7.今後の話
ステータスの取得が終わって、今は屋敷の中だ。
あの後神殿を出て馬車に戻ってからのみんなの沈黙はやばかった。
誰一人として話をしようとせずみんな一様に難しい顔をしていた。
俺は俺で、称号やスキルについて考えていたし。
もう一度ステータスを確認する。
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レイヴェルト・ランウォーカー 1歳 男 レベルー
職業:無職
体力:75
魔力:100
筋力:30
敏捷:10
物耐:200
魔耐:70
称号:女神アステルの観察対象 限界なき者 困難に見舞われし者
スキル:頑強レベル1 身体強化レベル1 言語(大陸語)レベルー
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やっぱり問題は称号の部分だよな〜
限界なき者って転生前に、あの女神が与えたとか言っていたやつだよな。そのおかげでステータスレベルのところが無表示になっているし。
努力次第では強くなれるとかけっこうチートじゃ無いか。もう一つの称号の『困難に見舞われし者』無かったらあまり努力せずにも過ごせたかもしれないが。なんだよこれ。今後の人生で色々な困難に立ち向かうことになるだろうって、生後1年で波瀾万丈な人生確定じゃ無いか!
そんな事を考えていたらピコーンと機械音が頭の中に響いた。なんだこれ?
そうするとステータスが自動的に開いた。
女神アステルからの伝言▽
称号欄には書いてなかったけど、ステータスだけでなくスキルも努力次第では全部取る事が出来るから頑張ってねー
適性が無かったスキルは習得できないから習得しづらいになっているから!
この女神ここにきてめっちゃ重要な事ぶち込んでくるんじゃねえよ!
こんなの努力次第ではなんでもできるじゃ無いか。
こうなったら2人に俺の前世の話もしてみるか……
なんて思われるか不安だが、こんな称号を持っていたら努力するしかないし、両親の協力は必要不可欠だ。いつどの様な困難が起きるかわからないが、どのような困難に見舞われようとも乗り越える力を手に入れるために。
もう2度と若死しない為にも! 今度の人生は楽しく生きる為にも!
「クロエ! 父さまと母さまのところに行こう!」
「かしこまりました。レイ様」
ーーーーーーーーージーク・エリスsideーーーーーーーーー
屋敷についた俺たちはクロエにレイを任せて、俺とエリスは俺の書斎へと入った。
「エリス大丈夫か?」
「あなた。大丈夫よ。ただこれからのあの子の人生が心配で……」
それはそうだろう。確かに俺とエリスはあの子が今後大変な思いをしないようにいいスキルが付いている事を祈った。
あの子のステータスは赤ん坊にしてみれば確かに優秀だったがそれも魔力と魔耐だけだった。他はエリザベートの息子2人とあまり変わらないぐらい普通の数値だ。才能だけならばエイリーンの娘のエアリスの方が上だった。
なんせ、数値は軒並み100以上で生まれたばかりなのにすでに剣術スキルを持っていたし。称号欄には『剣の申し子』という称号も持っていたからな。
剣の申し子:剣の才能に溢れている者。どの種類の剣を使っても直ぐに扱う事ができる。剣術系スキルとステータスの筋力・敏捷が上がりやすくなる
そのような才能もあって2歳になりだした辺りからエイリーンはエアリスに剣を持たせていた。剣聖などと言われる剣の達人たちは皆この称号を持っていたと言われている。そのおかげもあってエアリスは今年4歳でありながらも剣術はレベル4筋力・敏捷は400近くある。
それに比べれば今現在のレイのステータスは平凡と言わざるおえない。あの称号を見るまでは。
エリスが気にしているのはその事だろう。
「エリスその事なんだが」
「ジーク。私は心を鬼にしてもレイを鍛えるべきだと思うわ」
「それはあの子を英雄にしたいからかい?」
そうあの称号はそれほどまで特別なものだった。ステータスのレベルやスキルレベルはあるところまでいくと急激に成長し難くなる。そこが世間一般的なところでいう成長限界というものだ。
俺自身もここ数年あまりレベルが上がっていない。だが、あの子は違う。あの称号のおかげで努力すればするほど成長できる。何年かかるかはわからないが、剣聖にもなれるだろうし、魔法を極めれば伝説の称号の魔導王にもなれるだろう。
「違うわ! そっちの称号が問題じゃなくて『困難に見舞われし者』の方よ!」
「……確かにその称号も問題だったな。称号に載っていた困難というのがどのくらいの規模なのかがわからないからな。この辺境伯領だけに収まる困難なのか、それとも国中を巻き込むほどの困難なのか……」
「そんな小さい事じゃないと思うわ。多分この大陸全土を巻き込むほどだと私は思うわ」
「なぜそう思う?」
「それは母親のカンよ!」
「・・・はっはっは! そうか! 母親のカンか! それならばレイを鍛えてやらねばな! 腕がなるぞ!」
その時に頭の中でピコーンと機械音が鳴り響いた。そうするとレイのステータスが開いた。
女神アステルからの伝言▽
称号欄にはかいてなかったけど、ステータスだけでなくスキルも努力次第では全部取る事が出来ているので頑張ってねー
適性が無かったスキルは習得できないから習得しづらいになっているから!
