第二十五話 幸福のデッドライン
第二五話!
目標は50話だから、半分まで行った!
崩落する神殿を背に、僕たちは夜の森を馬車へと急いでいた。
懐には、魔王の秘密が詰まったデバイス。そして僕のポケットには、シンへの誕生日プレゼントが入っている。
「……ふぅ。零、なんとか逃げ切れたね。これでお祝いの続きができるよ」
シンの安堵した声。だが、その直後だった。
「……っ!? 零、足元を見て!」
シンの絶叫と同時に、僕の足元の地面が禍々しい紫色の光を放った。
――広域転移魔法陣。
魔王の遺産を奪われたことに対する、システム側からの強制排除だ。光の檻が僕の体を包み込み、術式の中にいるのは僕一人だけだった。
「誠、逃げろっ!!」
僕は咄嗟に、前世の名で彼を呼んだ。一歳の小さな手が必死に伸ばされるが、空間が歪む物理現象は、僕たちの感情など一切考慮してくれない。
「零! 嫌だ、離さないよ!」
シンの指先が僕の服をかすめ、次の瞬間、視界が真っ白に染まった。
一人の夜の森に取り残されたシンは、膝をつき、激しく地面を叩いた。
「……っ、まただ。また、同じ人を二回も……。僕は、救えなかった……!」
前世のあの日、爆発する研究所で零を救えなかった記憶が、今の無力な一歳の体と重なる。
今の零の実力では、あのテレポートの先にいるであろう強力な魔物は倒せない。医学者としての冷徹な計算が、生存率の低さを残酷に弾き出していた。
「……あんなバグだらけの魔法に、零を殺させたりしない。」
シンは、零が最後に投げ捨てたプレゼントのレンズを握りしめ、ふらつく足取りで立ち上がった。
絶望に染まりながらも、その瞳には凍てつくような決意が宿る。
僕は、もっと強くならなきゃいけない。
二歳の医学者は、親友を取り戻すための『牙』を研ぐべく、一人、見知らぬ別の町へと歩き出した。
ご覧いただきありがとうございます。
また零を失った誠、書いていてなんですが悲しいです。




