流れ星
「セミナーどうだった?」
「うん!やっぱり有料になると凄かった!」
「へー!幾らしたの?」
「3万」
「たっか!」
「でもねー、それだけの価値は十分あると思う。これ最低ランクの料金なんだけどね。」
「俺は話聞くだけでその値段は払えんなあ。下手したら1ヶ月の食費それで行ける」
「あはは、やっぱタムさんは料理に置き換わるんだねー!好きなんだろなあ」
「まあね。基本調理は好きだからなあ」
「タムさんが作る料理美味しいもんなあ。同じ食材使っても作れない」
「なんか誉め殺しされてる?」
「バレたか!」
「ハイハイ、今日は何食べたい?」
「えっとねー、シチュー!タムさん作ると全然違うんだよなー」
「ちゃんと鷄ガラからダシ取ってるからね」
「それが一般人には出来ない事なんだよ!」
「まあ、時間と手間かければそんな難しくもないけどね。じゃあ今から仕込みますよ。」
「はーい!YouTube見ながら待ってまーす」
「ハイハイ」
この値段が最低ランクとは明らかに高かった。
しかしこの時はシチューの仕込みで頭が一杯だった。
「先輩がバイト紹介してくれるって言うから明日行ってくるね」
「バイト?ポップコーン売りは大丈夫なの?」
「うん。夜だから大丈夫」
「夜!?何それ」
「なんかね、ただ座ってニコニコしてれば良いって」
「何それ!キャバクラとかじゃ無いよね!?」
「お店じゃなくてね、お金持ちのお家だって。他にも何人か女の子いるし、賑やかしだからって。お酒飲んだりさせられないから大丈夫って」
「なんか凄い危なそう…行かないとダメなの!?」
「うーん、実はもう先輩に80万借りてて」
「何それ!?」
「セミナーのね、消費者金融とか行くの怖いから最初断ったんだけどね、今度先生がアメリカ行くからこの時しか聞けないって。立て替えてあげるから行った方が良いってもう借りて行っちゃったの」
「じゃあ俺が何とかするから!そんな所行くのやめてよ!」
「タムさんの重荷になりたく無い。好きだから嫌われたくたない。」
「そんなんで嫌いになったりしないから!行くのやめて!」
「あはは!大丈夫!ヤバそうなら逃げ出して来るから!足腰は清掃キャストで鍛えられてるからね!」
「やめてほしいけど…どうしても行くってなら何かあったらすぐ電話してよ!」
「うん!有難う!80万ゲットだぜ!」
冷静に考えればそんなうまい話有る訳ない。
どうしてこの時無理矢理にでも止めなかったんだろう…
『今から会えない?』
次の日佳奈ちゃんからLINEが来た。
昨日は気が気じゃ無かったけど結局連絡無かったから何もなく終わったか、無事に逃げ出したんだろうと思っていた。
「昨日大丈夫だったの!?」
「…」
「何かされたりした!?上手く逃げ出せた!?」
「…」
「お金足りないなら俺何とかするから!」
「…」
「佳奈ちゃん!」
「タムさん…好きだよ…タムさんが嫌いになっても…私は好きだよ…」
「何言ってるの!?分からないよ!」
「これ貰って」
そう言ってジッポーを手渡して来た。
「何これ!?」
「これ手間かかるけど…大事にしてくれたら嬉しい…」
そう言って佳奈ちゃんは走って行ってしまった。
「待ってよ!どう言う事!?」
自分で言っていた様に足は本当に早くて追いかけたけど見失ってしまった。
何度も何度も電話しても電源を切っていて繋がらなかった。
その後、仕事にも来なかった。
心配でずっとイライラしていた。
数日後、知らない番号から電話がかかってきた。
出ようか迷ったけど佳奈ちゃんかもと思って電話に出た。
「もしもし?」
「私、鈴木と申します。佳奈の母親です。」
「佳奈ちゃんの!?佳奈ちゃんは!?佳奈ちゃんどうしてるんですか!?」
「佳奈は…飛び降りて…自殺しました…」




