ハンバーグモドキ実食
「うん、フライパンに焦げ付かなくて成功」
少し焦げ目がついて美味しそうに焼けています。それから裏面もしっかり焼いたところで、フライパンを火からおろして、お皿に盛り付けです。
「肉っぽい?」
「お肉料理だからね。食べる?」
じーっと焼けたハンバーグを見ていたミック君に声をかける。
正直、ハンバーグではなく、ハンバーグモドキ。
肉の種類は不明。生臭い可能性あり。玉ねぎとパン粉の代わりに、たまねぎ太郎丸という駄菓子。塩少々とおやつのチーズを入れて作った……ハンバーグ風肉料理。味は保障できないので、勧めるのもちょっと気がひけます。ですが、一人で食べるのはもっと気がひけるので思わず……。
「いいのか?おいら、食べていいのか?だって、これ、料理だろ?本物の料理だろ?」
ん……?
そうか。魔石で複製を出したわけじゃないから珍しいのか。
「えーっと、料理だけど、材料は魔石から出した複製だよ?だから、えーっと、本物ではない……かな?」
ミック君が首を傾げました。
「え?なんで初めから完成品を複製せずに料理するんだ?」
なんで?
そりゃ、複製は材料でしかないから……いや、なんで材料を出すのかっていう話になるのかな?
うーん。簡単な質問のようで、奥が深いです。
「美味しい物が食べたいから……かな」
私の答えに、ミックはちょっと首を傾げています。
初めから美味しい複製食料を出せばそれでいいのにとでも言いたいのでしょうか?
「まぁ、えっと、必ずしも料理したものが美味しいとは限らないんですけどね……」
「ああ、それは分かる!神官皇様もいっぱい失敗してるもん」
しんかんこーさま?何それ?
あれ?どこかで一度聞いたような?
まぁよくわかりませんが、新刊ではないでしょう。教会でミックは働いているというなら、神官ですよね。神官のコウ様とか?そんな感じですかね?
まぁとにかく、まずい可能性もあることを納得したうえで食べてくれるならほっとします。ハンバーグモドキです。圧倒的に材料が足りません。
肉の臭みを消すナツメグや胡椒といったものもありません。そもそも、ソースとなるものが何もありません……。
味付けは、塩とたまねぎ太郎丸だけです。不安しかありません。
「じゃあいただきます」
箸代わりの木の棒でハンバーグモドキに箸を入れます。……変な表現。
ハンバーグモドキ。
う……ん。
生臭さは無事に軽減されています。まだちょっと生臭い感じはありますが、食べられます。
たまねぎ太郎丸がいい仕事をしてくれてます。玉ねぎの風味にプラスして揚げたお菓子なので油が足されてます。
ほら、揚げ物って油が美味しいじゃないですか。ハンバーグなのに、ちょっぴり揚げ物の感じもあって、ソースはないけれど食べられます。メンチカツとまでは言いませんが……。なんか、ずいぶん謎の食べ物が出来上がりました。
美味しさでいえば……正直、普通のハンバーグや普通のメンチカツの方が美味しいです。
ですが、あの生臭くて吐きそうになる肉に比べたら、雲泥の差です。比較すれば、美味しいです。十分です。リピートします。
ミック君にとってはどうなのかと、視線を向けます。
あれ?
一口食べたところで、動きが止まっています。
ごぶさたしております。って、昨日更新してないだけなのに!
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