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死獣神~腸の書~  作者: 天馬光
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歪な心(2)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。

 一方その頃、黒猫は三段壁に到着。そこで待ち構えていたターゲットと対峙していた。


「よう。ずいぶん早かったな。そんなにこの刀が大事か?」


「当然です。パパの形見ですから。なので……今すぐそれを返して! 犬山憲伸っ!」

 そう。今回のターゲットであり、菊一文字零式・真打を盗んだ犯人は憲伸だった。


「そんなに目を真っ赤にして怒るこたぁねぇだろ。俺はただ純粋に見たかっただけなんだ。なのに、嬢ちゃんが意地悪して見せてくれなかったから、やむなくこうしたまでだ」


「『ダメなものはダメ』と言いましたよね? それに、女湯に入って盗みをするなんて、元とはいえ刑事の名が泣きますよ?」

 そう言われて気が咎めたのか、憲伸は、


「それもそうだな。嬢ちゃんの言うとおりだ。悪かった。こいつは返すよ」

 と、謝罪を口にし、菊一文字零式・真打を黒猫めがけて放り投げた。


 すると、それを合図に憲伸の部下と思われる連中が何十人と物陰から現れ、一斉に銃を抜き、発砲してきた。


 並の殺し屋なら、これで即お陀仏だろうが、百戦錬磨の殺人者である黒猫がこれに気付かないはずがない。


闇夜流(やみよりゅう)剣術(けんじゅつ)一の太刀……満月(まんげつ)

 と言いながら、空中で横に1回転しながら抜刀し、回転の遠心力を利用した居合い斬りをした。

 これによって近付く弾は全て断たれ、まだ遠くにある弾丸も剣圧で吹っ飛ばさせていった。


「こんなザコの気配に気付いていないとでも? 子供だからって甘く見すぎですよ」


「そのようだな。まさか長刀ではやりづらい居合い切りで銃弾全てを払うとは思わなかった。なら……これならどうだ?」

 そう言って憲伸が指示を出すと、彼の部下達が一斉に襲いかかった。

 これに対しても、黒猫は一切動じることなく、弧を描くように足と首を斬る技・上弦(じょうげん)下弦(かげん)をしてから、某剣客アニメに登場するような左片手一本突きをすることで、常人離れした剣の腕を彼らに見せつけて、たじろがせた。


 これら月にちなんだ技や左片手一本突きは、彼女がコピーしたものではなく、幼い頃に闇から学び、実力で会得したブラック・ナイトに古くから伝わる流派・闇夜流剣術の技である。

 その開祖はかの有名な新撰組三番隊組長であり、ブラック・ナイトの創設者兼初代司令・斎藤一(さいとうはじめ)

 彼は警察官としての仕事の傍ら、自らの価値観と正義から明治の始め頃にこの組織を生み出し、それを為すための力として、新撰組時代の経験等から闇夜流剣術と闇夜流十手術と闇夜式体術を編み出したのだ。

 柚がやった左片手一本突きは斎藤一が最も得意とする技であり、某剣客アニメ内では牙○という名で登場しています。

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