無料のようで無料じゃない……
そういえばスライムはチィロールチョコレートを食べていましたが、ミニ馬さんも食べるでしょうか?いえ、チョコレートは泥団子だと思われても困りますね。恩人……いえ、恩馬に恩をあだで返されたと思われても悲しいです。
馬……そういえば、ご褒美に角砂糖を上げると喜ぶと聞いたことがあります。
角砂糖……1個10円くらいでしょうが、1個単位で買ったことがないので出ませんよね。
「角砂糖……スティックシュガー、上白糖、粉砂糖、ヨーグルトについてる砂糖……」
いろいろな種類の砂糖をとりあえず口にしてみますが、出てきません。そうですよね。たぶんスティックシュガーにしても何本か入って100円とかが最低ラインでしょう。コーヒーを買った時に無料でもらえるスティックシュガーはノンカウントなんですね。
無料といっても、コーヒーを買わないともらえないのだから、コーヒーを出せば一緒に出てくるものなのかもしれません。とすると、お寿司を買うともらえる無料の醤油やワサビもダメですね。ポテトを買うともらえるケチャップもダメ。とにかく、〇〇を買うと無料というものは全部だめそうです。
「角砂糖っぽい駄菓子……10円だと……金平糖とか?」
ぽんっと、米粒魔石が金平糖に変わりました。
小さな袋に10粒くらい入ったピンク色と白と黄色のカラフルな金平糖。
何?何?と興味深そうに頭を前に出してミニ馬さんが見ています。
うっ。かわいい。
なでたい。でも、我慢です。
袋を破いて、金平糖を手のひらに取り出してミニ馬さんの口元に差し出します。
「助けてくださってありがとうございます。お礼です。えっと、金平糖です。食べ物です。あー、毒はないです」
一粒つまんで自分の口に入れる。
甘さが口の中に広がります。
うーん、砂糖の甘さ。金平糖の原材料ってほぼ砂糖ですもんね。
私が食べたのを見ると、ミニ馬さんが私の手のひらの上に載っている金平糖を鼻先を近づけて匂いを嗅いでから唇でつまむようにして口に入れました。
キュィーーーーンッ。
超音波?って思わず思うような音が耳の奥に響きます。
な、なに、今の?
びっくりしていると、ミニ馬さんが、鼻先で私の手のひらをつんつんと突いています。
「美味しかった?まだ欲しいの?」
キュイキュイとミニ馬さんが頷く。キュイ?今度は小さな音が頭に響きました。。
もしかして、ミニ馬さんの鳴き声?
とっても不思議。音というより、本当に音波みたい。あ、イルカとかの声は超音波なんだっけ?クジラだっけ?人間が聞こえる音の幅は案外狭いといいますし。別に不思議でもなんでもないかな。頭に直接響く感じももしかしたら、骨伝導的な何かでしょうか?
「金平糖」
米粒魔石を手の平に乗せて呪文を唱えます。
今度の金平糖は、白と青でちょっぴり海のようでかわいい色の組み合わせです。
そういえば、味が好きというわけじゃないけれど、見た目がかわいいからって結構買った時期があったなぁ。袋から出してかわいい小さなグラスに入れて楽しんだりしてたんです。
直射日光に当てて溶けてくっついて固まったところまで思い出しました。
金平糖があるので砂糖には困らないようです




