青龍と赤龍と伝説と(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の変化の物語。
自分の死が近い。そう思い始めた彼の脳裏をよぎったのは、愛する祖母の顔とV-0が蔓延し地獄と化した世界の光景。絶対に訪れてほしくない未来ではあるが、体は限界に達しようとしている。アレックスは祖母に、先立つ不幸を詫びようとした。
そんなアレックスを救う声が、彼の耳に届いた。
「アレックス曹長。もう少しだ! 踏ん張れっ!」
声の主は渓だった。どうしてもロープがほどけなかった彼女は、自身の左手を砕いて拘束を解き、たった今、駆けつけたのである。
そのガッツに触発されたアレックスは、咆哮と共に力を振り絞り、火事場の馬鹿力で隔壁を押し上げた。
彼の頑張りを受けた渓は、それに応えるようにミサイルの先端に移動し、ついにV-0を回収することに成功した。
「Hey E・C! V-0は我々が奪還したっ! これで貴様に対する脅威は0に等しい! E・C! 軍人ってぇのは、誰かの為に戦い守る者だ! したがって貴様は軍人じゃなぁいっ! 自己中なエゴ殺人鬼だっ!」
「こ、小僧ーっ!」
V-0を奪われた挙げ句、後輩に『軍人じゃない』とまで言われたE・Cは激昂し、アレックスに銃口を向けた。
が、それは彼らしくない迂闊な行動だった。自らが認めた侵略者に背を向けることになるのだから。
「はい。残念でした。E・Cさん。こんなところでスキを見せるなんてバカですね。じゃ、いきますよ。怒れる赤龍さん」
「OK! イカレ青龍ぅ!」
そう言い合ったあと、青龍がE・Cの体を斬り裂き、アレックスがアサルトライフルを連射した。仕上げに、
「あーぁ。結末はドラマでも現実でも、あっけないものですね」
「E・C! Go to hell!」
という言葉と共にグレネードランチャーが放たれ、E・Cの肉体は木っ端微塵に砕け散った。
それから数分後。ステルス爆撃機のパイロットに、青龍らの無事と任務完了を知らせる通信が入り、プランBは中止。青龍らは核攻撃を受けることなく任務と依頼を完遂し、無事帰還した。
愛国心にとりつかれた老兵は、影すら残らず消えました。
ここからは少し長い後日談です。




