第三十二話 機械サソリの倒し方
第三十二話!
そういえば天然痘を画像検索しないほうがいいよ。前、本で読んだけど閲覧注意!
砂塵の中から現れた巨大な「機械サソリ」が、その尾を鎌首のように持ち上げた。
尾の先端にある紅い魔石が発熱し、空気が陽炎となって揺れる。直後、猛烈な熱線が僕たちの馬車のすぐ横を貫き、砂をガラス状に焼き溶かした。
「聖子様! 魔法の障壁が保ちません! 撤退の指示を!」
自警団の悲鳴が響く。だが、僕は二歳の小さな身体を揺りかごに固定し、零から贈られたレンズを冷静に覗き込んだ。
「……逃げる必要はないよ。その『バグ』の殺し方は、もう計算済みだ」
僕は旗を振り、後方の狙撃部隊に指示を出す。
「全弾、尾の『第三関節』に集中しろ。そこには冷却用の魔素回路が露出している。……属性は『氷(吸熱)』じゃない。僕が渡した『急速気化剤』を使え!」
狙撃兵たちが放ったのは、僕が街のラボで精製した特殊な薬品入りの矢だ。
パリン、と小気味よい音を立てて薬品がサソリの関節に付着した瞬間、激しい白煙が上がった。
「グガガガガッ!?」
機械サソリが苦悶の声を上げる。
魔法の氷で冷やすのではない。薬品が瞬時に気化する際の「気化熱」を利用し、数千度の熱源を抱える関節を一気に絶対零度近くまで引き下げたのだ。
急激な温度変化に耐えられず、超硬合金の装甲に目に見えるほどの「ひび」が走る。
「……トドメだ。尾の付け根に『王水』を撃ち込め。……熱で脆くなった回路を、根元から溶かし切ってあげる」
オレンジ色の煙を引く矢が、ひび割れた関節に突き刺さる。
次の瞬間、最強を誇った魔王の防衛兵器は、自らの重みに耐えかねて、尾を根元からドロドロに溶かしながら砂の上に崩れ落ちた。
「……医学的に見れば、これはただの『末端壊死』だよ。……さあ、進軍を再開しよう。零が、この奥で僕を待っているんだ」
僕は砂に沈むサソリを一瞥もせず、正面にそびえる『砂漠の研究所』を指し示した。
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