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8.4年目
4年目は逃げようとした。
これ以上彼女の傍に居たくなかった。最初から嫌ではあったが、4年後ろをついて回れば、不本意ながら、笑顔以外に彼女の表情が視界の端に写る事がある。俺はそれを視界の真ん中に写したくなかった。必要以上にレミリアを知りたくはなかった。
そして俺以外に彼女に向ける目がある事、そいつらに妖艶な表情を魅せる事もなんとなく見ていたくなかった。
レミリアはその日珍しく城にいなかった。父の仕事を見て回るといっていたが本当かどうか定かではない。
しかし、いないのであればありがたい。彼女という監視がなければここから逃げるのも容易いだろう。誰もが深い眠りにつく時間。警備で眠さという欲に負け一番手を抜きたくなる時間。そこを狙った。
やっと…外。月がこれだけ出てれば、道も見える。くそ女の石ころ売れば暫くは隠れられるだろう…
俺を探すかはわからんが……
そう考えていると
「ばかね。お前」
静寂から聞きなれた鈴のような声が聞こえた。驚いて振り向くと当然かのように彼女がいる。
「なんだってこんな明るい日を選ぶのよ」
「ま、主人がいない日を選んだのは誉めてあげるけどね」
ペットの夜の散歩はそれで終わった。




