第四十五話 不適合な保護者
第四十五話!
『ゼロ少女』の投稿で遅れました!
楽しんで!
砂漠の静寂を、不快な金属音が切り裂いていた。
僕は機械サソリの残骸を削り、シンは劇薬を調合する。魔法という「省略」が消えた今、僕たちの作業は泥臭く、そして極めて異様だった。
「……動くな。そこで何をしている、不吉な子供らめ」
背後から響いた野太い声。振り返ると、東野村の自警団が弓を番えていた。 魔法を介さず、火花と異臭を撒き散らす僕たちは、彼らの目には「禁忌に触れる呪われ子」に映ったに違いない。
(……やれやれ。捕縛されて監獄行きか、あるいは……)
僕は抵抗を捨て、武器を置いて手を挙げた。 三歳の誠も、フラスコを置いて溜息をつく。僕たちはそのまま、岩壁に作られた東野村へと連行された。 だが、村の広場に着いた瞬間。
僕たちの予想していた「過酷な取り調べ」とは、全く違う反応が返ってきた。
「なんてこと……! こんな小さな子たちが、ボロボロになって……!」
「ああ、かわいそうに。親はどうしたんだい? まさか、砂漠で……」
現れた村の女たちが、僕たちの煤だらけの顔や、作業でマメが潰れた手を見て、悲鳴を上げたのだ。
「……いや、僕たちは、これを……」
僕の理知的な説明は、一人の恰幅のいい女性の抱擁によって掻き消された。
「もう大丈夫だよ。今日からあんたたちは、この東野村の子だ。うちの養子になりなさい!」
「……は?」
八歳の僕の思考が停止する。
隣を見ると、三歳の誠も、村のおばちゃんに頬ずりされながら
「医学的に見て、この愛情表現は過剰すぎる……」
と目を白黒させていた。
「おい、この子たちが持っていた『呪いのガラクタ』は預かっておけ! それより風呂だ! メシだ!」
僕たちが心血を注いで作り上げた「第一の牙(水速射砲)」は、ただの「危ないおもちゃ」として物置に放り込まれた。
魔法をデバッグし、世界を再構築しようとした天才科学者コンビは、今、「ご飯を残さず食べる」という、人生最大の難問に直面していた。
「……誠。……計算外だ。僕たちはどうやら、この村の『家族』という名の強固なシステムにハッキングされたらしい」
「……零。……お粥の温度は、四十二度。……今の僕たちの胃腸には、ちょうどいい刺激だね……」
復讐に燃える八歳と三歳は、村人たちの圧倒的な「善意」という名の理不尽に、完敗していた。
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