8.日々成長☆
俺のステータスを更新して7年という歳月が経った。
8歳の俺は今死の淵に立たされている。
「気をそらすんじゃ無いわよ!」
「うおっ!」
目前に迫った剣先を身体強化を使い何とか避ける。
変な形で避けたため体勢が崩れたのを、立て直そうとする俺。
そんな隙を見逃す訳が無い相手は、右からの袈裟切りを放つ。
剣でそれを受けるが、弾き返され、今度は降ろした剣を左下から切り上げてくる。
そのまま俺は防御が間に合わずに切られ吹き飛ばされる。
俺は、木剣じゃなかったら死んでいたなーとか思いながらも気を失った。
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「はっ!」と
勢いよく起きた俺は、体の痛みに眉をしかめる。
「やっと起きた?」
そう言って俺を見下ろしてくるのは、俺の3つ年上である、エアリス・ランウォーカーである。そしてもう1人俺と姉上に剣術の指導をしてくれる、エイリーン・ランウォーカー夫人だ。
「練習中に考えことはいけないな、レイ。それが実戦だったら今頃君は出血多量で死んでいたな」
「すみません、先生。ごめんね、姉上」
あのステータスの取得をしてから俺は親たちに鍛えて貰うようにお願いした。
父のジークからは槍術、母のエリスからは魔法全般、そしてエアリスの母、エイリーンからは剣術を習っている。
最初の2年近くは体が出来ていないということで、父と母に身体強化について学んだ。その頃は身体強化をしながら魔力限界まで動き回るのが日課だった。途中からエアリスに追い掛け回されるという事も多々あったが、まあそれも訓練の一つだろう。
そして3歳になってついに自分専用の槍と剣を手に入れた。その頃から今日みたいな模擬戦の日々なのだが。
父のジークも先生のエイリーンも基礎を教えてくれたのは最初の一ヶ月だけで、あとは実戦あるのみ!とかいって模擬戦ばっかしている。そしてその結果を見てダメだったところを指摘するという日々を過ごしていた。何とも脳筋な家族だ。
論理で攻めてくるのはエリスだけだ。逆に魔法論理を一から覚えさせられそうになった時はどうしようかと思ったが……
「この本を覚えなさい!」と持ってきた物凄く分厚い本を見た時は発狂しそうになった。だって前世の広辞苑ぐらいあるんだぜ?そんなの読みたいと思うか?何とかジークの説得でその方法はなくなったが……
まあ、俺のために色々教えてくれる家族のおかげでステータスも色々と変わった。
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レイヴェルト・ランウォーカー 8歳 男 レベルー
職業:生徒
体力:480
魔力:520
筋力:300
敏捷:310
物耐:610
魔耐:240
称号:女神アステルの観察対象 限界なき者 困難に見舞われし者 天才魔法師
スキル:槍術レベル3 剣術レベル3 雷魔法レベル4 風魔法レベル3 水魔法レベル2 火魔法レベル1 土魔法レベル2 光魔法レベル1 闇魔法レベル1 生活魔法レベル3 頑強レベル4 身体強化レベル4 気配察知レベル2 魔力探知レベル2 礼儀作法レベル2 言語(大陸語)レベルー
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こんな感じになってしまった。
やっぱりジークとエリスの息子という事もあり雷魔法と風魔法の適性が高い気がする。因みに魔法は普通の人だと2種類か3種類の魔法しか使えないらしい。4種類ぐらいから使える人がいきなり減るらしい。
俺は称号のおかげで制限がないけど。だからエリスと同じ天才魔法師の称号も手に入れることができた。これが手に入った時のエリスは「さすが私の息子ね!」と抱き締めてくれた時は素直に嬉しかった。
っと、ステータスの事を考えていたらエアリスに木剣で頭を叩かれた。
「何ぼーっとしてんのよ」
「ごめんなさい。どうしたら姉上に勝てるのか考えていた」
剣術を習い始めてから姉上と手合わせするようになったが一度も勝てたことがない。これが才能の差なのかと思わされる程姉上は強かった。辺境伯領軍に混ざって練習しているのをたまに見かけるが、軍の兵士を薙ぎ払っているのを見た時は、流石にびっくりしたが。
そんな姉上のステータスを見てみると
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エアリス・ランウォーカー 11歳 女 レベル16
職業:剣士
体力:560
魔力:340
筋力:720
敏捷:840
物耐:430
魔耐:220
称号:剣の申し子 疾風迅雷
スキル:剣術レベル5 風魔法レベル3 火魔法レベル2 身体強化レベル4 生活魔法レベル2 礼儀作法レベル2 気配察知レベル4
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なんか見たことない称号ついている。
疾風迅雷:素早く過激に敵を切り倒した者。筋力・敏捷のステータス上昇
絶対あの訓練だよ……兵士たちが飛んでたもん。
「もうっ! またぼーっとしちゃって! ほらあなたの大事な2人が来たわよ」
おっ! もうそんな時間か。振り返ると俺目掛けて走ってくる女の子2人に、母のエリスとクロエがやってきた。
「お兄さま〜!」と頭から突っ込んできたのは俺が3歳の時に生まれたフィーリア・ランウォーカーだ。俺の実の妹になる。見た目は金髪の髪に軽くカールがかかっていて、翡翠色の目をしている。なんと、この妹は精霊眼という特殊な眼を持っていて精霊が見えるらしい。今も彼女の周りに飛んでいるとのこと。
そしてもう1人は
「あっ! フィーリア様ずるいです! レイ様! 私も抱き締めてください! 頭なでなでして下さい!」とやってきたのはフィーリアと同い年でクロエの娘であるクロナだ。母親の血を受け継いで猫族の立派なネコミミとシッポがついている。クロエは俺が2歳の時に結婚し、翌年にクロナを出産。そのあとはクロナを俺専属にしようと教育中。クロエは以前の侍女長のアンの後を継いで侍女長をしている。
「ダメです! 今はフィーの時間なのです! クロナは待機なのです!」
「フィーリア様のケチ! いけず!」
普段は仲の良い2人なのだが俺が絡むと毎回ケンカをする。
「あら、モテモテね。レイちゃん」
「レイ様。責任を取ってくださるならクロナに手を出しても大丈夫ですよ?」
いやいや! まだ5歳児の子に手は出しませんよ!
「なんですって! 私には手を出さないのにまだ小さいフィーリア達には手を出すっていうの!」
ちょっ! 姉上! 何ぶち込んできてんの!? 後ろで先生が苦笑いしてるぞ。
そんな幼女や少女に囲まれながらも幸福な時間を楽しんでいる俺は、こんな時間が続けばと思っていた。
そんな日々の一週間後に生まれて初めて困難が立ちはだかるのだった……
夜にもう1話投稿します!
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「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」