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閑話 冒険者ギルド

 俺が王都に残ってから1月が経った。今も1人で一軒家に住んでいる。


 初めは予定通り学園の寮に住む予定だったのだが、王様が事件の時の褒美も含めて家を譲ってくれた。


 一軒家と言っても普通に一家族は優に住めるであろう広さのある家だ。年齢8歳で家持になってしまった。家具なども全てに王様が手配してくれたので一銭も払っていないし。


「レイ! 起きてる?」


 おっと、もうそんな時間か。アレクシアがやって来たようだ。この家は王宮と学園の間にある為、アレクシアが毎日迎えに来てくれる。


「ああ、起きてるよ。おはようアレクシア」


「おはようレイ。ぎゅーーーー!」


「むふっ!」


 ……そして毎日抱き締められる。柔らかいんだけども。嬉しんだけど。……苦しい。


「アレクシア様? レイ君が死んでしまいますよ」


「あら? またやり過ぎちゃったわね。レイが可愛いのが悪いのよ!」


 ようやく解放された俺に何故か逆ギレするアレクシア。おっ、今日はヘレンさんもいるようだ。


「スーハー、スーハー。ふぅ、危なかった。いつか本当に死んでしまうよアレクシア。おはようございますヘレンさん」


 俺がそう言うとクスクス笑うヘレンさん。アレクシアはぷくぅーと頬を膨らませる。


「おはようございますレイ君。今日は私も学園へ行きますね」


「はい、それでは行きましょうか」


「レイは私の膝の上ね!」


 ……それは流石に。


 結局膝の上に抱き抱えられながら馬車に揺られること数分。後頭部が柔らかい。


 学園に着いた俺たちはそのまま師匠の元へ向かう。そして学園長室の扉をノックすると


「ど、どうぞ!」


 と中から声が聞こえるので入ると


「もう! 起きて下さいよ学園長! みんな来ましたよ!」


 と叫んでいるのはこの学園の副学長のメロディ・ビネガー副学長だ。身長が150ほどしか無く茶髪のおさげをしている。見た目は子供なのだが、アレクシアが言うにはとても凄い人らしい。


 俺はここでしか会ったことがない為、この学園長に泣かされているところしか見たことない。学園長のお守りには苦労しているようだ。この人は自由だからな。


「えへへ〜あと5日〜」


「長い! 長いですよ学園長! せめてあと5分とか、って違う! 早く起きてください! 決裁を頂かないといけない資料もあるのに〜」


 あ、半泣きになってしまった。


「メロディ副学長。俺が起こしますよ」


「本当ですか〜! 助かります!」


「離れてくださいね」


 俺は師匠の肩に触れそして


「ボルト」


 雷魔法を発動する。すると


「あばばばばばば!」


 そしてしゅ〜うと音を立てて机に伏せる師匠。次の瞬間、ガバッ!


「痛いじゃ無いかい! こんな美しい師匠に向かってなんてことするんだい!」


「師匠が起きないからじゃないですか。メロディ副学長が困っていますよ」


「ん? なんだ、メロ。来ていたのか。それなら起こしてくれたらよかったのに」


 ふわぁ〜と伸びをする師匠。


「な、ん、ど、も起こしましたよ! それでも起きなかったんですよ!」


 流石に怒ったメロディ副学長。しかし師匠は素知らぬ顔。


「まあ副学長。落ち着いて下さい。師匠、今日はどうするので?」


「ん? ああ、今日はレイの冒険者登録に行ってそのまま依頼を受けようと思う。アレクシアも今日は自主練でいいぞ。ヘレンはいつも通りレイに教える資料を本棚から勝手に取って行っていいからなぁ〜。そしてメロにはこれをあげよう!」


 そう言いメロディ副学長に何かを渡す師匠。


「何ですこれ?」


「メロが今1番欲しいものだよ!」


 ドヤ顔をする師匠。メロディ副学長が箱を開けるとそこには


「何で学園長の印を私に渡すんですか!」


「お前が私の代わりに書類を作る為さ! さあ、行くよレイ!」


 そのまま俺は師匠に首根っこを掴まれ連れ去られる。最後に見たのは悲壮な顔をしながら腕を伸ばしてくるメロディ副学長の姿だった……


「まったく、メロにも困ったものだ」


「いや、悪いのは師匠の方でしょう」


「何でさ? 私はただ寝ていただけだよ」


「仕事を置いて?」


「眠かったからね!」


 うわぁ〜、まったく悪気がなさそう。


「さあ、着いたよ。此処が王都の冒険者ギルドだよ」


 そうして中に入っていく師匠。中々大きいな。3階建ての家を冒険者ギルドにしたみたいだ。


 中に入ると、思っていた以上に綺麗だ。1階は受付に色々と紙が貼ってある掲示板に待機用の机かな? があり、2階は酒場になっているみたいだ。3階もあるみたいだが何だろう?


