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第九話 0歳児への特別講義

第九話!

誠の異世界での名前が決定!楽しんで!

その赤ん坊は周りの人からは「マギル」と呼ばれていた。

魔法も使えない貧しい家庭に生まれた、と言っても私もそうだが、何の変哲もないはずの赤ん坊。だが、私を見つめるその瞳だけは、生後数日とは思えない理性的な光を宿していた。

深夜、私はマギルの両親が寝静まったのを確認してマギルの寝る部屋に忍び込む。

(、、零、五歳だとは思えないほどの大胆な動きだね)

マギルーーいや、シンがそう目で訴えかけてくるのがわかる。

私は一呼吸をしてベッドに腰を下ろした。

「マギルなんて名前はこの世界の仮初めに過ぎない。……そうでしょ、シン」

私が前世の名で呼ぶと、シンは嬉しそうに瞳を細めた。

私は懐から小さな石板とチョークを取り出し、彼に見えるように構える。

「お前はまだ喋れないし、指もまともに動かせない。だから『瞬き』で答えて。僕の言うことが正しければ一回、違えば二回。いいね?」

 シンは、一度だけ力強く瞬きをした。


「よし。……零、なんて呼べるのは今のうちだけだよ。さて、本題。お前、前世の医学知識は保持しているな?」

 パチリ。一回。


「この町の不衛生な環境に、医学者として危機感を感じている?」

 パチリ。一回。


「……僕の作った石鹸と消毒液が欲しい?」

 パチリ。一回。


私は納得して頷いた。言葉などなくても、私たちを繋ぐのは科学という名の絶対的な共通言語だ。

「分かった。マギルとしての免疫力が安定するまで、僕がこの部屋の環境をデバッグしよう。その代わり、早く成長して、この世界の魔物の『生態』を医学的に分析してね。工学と医学――前世の続きだよ。」

 シンは、私の指を小さな手でぎゅっと握りしめた。


 工学の一ノ瀬零と、医学の佐伯誠。

 二人の科学者が揃った今、魔法という名の不条理が支配するこの世界は、いよいよその形を変えざるを得なくなるだろう。

ご覧いただきありがとうございます。

誠の名前がマギルに決定。これからシンと零はどのように世界を変えていくのか!

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