第一夜 プロローグ 屑屋
この作品は、ゲーム、小説、アニメ化された涼元悠一氏原作『planetarian』の二次創作小説です。
劇場版パンフレットに記載されていた年表を元にしています。
屑屋と呼ばれた主人公が、封印都市に辿り着くまでの軌跡を小説にしていきます。
少しずつ更新していきますので、よろしくお願いします。
第一夜 プロローグ 屑屋
西暦2067年
俺は、〝屑屋〟と呼ばれている連中の一人だ。
武器、保存食、飲料水、衣服、電気製品など、放棄された町や都市を回っては、使えそうなめぼしいものを拾い集めて商売をしている。
俺たちが幼いころに勃発した世界大戦で、俺たちは棄てられた。
誰に棄てられたかって?
俺たちを捨てたのは、人類自身だ。
どこかの強大な敵国でもなく、独裁者でもなく、ましてや神でもない。
人類が戦争を起こして、人類自身を捨てたのだ。
そして、棄てられた俺たちは、棄てられた物を拾っては、棄てられて者に売りつけ、その日の糧を得ている。物々交換することだってある。
随分と皮肉な世界になってしまったが、今の俺たちに皮肉を苛む余地などない。
今日のこの命、明日、明後日の自分の命をつなぐだけで精いっぱいなのだ。
熱核弾頭ミサイルと遺伝子細菌兵器の使用により、世界的に急速な人口減少が続いている。
まず、どこかの国が遺伝子細菌兵器を撃ち込んだ。
撃ち込まれた国は、敵対する国に、熱核弾頭ミサイルを撃ち込む。
拡散する細菌を抑え込むために、熱核弾頭ミサイルを使用したこともあったようだ。
世界で生じた核爆発は、大気中に分厚い粉塵の雲を発生させ、地上に届くはずの太陽光を遮り、作物は枯れ、食料の確保が難しくなった。
そして拡散された遺伝子破壊細菌は、卵子の受精率を下げて妊娠しにくくなり、人口減少を引き起こしていた。
この細菌兵器は、エックス遺伝子を破壊することにより、男の生まれる割合が減っているそうだ。
正しい情報は無い。
今の俺たちは、ただ目の前に見えるだけの事象を判断し、行動していかなければ生き延びる道はない。
長く続く雨を恨みながら、倒壊したビルの物陰で火をおこし、今日をやり過ごしていくのだった。
前回の前日譚は、平和な時代を綴った展開だったのですが、今回は世界戦争後の暗い時代を書いていきます。
原作でも、明と暗があるから面白いわけで・・・、まあ、あんまり講釈垂れてもつまらないか・・・。
ハードボイルド系のほうが書きやすいのかもね・・・
今の自分の身上としては・・。