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13.決着
彼女の剣は何度も受けてきた。ワンパターンで、力も軽い。何回も何回も同じ攻撃をしてきて、たまにかすった程度で喜んでいた。人を切った事がないあまちゃんなのだろうと安心していた。昔だって今だって彼女の攻撃なんざ避けるなんてわけもない。
それでも
ーー幼い頃はこの女が逞しく見えたーー
堂々としているのは代わりない、自信も余裕も過剰なくらいあるのも代わりない。それでも昔の彼女と今の彼女はどこか違うように感じる。
ーーこんなにも細かったんだろうかーー
しなやかな腕、透き通る肌。きめ細やかな髪何一つ変わってないない。それなのに細く感じる。5年前別れたあの頃よりずっとーー。
ーーこんなにも弱く、脆かったんだろうかーー
剣が彼女を貫く。
音もなく。彼女は崩れていく。
「終わりだ、何もかも、名誉も富も権力もこの国も。」
その日、アンジェリカ・マリーゴールド・レミリア王女の国は落ちた。彼女の死と共に。
ゼラニウムからの物語はここまでが一旦終いになります。読んで頂き本当にありがとうございました。




