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恋愛誤差  作者: taku
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episode4.リスク

恋導(れんどう)を起動しますか?》

昨晩不思議な出来事が起きたが、何事もなくいつも通り朝を迎えた。


昨日のメッセージの後、スマートフォンの画面は消え何も表示されなくなった。


伊織の左腕に装着されたウェアラブルデバイス「ZERO」が淡く発行する。

空中に透明なパネルが現れた。

パネルは実体として指で触れることもできる。


画面を横に弾けばスライドがめくれ、ピクチャをつまめば質感まで感じられる。

これが今の世界の当たり前。

リモートが基本となった世界では、交通手段としての空飛ぶクルマなんてものは流行せず

ITツールが驚異の発展を遂げたのだ。住んでいる場所なんて関係なく触れ合える。

一種のどこでも〇〇のようなものとなっている。


18歳になると、飲酒の許可より先に政府から恋愛支援AI『愛導』の使用権が与えられる。

権利と謳われているが、半ば強制に戸籍情報も連携され自動で人物登録されているため

ほぼ義務のようなものだ。


日本では少子高齢化が進み、政府がようやく高齢化ではなく少子化を解決しようと取り組んだ結果が

この「恋導」の開発及び導入である。


恋愛は人生を左右する重要事項として、国は考えた。

失敗してはいけない。人生で最も幸福になれる恋人を導き出す。


嫉妬、浮気、DV。

そういった恋愛及び結婚生活における負の感情は、百年以上の年月をかけて、ほぼ排除された。

誰もが恋愛で幸せになれる世界。


でも。


「興味ねぇな」

俺は、表示された画面を閉じた。


《恋愛に対する拒絶反応を検知》

《カウンセリングを推奨します》

「うるさいよ、」

《幸福度の向上を、》

「いらん、、」


幸福なんて、信用できない。

好きなんて、もっと信用できない。


10年前、まだ伊織が小学生になりたてのころ

伊織の父親は別の女を作って家を出ていった。

母はそのショックで家を離れ、結局祖母に育てられたのだ。


恋愛なんて、そんなもんだよ。相性とか言っておきながら結局は確実じゃないんだよ。

簡単に壊れる。


だから俺は最初から信じない。期待しない。

その生き方で十分だった。あの日までは。

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