私も答えながら勉強になったなって思ったの。


 今って、“教わる側”の私たちも、こうして誰かに返事をすることで気づけることがあるんだなって。


 生まれた年が違っても、私たちは“今”を一生懸命生きてる仲間だよね。


 焦らず、自分のペースで頑張ろうね。私もがんばるよ!」


---


「いいぞいいぞ、バランス感覚が絶妙である!」


 文一はすっかり司会者気取りだ。満足げにうなずき、最後の一人を紹介する。


「そしてラストは、三女・草薙 湍津たぎつ!」


「うぃっす」


 軽く片手を挙げて応じた湍津は、その表情に浮かぶ冗談っぽさとは裏腹に、鋭いまなざしで前を見据えていた。

 彼女は一拍置いて、真剣な声で語り出す。


---


「いやー、“良い子悪い子すずめの子”って名前のクセが強すぎて、最初ネタかと思ったけど(笑)。


 でも、読んでみたらすっごく真面目で、切実で……。


 なんていうか、“自分もずっと悩んでたことじゃん!”って、共感しまくりでした。


 だからこそ言いたい。あなただけじゃないって。


 私も、きっと他の子も、不安を抱えながら進んでる。


 でも、それでもやるって決めたなら――きっとその先にしか見えない景色がある。


 一緒に見に行こう。未来で、会おう!」


---


 語り終えた瞬間、文一が満足げに羽を「パンッ」と打ち鳴らす……ような音が聞こえた(気がした)。


「よき感想であった……!

 それではまた次回、未来からの“夢の手紙”が届いたときに会おう!

 君たちの筆が、誰かの希望となるのだ!」


 三姉妹は、無言でうなずき合った。

 そのまま自然に立ち上がり、それぞれの言葉で締めくくる。


---


「うん、やることは多いけど――誰かの背中を、少しでも押せるなら」

「勉強だけじゃない、こういう“つながり”って、なんか嬉しいよね」

「じゃ、次回も腕が鳴るわね!」


---


 その場に風が吹いた――音もなく、しかし確かに。


 草薙三姉妹。神の名を冠しながらも、迷い、悩み、前に進もうとする者たち。

 彼女たちは静かに、しかし確かに、“導き手”としての使命を受け入れはじめていた。


 未来と今をつなぐ、希望の橋を――

 彼女たちの手から、文字に乗せて。


---


文一が天井に向かって羽ばたきながら、高らかに締めの合図を告げる。


「それでは、第一回・未来郵便お便りコーナー――これにて、しゅーりょ~~!」

ぴゅるるる〜っと、どこからともなくファンファーレ(※脳内)が鳴り響く。

そして、どこからともなく始まる懐かしのフレーズ。


☆「宿題やれよー」(いちき)

☆「風呂入れよー」(たきり)

☆「歯みがけよー」(たぎつ)


そして、3人で顔を見合わせ、にっこり笑って――

「ま〜たね〜!」

バサバサバサ……と文一が羽を広げ、背景にはなぜか巨大な日の丸と謎の紙吹雪(演出過多)。

受験生に寄り添いながら、どこか懐かしく、だけど確かに背中を押す、草薙三姉妹の“未来郵便”コーナーは、こうして幕を下ろしたのであった――。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【ミニコーナー】

たきりの園芸 ~今日の癒しは机の上から~


(BGM:チリン…チリン…と、風鈴みたいな癒し音)

たきり:「こんにちは。たきりです。今日はね、多肉植物の寄せ植えを作ります」


(机の上に、欠けた湯飲みやミニ丼が並ぶ)

たきり:「植木鉢?そんなの、わざわざ買わなくていいのよ。割れた湯飲みとか、小さめのどんぶりとか、むしろ風情があるわ」


(スッとピンセットを取り出して、エケベリアを中心に、セダム、グリーンネックレスを丁寧に配置)

たきり:「ほら、エケベリアは主役。セダムとグリーンネックレスは舞台の袖みたいに添えてあげるの」


(サラサラ…と砂を入れる音)

たきり:「水は不要。砂が乾いたら、霧吹きでシュッとね。多肉は“ほったらかし”が愛情なのよ」


たぎつ(チラッと見て):「へえ…配置センス、意外といいじゃない」

いちき(自分の机の境界を指差しながら):「ちょっと……私の机まで侵入してるんですけど! このセダム、私のペン立ての上に根張ってるわよ⁉」


たきり(動じずに微笑む):「それもまた、“自然との共生”ってことで」

(ちゃっかり霧吹きシュッ)


☆チリン…チリン…

ナレーション(文一・声のみ):「来週は“たまごパックで苔玉づくり”。また見てねー」

ーー次号へ続くーー




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