復習してみよう
僕は塔の中で起こった事を二人に伝えた。
要点は次の通りだ。
・シャーロットはパトリスが止めるのも聞かずに塔へ向かった。
・塔の上の部屋には糸車があり、老婆も居た。
・老婆は糸車をシャーロットに触らせて錘が刺さったシャーロットは倒れた。
・老婆はシャーロット生誕祝いの賢人の予言の場面を魔法で?二人に見せた。
・老婆が去った後シャーロットは気を失い、同時に茨が伸びてパトリスは城から飛ばされた。
・城は茨に覆われて誰も近づけない。
「こんな感じだな」
「いや、思ったよりも詰まってるな。老婆が居たとかシャーロットの生誕祝いの話なんて初めて聞いたよ」
「今初めて言ったからね」
「役人に事情を聞かれた時には言わなかったのか?」
「だって今の話をしたところで、役人が信じると思うか?」
「ああ、確かに」
「私たちはパトリスが嘘をつかないと知ってるから信じるけど、普通は頭が混乱していると思われるわね」
「だから言わなかったんだ。シャーロットが閉じ込められたショックで精神的におかしくなったとかで強制的に国に還されてしまうと調査ができなくなるからね」
「お前、本当にシャーロットの事が好きなんだな」
「本人には通じてなかったみたいだけど」
どうして今ここでそれを言うか。
「傷口に塩塗って楽しいかよ」
「冗談だよ。お前の純愛応援してるから」
「そのかわりシャーロットが目覚めたらちゃんと想いを伝えるのよ。見ているこっちがヤキモキしてしまうんだから」
僕は頷いた。多分耳の辺りが赤くなってると思う。
「じゃ、早速調査に入りましょう」
「まずは呪いについてまとめてみよう」
僕が言うとアビゲイルが反応する。
「老婆が誰か突き止めるのが先じゃない?」
「いや、老婆は仮の姿だと思う。おそらく呪いをかけた本人かその関係者じゃないかな」
「確かに塔の天辺に普通の老婆が居るはずないよね」
納得したようにチェスターが言う。
「招かれた7人の賢人の最後の一人の乱入してきて不気味な事を言ったんだよな」
「王女は成人を迎える前に死ぬ。糸車の錘に刺されてね、彼女の言葉はこうだったわね」
「その後、賢人たちが王と王妃以外の記憶を消して自分達はその事を語れなくした。だから俺達はその呪いの事を知らないんだな」
「逆に言うと、王と王妃は成人までシャーロットが無事だったら後は安心と思っていたはずだ。実際糸車の使用が近いうちに解禁になると言われてたらしいし」
「でも成人の前日までギリギリ伸ばして事を起こすなんて性格が悪過ぎるな」
チェスターが言う。
僕は誕生日の前日、庭園に来た国王夫妻の言葉を思い出した。
『やっとこの日が来るのね。長かったわ』
『あと1日だ』
そうだ。確かに二人はシャーロットが16歳になれば呪いは発動しないと思っていたんだ。
「え? 呪いは偶然起きたんじゃないの?」
シャーロットの問に僕は二人の会話に入り込んだ。
「呪い自体はシャーロットの成人までと幅を持たせていたけど、実際はいつ起こるかまで決まっていた、若しくは呪いをかけた者の思った時に発動できたかじゃないかな」
「なんかそれって王家に凄く恨みを持っている様に見えるんだけど。確か乱入してきた賢人って自分が誕生祝いに招かれなかったから怒って呪いをかけたのよね。普通だったら16年も待つなんて面倒な事はしないで、その場で分かるような呪いにするんじゃないかしら」
「じゃあアビゲイルだったらどんな呪いにするの?」
チェスターが尋ねた。
「ええっと……」
アビゲイルはしばし考える。
「例えば国王陛下の耳を猫の耳に変えたり、王妃殿下に立派な口髭をはやしたり、一目で分かる物にするわね」
チェスターが吹き出した。思わず頭の中でその光景が展開された。確かに笑える。
「随分と可愛いらしい呪いだね」
「でも、国の顔である国王夫妻としてはとてつもなく恥ずかしい事だわ。外交なんてできなくなるでしょ? 簡単な割には効果はあると思うわ」
「……あえて面倒な呪文をかけた。つまり目の前で発動する呪いでは駄目だった? 16年という時間が必要だったということか?」
僕がつぶやくと二人が声を合わせた。
「誰にとって?」
おそらくあの老婆にとってだ。
「そう言えば乱入してきた賢人の名前は何というのかな。多分、あの老婆はその賢人じゃないかと思うんだけど」
僕が言うとアビゲイルがすぐに答える。
「あーそれだったら分かると思うわ。私、賢人に知り合いがいるので聞けるから」
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