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死獣神~腸の書~  作者: 天馬光
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形見の太刀(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。

 なのに、当の柚はそんなことなど知りもせず、食後、一緒に風呂に入った奏の豊満な胸を揉みしだいていた。


「わっ! ちょ、そんなに揉むな!」


「……Fはありますよね? 羨ましいです。半分くらい分けてください」


「分けれるか! てかあんた、こっち方面の趣味があったの?」


「えぇ。するのもされるのも」

 てな具合に。



 散々悪ふざけをした柚は、満足して大好きなお風呂に浸かると、奏にこの旅行での出来事を楽しそうに話した。その様子は、旅行の思い出を知人に語る普通の少女と何ら変わりない。

 それだけに、このままではダメだと思った奏は、他に客がいないのと彼女が上機嫌なのを確認してから、話題を彼女の復讐話に変え、やめるよう求めた。

 上機嫌になれば勢いで頷くはず。そう奏は考えていたが、結局はNoの一点張り。浅はかな作戦は見事に失敗した。


 それでも彼女は諦めなかった。どれだけ拒絶されても、龍の姉として、彼女の過去と想いを知った者として、柚の復讐を思い留まらせようとしていたのだ。

 柚の復讐は、未来や奏らから大切なものを奪うという彼女が最も忌み嫌い、それ故矛盾していることや、過去のことは水に流して龍達と友達として気楽に過ごすべきだということや、そうなれたらコピー能力も人を傷つけるものより人の役に立つものにコピーした方がいいなど、アドバイスを交えて熱く語った。

 全ては彼女の輝かしい未来のために……


 そんな親切心からの説得も、柚には馬の耳に念仏だった。大切なものを奪った者には、それ相応の対価を支払ってもらわなければ釣り合いがとれないというのが彼女の考えであり、コピー能力に関しても、復讐に不要なものをコピーしている余裕は彼女には無い。


 何故なら、不完全なコピー能力者である柚がコピーできる流派や技術の上限は15個までと決まっているからだ。

 正確に言えば、10を過ぎたあたりから五感を1つずつ失うという弊害が出始め、15個目を会得した時点で最悪の場合脳死や多臓器不全を起こす。

 そんな叶教授なら起こり得ない爆弾のようなリスクを柚は今、抱えているのだ。


 けど、彼女はそうした仲間を恨まず、我が道を進んでいる。むしろ、その対価を払うに値する力を得れたと喜び、デミ・ミュータントにしてくれた仲間に感謝しているぐらいだ。


「全てはパパ達の仇敵・青龍と特捜5課を討つため。なのに、『今までのことを水に流して仲良くしろ』と? それこそナンセンスですし、ありえません」

 そう言って柚は立ち上がり、浴槽から出た。


「奏さん。いくら龍君のお姉さんだからって、私を止めれると思わないでください。あなた達の言葉を借りるなら、私は素直じゃない強情っ張りな復讐者ですから」


「……わかってるよ。10年以上龍と離れ離れになってた私に、そんな資格なんて元から無い。あんたの心を変えるのは他でもない、あいつとあんた自身だよ」


「……淡い希望ですね」

 そう皮肉を吐いた柚が浴場から出て行くと、奏も跡を追うように出て、分からず屋な彼女への説教を続けた。

 黒猫のコピー能力に関する豆知識その3。

 コピー上限で流派や技術と述べていましたが、それは技単位ではなく人単位です。

 すなわち、白虎の能力をコピーする際、『掌打』や『不死鳥光輝天翔脚』で1つずつではなく、『白虎流護皇死神拳の技』で1つということとなります。

 ただし、例外として、柚や未来のような異なる能力を複数持つ者の場合、それぞれの能力で1つずつという扱いになります。

 それを踏まえて、現在柚がコピーしている能力は、龍のドラコスラッシャーのスキルと白虎流護皇死神拳と人志のブレードトンファーのスキルと天下流抜刀暗殺剣と演算能力と澪の治癒能力と千里眼と黒龍の武器適応能力です。

 ちなみに、当初は雲雀のスキルをコピーしていたのですが、人志の方が技量が長けてると判断し、上書きしました。

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