・・・はっ!俺もエリスもこの女神からの伝言を見て固まってしまった。
「私自分が使える魔法を全部教えるわ!あなたが槍術で、エイリーンに剣術を教えてもらいましょう!」
「そうだな。エイリーンは信用ができるからな。自分の剣術を覚えてくれる弟子が増えると喜ぶしな」
と2人でそんな事を話してると扉を叩く音が聞こえた。
「ジーク様。レイ様がお越しになりました」
なんと! レイの方からやってくるとは。
「あなた……」
「ああ、ちゃんとレイには説明しよう」
あの子ならなんとなくわかってくれそうな気がする。
ーーーーーーーーーーーレイsideーーーーーーーーーーー
「父様、母様失礼します」
俺はクロエに抱かれて書斎に入った。
2人とも俺の雰囲気が変わったのがわかったのか、今までに見た事ないほど真面目な顔つきになった。
「おお、レイ! よく来たな! 寂しくなったか?」
と笑ってくれるのだが、目は真剣なままだ。ここは真剣に話そう。
「父様と母様に大事なお話があります。クロエも聞いてください」
「レイ?あなたそんなに流暢に話せたかしら?」
エリスが俺の話し方に疑問に思っている。
「その事についてもお話しますが、その前に僕の話についてです」
「レイの話? ステータスの事ではなくてか?」
「はい。ステータスも関係しているのですが、実は僕は前世の記憶を持つ転生者なんです。前世はただ平凡な学生だったのですが、事故に遭い亡くなりました。そのときに女神アステルにこの世界に転生させてもらいました。その時に人を助けたとして記憶とステータスにあった『限界なき者』を貰いました。『限界なき者』についてはすっかり忘れていましたが」
「そうか。だから女神アステルが色々と称号をくれたりしているのか」と天を仰ぐ父。
エリスとクロエは目を点にして驚いていた。
「やっぱり気味が悪いですよね……自分の子供が得体の知れない記憶を持っているなんて」
と自分を卑下していたら、いきなりパチーンっと音がして俺は吹っ飛んだ。えっ? 何が起きたんだ? ジークとクロエは驚いて立っていた。じゃあ、エリスは? と探そうとすると突然誰かに抱き締められた。
「なんてこと言うの! 気味が悪いわけないじゃない! あなたは私とジークの子供でレイヴェルト・ランウォーカーなのよ! 前世の記憶なんて関係ない、この世界で生まれてきてくれた私たちの大切な子よ!」
そういったエリスは泣きながらも強く抱き締めてくれた。
「そうですよ、レイ様。私もエリス様と同じ気持ちです! たとえ前世の記憶があろうとなかろうともなにがあってもわたしはレイ様に仕えると誓ったのですから」
そう、クロエに言われて俺はついに泣き出してしまった。
「ははは! そうだぞ、レイ。全部女性陣2人に言われてしまったが、お前は大切な俺たちの息子だ。たとえお前が俺たちの側から離れたいと言ってもさせないからな!」
と、ジークは笑ってくれた。
俺は正直心の中で本当に家族になれるのか不安な部分があった。この前世の事を話したら気味悪がられて追い出されるんじゃないかとか考えたんだか、全てが杞憂に終わってしまった。俺はようやくこの2人の子供でランウォーカー家の家族になれた気がした。
次から成長速度が速くなると思います。
そろそろヒロインを出さないと
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