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第25話:秘密の話

 時雨悠人は緊張していた。そして、後悔もしていた。


 目覚めてから毎日が騒がしいながらも、セブンスとラプラスと楽しく生活できていた。


 だが、不安がなかった訳でもなければ、外のことが気にならなかった訳でもない。


 自分の体が普通に生活できるレベルになったらどうするのか?


 それを考えたときに思ったのは、やはり此処――ゼノ・グラウンドから出ていくという考えだった。


 いつまでも彼女たちの世話になってはいけないと思ったこと。


 そして、今世界はどうなっているのか。


 何よりも、勇者としての責務から解放されたのだから、自由に外を歩いてみたいとも思ってしまったのだ。


 一方で、セブンスやラプラスとも一緒にいたいというのも本音だ。


 だからこそ、ラプラスに一緒に外に行かないかと提案したのだ。セブンスにはまだ言っていないが、戦闘の訓練をつけてもらう中で聞いてみようと時雨悠人は考えていた。


 いたのだが――


(二人にとって、此処……ゼノ・グラウンドから出ていくのは、大きな決断なんだろうか?)


 答えはYESだろう。正確には、セブンスに何か事情があるのだろう。そうでなければ、セブンス抜きで話たいとは言わないだろう。


 だからこそ、時雨悠人は後悔していた。


 自分が一緒に行くなんて提案をしなければ、もう少し穏やかな時間を過ごせたかもしれないからだ。


 それが、単なる先延ばしだったとしてもだ


 ※


「お待たせしました」


「うん。遅かったね」


 時計の時刻が、23時を少し過ぎた頃にラプラスは、時雨悠人の部屋を訪ねにやってきた。


 セブンスもラプラスも就寝する時間は早い。普段は、21時や22時ごろには、眠っているようなので、もっと早く来ると思っていた時雨悠とは、もしかして忘れているのではないか思っていたりもした。


「セブンスに色々と相談されていました」


「相談?」


「最近は、あなたのことで相談されることが多いですからね。今日は、あなたの戦闘訓練の話から、好きな漫画やアニメの話までコロコロ話題が変わったもので、気付け普段はすでに寝ている時間を大きく過ぎてしまっていました」


「ああ〜それは、悪い」


 思い当たる節がありまくる時雨悠とは、ラプラスに謝罪する。なぜか、この施設には漫画やアニメが沢山存在しているのだ。時雨悠人が知っている昔のものから、知らないものまで数千以上存在している。


 セブンスやラプラスも暇つぶしに見ていたらしく、今日もシアタールームで鑑賞していたのだ。


「いいですよ。セブンスも私も楽しいですから。本当に……」


「ラプラス?」


「本題に入りましょう」


「セブンスを助けて欲しい……って話だよな」


「はい。その話をする前に、セブンスと、他の姉妹、そして……マスターの話をしなければいけませんね。少し長くなりますがいいですか?」


 時雨悠人は頷く。


 マスター


 何度も耳にするが、詳しいことは時雨悠人は知らない。


 セブンスとラプラスがあまり話したくないのは、二人と少し話せばわかることだった。そして、話したくないことを無理に聞きたいと思うほどに時雨悠人は図々しくなかった――という訳ではなく、単純に勇気がなかっただけだった。


(嫌われたくないというか、あえて踏み込んで、お互いに嫌な思いをしたくなかったんだよな)


 時雨悠人も自分が勇者として何をしていたのか話していない。おそらく、セブンスとラプラスも気にはしているだろうが、あまり踏み込んでいない。


 お互いに深い部分には踏み込まないようにしていた。それは、時雨悠人だけではなく、セブンスやラプラスもそういった地雷になりそうな部分を避けた結果だろう。


 だが、ラプラスは踏み込むことを覚悟した。そんなラプラスを見て、流されるままに聞くことを了承したことに申し訳なさを感じながらも、ラプラスの話を聞くことを了承するのだった。

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