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7つ星  作者: 水嶋


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明けの明星

あれ?倉ちゃんって…?

「明日花つえーなー」


「まあな。」



俺は卓球道場で明日花と卓球していた。


仕事の帰り道に明日花が仁王立ちしていた。


「ユーキ、良い事あったか!?」


「ねーな。」


「なら卓球鍛えてやる!良い事あるぞ?」


「何でそうなる…」


「私が卓球やって良い事あったからだ!」


「うーん…お前卓球やりたいだけだろ…」


「そうだ!」


「何か知らんが…まあ良いや。久々にやってみるか」



何だか訳分からん理由で明日花と卓球をしている。


正直難しい…


そして明日花はめちゃくちゃ強い…


「お前弱いなあ…もう少し頑張れよ…」


「今まで殆どやった事ないからなあ。」


「こんな面白いのに…人生損してるなあ」


「かもなあ」


「なら、教えてやる。せめて私から一回くらい勝ってみろ。そしたら何でも言う事聞いてやるぞ」


「へいへい」


「じゃあ毎週土曜日特訓な。絶対来いよ。」




何だかよく分からん内に特訓の約束をされてしまった。


でも何も考えず無心になれて良い気晴らしになるかもと思っていた。






「のみすぎたーのーはぁー!あなたのせぇいぃーよぉー!」



「自分のせいでしょうが倉ちゃん」



今日は月一回のスナック定例議会だ。


ママが相変わらず鋭い切れ味のツッコミを入れている。


「倉ちゃんはね…アタシとおんなじ恋多き人生の浪漫飛行だったからねえ…」


ママがしみじみ語っている。


「へー!」


「最初の相手はドイツの軍人だったわ」


「えっ!?」


倉ちゃんドイツ語話せるんだ…


「でね、その人は実はスパイだったの」


「ええっ!?」


何か色々凄いぞ…


「それでね、潜入してた国にバレて2人で逃避行してる途中に船が遭難してはぐれてね」


「ほう。」

 

「流れ着いたベルギーで記憶を失っててね、ベルギーのパブで働いてた時に出会った人がお忍びで来てたロイヤルファミリーの一員だったのよ」


「そんなバカな」


「でね、その人とメイクラブをしたのは良いけれど、所詮身分違い…倉ちゃんはエジプトへ逃避行。そこでファラオの呪いで記憶が戻るの。」


「どこまで行くんだろう倉ちゃん…」


「そこで出会った日本人観光客と恋に落ちて日本に帰ってきたのよ」


「やっと知ってる国が出てきた」


「でね、その人と子供が出来たけど、子供が小さい内に夫が病で亡くなってね」


「ふむふむ」


「連れ子同士で再婚したけど、最初のドイツの男にね、見つかって恋が再燃してまたまた逃避行」


「やっとまともになりかけた話が元に戻っておかしくなってる」


「子供を置いてきたバチが当たったのかその人とも死別して今はこうして独り身よ。」


「成る程…倉ちゃんは少なくとも5カ国語が話せる事だけは分かりました。」




倉ちゃんはただの不倫ソングを歌う人では無かったみたいだが、どこまでが本当か全く分からない…


なんで社員食堂で働いてるのかも謎だ。



「ユウくん飲んでるー?」


「ハイ、飲んでますよ。ママから倉ちゃんの恋愛武勇伝聞いてましたよ。どこまでが本当なんですか?」


「ふふふ。」


「でもまあ、倉ちゃんが少し羨ましい。俺は未だに失った人にあの時ああすれば良かった、こうすれば良かったってウダウダ思ってるし」


「バカねえ。ウダウダしてれば良いのよ。悩んで悩んで悩み抜きなさい。後悔も沢山しなさい。」


「それで良いのかなあ…」


「それだけ本気だったって事じゃない。素敵よ。」



「成る程…」



何だか…



まるで明けの明星の様な輝きの

この言葉に照らされて少し俺は救われていた。




さすが伊達に恋して無いなあ。


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