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白銀のソロディウス  作者: みーこ


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4.探しものは見つけにくい

 探知魔法、というものがある。

 失くしたものを探したり、迷子になった人や家畜を探したり。とにもかくにもこれさえ習得すれば探しものが楽になる魔法だ。自分が迷子になった時にも、目的の〝場所〟を探しものと考えて魔法を使えばその場所に辿り着くことができる。

 この魔法を使う時に必要なのはイメージだ。探しているものの姿かたちをイメージする。それに加えて、人を探している場合は、その人の魔力が付着しているものがあれば更に探しやすくなる。しかも今回探すのは私の身体と魔法の杖。おまけに私の杖と兄さんの剣についている魔法石は元々一つだった。探せないわけがない!


 とは言え……。


「キーヴァ。何か感じるか?」

〝ううん、何にも〟


 いくら魔法といえども万能ではない。対象との距離が離れすぎていると探るのは困難になる。いつまでも同じ場所に留まっていても無意味だからと歩きながら探知魔法を使っているものの、成果は今のところ何もない。


「これでは杖か奴を見つけるよりも、今晩泊まる宿を見つける方が早いだろうな」


 後ろにいるトゥタカルタさんが呆れたように言った。


「奴も馬鹿ではない。既に遠く離れた場所にいると考えた方が賢明だ。もしくは探知魔法で居場所を探られることを見越して、何か対策を施していることだろう。そう簡単には見つかるまい」


 確かに、トゥタカルタさんの言うことは一理ある。相手は村一つを一瞬で火の海に変えられる程の強い力の持ち主。身体を奪われた私がどんな行動をするかなんて、手に取るように分かるだろう。

 けれども納得していなさそうな兄さんが反論した。


「じゃあ他にどんな方法があるって言うんだよ。銀髪の女の子を見なかったかって聞いて回るのか? んなもん無駄に時間がかかるだけだろ」

「うむ。その方法は確かに時間がかかるな。手当たり次第に声をかけても、実際に見たという奴など十人に一人いればいい方だろう。それにその見たというのが本当に奴の……キーヴァの姿であるかなど、こちらには分からないのだからな。だが辛抱強く尋ね続ければ、いつか必ず成果は得られるだろう」

「んな悠長に待ってられっかよ!」

〝うわあっ⁉〟


 兄さんが急に身体ごと後ろを向いたため、背中に負われた私もぐるんと揺さぶられた。不思議なもので、魔法石に魂が入っているだけなのに、そこから見える景色だけでなく剣の動きも自分事のように感じられる。だから剣が大きく揺れると、私の身体が揺さぶられたような感覚になる。

 兄さんはそんなことを知る由もないから考え無しに動くんだけど。


「探知魔法が意味無ぇくらい遠くにいる! どこを通ったかも分からねぇから人に聞いても意味があるのか分からねぇ! じゃあどうやって探せばいいんだよ! こうしてる間にも、奴はもっと遠くへ行ってるかもしれねぇのに……! 身体を取り戻すまで、キーヴァはこのままなんだぞ!」

〝兄さん……〟


 兄さんの真摯な言葉に、今度は私の心が揺さぶられた。真剣に怒るくらい、兄さんが私のことを案じてくれているのが嬉しかった。

 そんな兄さんの言葉を受け止めてか、少し悔いるような声色でトゥタカルタさんが言った。


「そうだな。君たちの気持ちを蔑ろにするようなことを言ってすまない。だが、俺だって奴を見つけたいのだ。早く見つけるに越したことはないが、時には遠回りだと思っていた道が意外と近道だったりするものだ。とにかく、思いついた方法は何でも試してみよう。大丈夫だ。キーヴァの身体は必ず見つかる」

「……」


 兄さんはトゥタカルタさんを睨みつけていたようだったけど、不意に元の方向に向き直って無言で歩き始めた。今ここで言い争っていても意味が無いことくらいは理解していたみたいだ。

 それから暫くは誰も口を利かず、無言で歩き続けていた。道は分かれることなく一本道が続いていたため、どちらに進むかといった相談をする必要もなかった。

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