通りすがりの通いネコ
その日以降、俺の部屋に猫が通う様になった。
玄関先で、にゃあにゃあ鳴いていた一匹の猫。
戸を開けて「どうぞ」と言ったら、お辞儀をしてから入ってきた。なんてお行儀の良い。
その日から猫との不思議な共同生活が始まった。
昼。大学の購買で弁当(ご飯無し)を購入し下宿へ戻ると玄関先で「にゃあぉ」
ご飯は朝、1日分を焚いてある。
猫まんまを作り、弁当のおかずを分けてあげ、猫と一緒に「いただきます」「にゃなふ」
その後は猫を追い出し再び大学へ
講義が終わって下宿に帰ると玄関先で「にゃあぉ」
「ただいま。ちょっと待ってろ、これから晩御飯作るから。」
部屋には入れるが、決して台所には入れない。
にゃあにゃあうるさいがここは心を鬼にして我慢だ。
ちゃんと猫用料理は別仕立て(塩胡椒なし)だ。
台所を開けていると食材を盗んでいく割に、配膳中はおとなしく待っている。
不思議な奴。
猫と一緒に「いただきます」「にゃなふ」
猫は食後のまったりモードだが人間様は忙しい。
洗い物を済ませ、講義の予習復習をしてから就寝だ。
布団を敷いて中に入る。
布団を少し持ち上げる。「おいで」「にゃあ」
いつも一緒に寝る。
早朝3時「にゃあ」
「そんな時間か」と猫を抱えて窓際へ
「そおれ、遊んで来い。」と猫を放り投げる。
(アンダースローでやさしくね)
で俺は二度寝。