つながる想い(1)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
それが仇となった。憲伸は隠し持っていた手榴弾を取り出すと、青龍らの目を盗んで安全ピンを抜いた。
「あ! 憲伸さん何を!?」
「決まってんだろ……あの嬢ちゃんだけでも道連れにする……大事なら守ってみろ! 小僧っ! ははははは! ははははは………………!」
そう言って憲伸は高笑いしながら黒猫めがけて手榴弾を投げ、そのまま息絶えた。
彼の最期の悪あがきに青龍は舌打ちし、なんとかして彼女を守るために、手榴弾を切り裂こうと必死に追いかけた。
が、気付くのが少し遅かった。手榴弾は青龍に切られる直前に空中で爆発し、近くにいた黒猫の小柄な体を軽々と吹っ飛ばしたのだ。
龍鱗のおかげで青龍は無傷で済んだが、崖の端付近にいた黒猫が爆風で飛ばされた。
その先にあったのは漆黒の海。落ちれば高さも相まって即あの世行きだろう。
そうはさせまいと、青龍は死に物狂いで崖の端まで急行し、すでに落下を始めている黒猫のヒドラスラッシャーに右手のドラコスラッシャーを絡ませた。
どうにか望みは繋げれたが、まだ予断は許さない。このままでは黒猫の体重をヒドラスラッシャーが支えることができずに千切れて、転落してしまうからである。現に、ヒドラスラッシャーからはギシギシと軋む音が聞こえ出している。
これを回避するためには、もう一方のヒドラスラッシャーとドラコスラッシャーを絡ませて引き上げるしかないが、ヒドラスラッシャーの状態から黒猫は、自らに悲しい判断を下した。
「…………龍君。お願い。離して」
「え? でも!」
「あの男の言うとおりよ。私はあなたの命を狙ってる。その私を守る義理はあなたにない。たとえそれが、あなたにとってかけがえのない人でも、償うべき対象だったとしても」
「猫宮さん……」
青龍がそう言うと黒猫は涙を浮かべ、
「だから龍君。もう離して。その方がきっと幸せだよ。だって、もう命を狙われる心配もないし、私のせいで辛い思いをしたり、迷惑をかけられたりせずに済むから。お願い。わかって……」
と、心から懇願した。
やっと聞けた本心からの頼みがこれなら、なんとも悲しい限りだ。
憲伸が最後に齎した大ピンチ。
あなたが青龍の立場なら、彼女の言葉を聞いてどうしますか?




