恋慕
ローランが、生き返るの?
もう一度、会う事が出来る?
そんな事は勿論、常識では不可能だ。
だから考えた事すら無かった。
それが現実になるかもしれない…?
ハッ!?
そうなると、レイきゅんを引き渡す事になる?
思考の中から、一番大事な部分が欠けていた。
出来ない。出来る訳がない!
レイきゅんと寝食を共にして、一緒にいる理由。
それは、レイきゅんが魔王であるかもしれないから。
まだ確証は持てないが。
もし他に引き渡すくらいなら、リタは容赦なく彼を抹殺するだろう。
私の返答は決まった!
…と思いきや、デューレが先に口を開いた。
「悪いけど、交渉は決裂ね。 第1王子には気の毒だけど、これだけ経過して音沙汰無しじゃ…生きていないわよ。 千里眼なんて無駄だと思うけど?」
「そ、それは…まだ確証を得た訳ではないですわ!」
狼狽えるメアリ皇女。
そこに…
「デューレの言う通りじゃ。儂の千里眼を使うまでも無かろうて」
横槍を入れるのは、突然に帰還したリタ。
「皇女が来た理由は、グロニアの騎士団長がお目当てかの?」
「な、な!何を…言ってらっしゃるのかしらッ?」
明らかに目が泳いでいるメアリ。非常に判り易い。
更にリタは彼女への追い討ちをかける。
「王国の要請で千里眼での調査じゃが、既に行なっておる。勿論…見つからずじゃがな」
「そう…でしたの」
項垂れるメアリ皇女。
ちょっと可哀想な気もする。
皇女であるこの子だって、好きな人に何かをしてあげたい普通の女の子なんだよね…
「それから…復活の宝珠は贋作じゃ。 皇国の伝承には悪いが、そんな物は実在せんわ。」
「そ、そんな…?」
そっか…そうだよね。
そんなの、どんな世界でも不可能なんだ。
一瞬でも期待したけど、無理なものは無理だよね。
それに、ローランはいつだって私の中にいる。
だから、大丈夫。
落ち込んだりしないよ?
私も少しだけ、強くなったんだよ、ローラン。
「それが本物なら、とっくに聖戦士を蘇えらせて四聖人が揃っとるわ! それ以前に、デューレではなく先代の弓術士がここにおったじゃろうな?」
リタの話に、更にガクリと項垂れる皇女。
その時、デューレの身体がピクリと動いたのを見た。
先代の弓術士…
気にはなるけど、果たして聞いて良い事なのだろうか?
しかし、再び皇女が声を張り上げた。
「そ、それでは隠す必要も無くなった事ですし、貴女達に要請しますわ! 私はグロニアの騎士団長サーテイン様をお慕い申し上げておりますの! よって、私との仲を取り持ちなさいな!」
へっ?そんな事を、私達に言われても…
「私と結ばれる、それは次期皇帝となると言う事ですのよ! サーテイン様との婚姻。それは永きに渡る両国の因縁も終わりを迎え、新たな歴史の第1歩になりますわ!」
わー凄いね、頑張ってー。
正直、面倒なのであまり関わりたくない感じ。
しかし…!
「担当はセーラが適任じゃの?」
「皇女がお慕いする騎士団長の愛弟子だもんね。じゃ、あと宜しく!」
わ!コイツら、丸投げしやがった…!
「あら、戦乙女様ったら!サーテイン様のお弟子さんでしたのね? 早くおっしゃって下さいな!」
勝手に私の手を握ってブンブンする皇女メアリ。
こうして、何故か皇女担当になってしまった私。
仲を取り持てと言われても…
困った私とは正反対に、眩しい笑顔を見せる皇女メアリであった。




