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07 厄介令嬢の高笑い


 タイミングの悪すぎた(ルミナの死んだ後)プロポーズを無惨に振った後。

 ロゼルフィーユは、「待ってくれ」と追い縋るセディリオに、こう言った。


「とりあえず、適当に罪状をつけて、ルミナの父親の男爵家の家宅捜索でもしてくださる?」


 罪状なんて、掘ったら幾らでも出てくるでしょう、あんな貴族。少し探しただけで横領が出てきましたわ。放置しているのは王家の怠慢ではなくて?


 と、そこまで言って、そのままの足で馬車に乗り込んだ。乗り込む最中に「ロゼ様、私共も!」と、ネリネとラナン(ロゼ様の取り巻き)がやってきたのは、流石に誤算だったが。


 伝令兵は良い仕事をしてくれた。


 後で直接、彼の名前を聞こうと思いながら、ロゼルフィーユは、手紙を開ける。


 男爵が一度捨てたルミナを引き取った理由は単純明白。ルミナに、光魔法が顕現したからだ。だが、時系列を追っていくと、少しばかりの齟齬が生じる。男爵に()()()()()()()に、ルミナは光魔法を発現しているのだ。


 慈善事業?――――――まさか。


 男爵は、知っていたのだ。一度捨てた実子が、とんでもない、金の卵だったと。


 手紙には、望んだ答えがあった。

「男爵がルミナが初代聖女の末裔だと自白した。処分は追って降す」とだけ、端的に記されている。


「中々いい仕事ね」


 男爵は剣先を突きつけただけで勝手にあることないこと話しそうな男ではあるが。とはいえ、この成果は上出来だ。後で褒めてやらなくては。王子に対して不遜極まりない思考だが、誰も止めるものはいない。


 ついに得た情報は、ロゼルフィーユに確信を深めさせた。


 ルミナの天性の光魔法の才能は、持つべくしてあったものだ。その体を流れている血は、初代聖女と同じもの。なればこそ、あの圧倒的な才にも納得がいく。そして、ロゼルフィーユは、確かに欲しかった明確な答えを得た。


「初代聖女の伝承は、正確ではない。初代聖女は魔王討伐後も生き残り、子を成した――――」


 歌劇の悪女のように、ロゼルフィーユは口を歪めた。


 ああ、やはり!絶対に、そうだと思っていた。あの女が、聖女の才にあぐらをかいて、惰眠を貪るのが好きなだけの()()が――――。


「魔王ごときに、お前が殺されるがないわよね、ルミナ……!!」


 聖女ルミナは。

 あの忌々しい女は生きている。

 その証明が為されたのだ!

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