Ⅰ
個人的にはここから本編かと。王女様視点です
ーーーこの国は腐っているーーー
ーーー貧しい人間、弱い人間から富を奪いーーー
ーーー自らの富を増やす貴族ーーー
ーーーそして、この国を統べる王族もーーー
耳障りな音。
人を切る音。人とを殴る音。助けてと叫ぶ声。
汚い……醜い……そんな音でこの国は溢れている
貴族は貧民の金、土地、家族、誇り、そして希望を簡単にうばう。理不尽なまでに平然と人をきり、懐を肥やす。命を命とも思わない。
そんな集団が頂点を占めている。
息がつまる。
「豚の鳴き声はいつきいても醜い……」
父がまた女を買った。人を人とも思わない扱いを今日もしているのだろう。昼間だと言うのに、部屋から女の鳴き声が聞こえる。
権力、富、女、そんなものにばかり溺れる父。
何が自分を支えているのか。わかりもしない。
きっとこの国はそろそろ滅びるだろう。かなり傾いている。
私の人形をそろそろ逃がせばーきっとー。
そう思って部屋をあけると、思ってもない光景に出会う
「あぁ……。この人形をもぅ外には出せないな……壊れてしまった……」
これからどうしたものか、そう考えているとなかなか部屋に入らないことに不思議に思った侍女がどうしたのか尋ね部屋を覗きこむ。
侍女は弾かれたように叫び声をあげ人を呼ぶ。
そうか……人が命を失ったら普通はそういう反応か。倒れた椅子をたて直し降ろされた自分の人形を見る。首にはロープの後。
4年間大事にした人形が壊れたのに涙が一つでない。夢を預けすぎた?追い込み過ぎたのだろうか?次の人形を探さないと…そんな事ばかり頭に浮かぶ。
暫くすると、父が部屋にやってきた。
「お前もやはり私の子だな。あれは大事なものだと思っていたが涙一つどころか、顔色一つ変わらない」壊れた人形と私を見比べた後、父はそう言った。
父に似ている。それもそうか。泣きも悲しみもせず、何故彼が自ら命を絶ったのかを冷静に考えられる情緒の欠片のない自分は紛れもなく王族の血を継いでいる。
自嘲に似た笑みが込み上げる。
「お父様の娘ですもの。考える事は同じですのよ」
私も父と同じーー。
私もこの豚どもと同じーー。
知っていたが。改めて認識するときついものがある。
人形に夢をつめて壊してしまうのは父も私も同じ。夢の内容は違っても同じ事をしている。
国を変える。ささやかとは全く言えないが、夢があった。例え味方がいなくても、例え自分一人でも、例え命がなくなろうとも叶えたい夢。しかし、父を殺すだけではダメだ。自分が王位を継いだところで国はそう変わらない。むしろ利用されてさらに腐敗が広がるだけ。
この国は間違っているとはっきりと言える意思を持った人間に、変えてもらう。
この方法が一番であると私は考えている。
そのためには1人くらい、城について詳しい奴がいるだろうと、1人の青年を自分の都合で人形にした。壊れてしまったが。
諦めきれない夢。私は父と同じ人間。だから。同じやり方しかしらない。誰も教えてくれない。味方なんていない。
ここは、私の、アンジェリカ・マリーゴールド・レミリアの、舞台。
私が、やらなければーーーーー




