神剣
竜王バハムート……!?
今、ローランは竜王バハムートって言いました??
それってロープレで出て来る、恐ろしく強い奴じゃん…
こんなの、ゲームの中だけの存在じゃなかったの?
翼を広げ、その巨大な最強の魔龍が私達に迫って来た。
その姿を見た瞬間、私は理解した。
幾らローランが強くても、人間にどうこう出来るレベルの相手じゃない。
完全に助けてウルト○マンな案件だ。
せめて自衛隊の戦闘機くらいは必要だ。
私はもう完全に硬直していた。
何も出来ず、ローランと一緒に死んじゃうと理解したからだ。
「……大丈夫ですよ、セーラ」
上空のバハムートを見据えながら、ローランは私に優しく声を掛けてくれる。
ああ…私のダーリンは死の間際までも優しい。
相思相愛になれただけでも、私の短い人生は満ち足りたものだったよ。
でも貴方とキスしたかったな…。
貴方に抱かれたかったな…。
今からでもやって欲しいな…。
「あれ、ただの幻ですから」
「え……?」
「ただの幻影なんですよ、おそらく城塞跡に人が入らない様にする為の」
マジですか?
ゲームオーバーにはならなくて済む感じですか?
茫然としている私を余所に、ローランは上空のバハムートに向かって剣を振り抜いた。
剣から放たれる衝撃波。
一瞬でバハムートに到達した瞬間、その巨体は霧散した。
凄すぎる…!
昔、お兄ちゃんが夢中でやってた格闘ゲームで剣から衝撃波出すキャラクターがいたけど、私のダーリンも同じ事が出来ちゃうなんて思わなかった。
あ、ローランの剣…!?
初めて鞘から抜いたのを見たけど、凄まじい光を放っている。
ロープレで言うところの最強の剣みたいなやつ?
ここまでの旅で出現した怪物は全て、ローランは剣さえ抜かずに倒してた。
殆どはローランを見るや否や退散しちゃってたし、無謀にも向かってきた場合も、蹴り飛ばすだけで戦意を喪失して逃げて行った。
何と言うか、無駄な殺生はしないタイプ?
自慢したりしない性格のローランは何も教えてくれなかったんだけど、『神剣ジュワユーズ』って名前の伝説の剣らしい。
神剣を携えた若き聖戦士ローラン。
彼、私の婚約者なんですよ!
あ、ちょっと自慢入っちゃってますぅ?
ごめんあそばせぇ〜!
「それでは、城塞跡に向かいましょうか?」
マヌケな顔をしていたであろう私に声を掛けながら、ローランは剣を鞘に収めた。




