第七話 共鳴する知性
第七話!
零が頼んだ材料を待っている間ある人と出会う!楽しんで!
頼んだ材料たちを待っている間、地形を理解するため町に入った。地形を理解することも科学者の大事な役目だ。
ふと、街の路地裏にある一軒の長屋の前を通りかかったとき、人だかりの喧騒に足が止まった。
「生まれたぞ! 元気な男の子だ!」
「魔法も使えないこの町に、また新しい家畜が増えたか……」
祝福と自虐が入り混じった声が響く。この絶望的な町において、新しい生命の誕生は数少ない「ニュース」なのだろう。私は興味本位で、人だかりの隙間から、母親の腕に抱かれた赤ん坊の姿を覗き見た。
生まれたばかりの、猿のように赤い幼児。
だが――その「目」を見た瞬間、私の思考が凍りついた。
(、、、おかしい、なんだ、この視線は)
周囲の大人たちが「可愛い」と愛でる中、その赤ん坊は一点の曇りもない鋭い眼光で、自分の置かれた劣悪な衛生環境を――そして私の存在を「観察」していた。
その、人を安堵させるような、それでいて呆れるほど真っ直ぐな視線。
私の脳内に、この世界のものではない無機質な研究所の光景がフラッシュバックした。
私が『破壊の数式』を解いていた傍らで、常に『失われる命』を繋ぎ止めるために戦っていた、前世での私の唯一の友人。
「、、佐伯、誠か」
私の口から漏れた、この世界の誰にも理解できないはずの名前。
その瞬間、赤ん坊の瞳が大きく見開かれた。
彼は言葉にならない産声の隙間で、確かにはっきりと私を見つめ返した。
(――一ノ瀬……零、君なのか?)
声は聞こえない。だが、長年共に研究を続けてきた私たちには、その視線だけで十分だった。
工学の私と、医学の佐伯誠。
まさか、異世界の底辺で再会を果たすとは。
五歳の体で爆弾を抱える私と、無力な赤ん坊として転生した彼。
あまりに皮肉な再会に、私はこの世界に来て初めて、心の底から笑みがこぼれるのを感じた。
「、、待っていろ、しん(誠のあだ名)。お前が生き延びるためのインフラは、僕がこの手で整えてやる」
ご覧いただきありがとうございます。
いやぁまさか零の昔の友達が同じ世界に転生してくるなんてねぇ!
これからもおもしろくなりそうです。さえき まこと と呼びます!




