想像が貧困
「む、無理して食べなくていいからね?」
あまりのまずさに吐き出したいけれど、吐きだせないでいるんでしょうか。
私もあの生臭い肉は飲み込むのが大変でした。10歳の少年が気を使って無理に飲み込もうとしているのでしたら申し訳ないです。
ミック君が首を横にぶんぶんと振りました。
それから、ごくんと喉をならし、口に含んでいたハンバーグモドキを飲み込むと、興奮気味に目を輝かせます。
「泥団子のお兄ちゃんっ!うまい、レンガ、すげーうまい!」
……どこから突っ込んだらいいのでしょう。
泥団子のお兄ちゃん……ではないよということからでしょうか。名乗りましたよね。でも、名前がすっ飛ぶくらい私のことは、ミック君の中では泥団子のお兄ちゃんなんでしょうか……。いったい、なぜ泥団子……。汗。
それから、ハンバーグモドキも、レンガじゃないです。レンガじゃ、ない、です……
「なぁ、こんなにうまいもん、おいらが食べちゃってもいいの?本当にいいの?」
ミック君が一口だけ食べたハンバーグモドキと私の顔を交互に見ます。
「うん。食べていいよ?材料があればまた作ればいいからね」
材料……。たまねぎ太郎丸は米粒魔石ですぐに出せます。塩も大丈夫です。肉ですね。問題は。
「材料?複製の材料でいいんだろう?だったらおいらが出すよ。おいら、いっぱい本物食べたことあるから、いろいろ出せるよ!」
「え?本当?いろいろ本物を食べたことがあるの?」
兵士のグレイルさんでさえ、あまり食べた種類は多くなさそうでしたよ?
ミック君は孤児だと言ってませんでしたか?どうやっていろいろ食べたのでしょう?孤児になる前はそこそこ裕福だったのでしょうか?
「あっ、でも、こんな美味しいもんの材料になるのは食べたことないかも。おいらが食べたことがあるのは……毒のあるやつとかまずいやつとか普通は誰も食べないもんばっかりで……」
え?
「毒を食べたって?なんで?」
貴族が成長過程で毒に鳴らすために毒を少しずつ量を増やして食べるみたいな話は聞いたことがあるけれど、それでしょうか?
それとも、殺し屋みたいな組織で全身を毒にするように育てられるという系でしょうか……。
グレイルさんが教会には近づくなと言っていたのは、まさか、そういう裏組織とのかかわりが……!
っていうのは漫画のネタになりますか。どうでしょう。……と、いけません、ついつい創作の世界にだいぶしちゃいました。
「親が死んで、教会で働くようになる前はさ、何でも食べたから。お腹が減ってお腹が減って仕方なかったから。毒で死ぬか飢えて死ぬかどっちだっていいやって……どうせ死ぬなら腹いっぱいで死にたいって思ってさ」
!
な、何が貴族が毒に慣らすためなのですかっ。想像が貧困すぎて自分を殴りたくなります。
孤児だと言っていました。
教会でお手伝いするとパンが食べられると言っていました。
毒だろうとなんだろうと……食べる物がなければそりゃ食べるでしょう。
豊かだと言われている日本でさえ……飢えをしのぐために雑草を取り、段ボールをかじる子供がいるんです。
段ボールの話は、もう知らない人もいるのかな?
そうそう、なんか理系の学生はティッシュを料理して食べるそうですね。……っていうのがTwitterで流れてきました。特別なティッシュがあるそうで……。
しかし、リツさんも理系学生ならその特別なティッシュを出せば紙に困らなかったよね。




