結婚式
「フローラ様今日は王宮ですか?」
「えぇ。レオンハルト様と結婚式の打ち合わせなの。ドレスもあと少しだから楽しみ。」
「良かったですね。」
朝から王宮で打ち合わせのために馬車に乗り出かける。レオンハルト様とまた出かけたいな。この前の湖楽しかったな。
「もうすぐで結婚式だね。フローラと夫婦にやっとなれる。長かった。」
「レオンハルト様と5歳で婚約してから13年ですもの。不思議な感じがしますね。」
「絶対幸せにするからね。」
私達が幼い頃に王家と我が家の間で婚約がなされ私は第二王子であるレオンハルト様の婚約者となった。昔から容姿端麗で文武両道な王子様はとても優しく皆に慕われている。私なんかが婚約者でいいのかと思った時もあったけど、毎回フローラがいいんだよって笑って手を繋いでくれた。優しいレオンハルト様が私も大好き。
「レオンハルト様は理想の王子様ですね。」
「そうなの!見た目はもちろんだけど、いつも優しくて賢くて素敵よね。」
「フローラ様ったらまた惚気て。」
「レナ様結婚式来てね。」
「もちろん!ずっと楽しみにしてたんだから。」
昔からのお友達とお茶会をしながら、結婚式まで楽しく過ごしていた。まさかあんな事になるなんて。
「フローラ大変だ。戦争が始まる。辺境伯の領地に隣国が攻め入ってきた。しばらく結婚式は延期になるだろう。レオンハルト様からまた話があると思う。」
「わかりました。それは我が国にとっては一大事ですので。」
辺境伯領が戦地になり戦いが激戦していると聞く。隣国は大国なので戦力に差があるが辺境伯様はお強いのであまり気にしていなかった。
「フローラごめん!結婚式はもう少し待ってくれる?必ず勝って盛大に結婚式をしよう。ドレス姿早く見たいな。」
「はい!少しくらい伸びた所でこれからの人生ではちっぽけなモノです。楽しみにしております。」
そっと頬に口付けをしてくれ、まだ私達は少し楽しみが伸びるくらいに思っていた。
「なかなか戦況が厳しいみたいだ。団員が沢山亡くなっている。早く戦争が終わればいいのに。」
たまに会うレオンハルト様は日に日に疲れている様子で、現地にも行ったりするため会う回数が格段に減っていた。寂しいけれど我儘を言ってはいけない。終われば全て元通りになる。
「お兄様が出陣されるのですか?!我が家はどうなるのです?」
「必ず勝って帰ってくるよ。隣国がなかなか引かず戦況は良くないが我々が必ず勝つ。フローラの花嫁姿を見るのを楽しみにしているよ。」
「お兄様早く帰ってきてくださいね。」
戦争が思っていた以上に長引き、ついには嫡男であるお兄様まで駆り出される事に。一家に1人兵を出さないといけない事になったためだ。弟が行くと言ったのだがお兄様はそれを止めた。強いお兄様ですものきっと大丈夫。毎日不安に思いながら生活をしていたが、流通も止まり段々生活にも困窮するようになっていた。
「公爵様はおられますか?!上層部より伝令が届いております!」
戦争が始まり3年近くたった頃に騎士団の方が来られ上層部からの手紙が届けられた。
「若様がお亡くなりになったと…」
「…お兄様が?そんな。」
嘘…お兄様が…?傷だらけの亡骸は何とか運ばれ弔う事が出来たが、戦況はどんどん悪くなる一方だった。嫡男を亡くしたお父様とお母様の落ち込みようは相当なものだった。
「そろそろ降伏をするかもしれない。もう我が国は終わってしまう。覚悟が必要な時期に来たのかも。」
「お父様…それほど戦況は良くないのですか?」
「あぁ、どこの家ももう無理だろう。この3年間で我々は大半のモノを失った。何故我が国だったのだろうか…。」
隣国とは仲良かった筈だったのに。隣国の王様は割りと好戦的でよく戦を起こしていたが、我が国には攻め入ったりしなかった。それもただの気まぐれだったのだろう。
「結婚していれば王家として一緒に戦えたのに…待っていることしか出来ない。不甲斐ない私がイヤになる。」
「フローラ様…またすぐレオンハルト様が迎えに来てくれますよ。お待ちしましょう。」
「そうね。レオンハルト様はいつも約束を破った事など無いもの。」
「はい!きっともうすぐ結婚式ですよ。規模は小さくなるかも知れないですが、ドレスを着て歩く姿楽しみです。」
「ありがとう。いつも励ましてくれて。」
そんな希望があっという間に打ち砕かれるなんて想像していなかった。