「あぁん? 何でこんなところにガキが来てんだよ」


 中をチョロチョロと見ているとスキンヘッドで左目に傷のある2メートルくらいの男に話しかけられた。これはいわゆるテンプレってやつか? 絡まれるのか?


「おい、小僧。迷子か依頼の発注なら受付に行きな。冒険者登録なら親か保護者の同意が必要だから1人で来ちゃいけねぇぜ」


 そう言い頭をガシガシと撫で回す男。……見た目で損する人だ。


「また、始まったよハーゲンさんの子供好き。でも顔が恐いから直ぐに泣かれるんだよなぁ」


 そう言い爆笑する周り。かなり良い人みたいだ。


「何やってんだいレイ。早く来な……おや、ハーゲンじゃないかい。王都に帰ってきてたのかい?」


「これはシルフィーの姉御! お疲れ様です! 先週アルカディア教皇国から帰ってきやした!」


「そうかい。向こうはどうだった?」


「それが、帝国と教皇国の戦争は続いているのですが、帝国の兵士の中に魔剣持ちが複数現れて、教皇国が少し押され気味ってところです。隊長クラスでなくて普通の兵士クラスが持っていたので直ぐに抑えられましたが、そのまま雪崩れ込まれた感じです」


 魔剣といえばあれのことか? まさか帝国にもあるなんて。何なんだ一体。


「そうか。あれが帝国にも……。ありがとう。良い情報をもらったよ」


「いえ! 姉御のためなら全然構いやせん! それでギルドへはどの用で?」


「私かい? 私はこの子の冒険者登録に来たのさ」


 そう言い俺の頭をポンポンする師匠。


「って事は……」


「ああ、私の弟子だ。腕は立つが冒険者について何も知らないから教えてやってくれ」


「わかりました! 小僧。俺の名はハーゲンだ。ランクAの冒険者だ。よろしくな」


「はい、俺の名前はレイヴェルト・ランウォーカーと申します。よろしくお願いします」


 俺とハーゲンさんは握手をする。


「それじゃあこの子の登録に行くから」


「へい! お疲れ様でした!」


 ハーゲンさんと別れて受付へ向かう。


「待たせて悪かったね、ラビ」


「いえ、全然大丈夫ですよ、シルフィード様。では登録されるのは」


「ああ、この子だよ」


 師匠が向かった受付には、ウサ耳のお姉さんがいた。黒ウサだ。年は20前ぐらいだろうか。そして素晴らしいお胸様。


「初めまして、私はナノール王国の冒険者ギルド本部て受付をしておりますラビと申します。よろしくお願いします」


「初めまして、レイヴェルト・ランウォーカーと申します。よろしくお願いします!」


 俺がそう言うと、ラビさんは固まってしまった。何だ?


「……シルフィード様。ランウォーカーって言うとあのランウォーカーですか? それにレイヴェルトって言うと」


「ああ、そのランウォーカーでレイヴェルトだよ」


 師匠に何か聞くと、俺の方を見て微笑む。な、何だ? なんか恐い。


「失礼いたしました。まさか『雷帝』にお会いすることができるとは思わず。ここのギルドを使う際は是非私の所へ来て下さい。手取り足取り教えますよ」


 な、何だ一体? 訳がわからない。


「は、はあ、それじゃあ登録を」


「かしこまりました。それではこちらの用紙を記入して頂けますか。それから冒険者についての説明は?」


「お願いします」


「それでは説明いたします。まず冒険者にはランクがありまして、一番下がFとなりそこから順にE・D・C・B・A・Sとなります。ランクを上げるには依頼を受けてもらい成功し貢献度を高めてもらう必要があります。

 依頼につきましては、雑用、採取、討伐とあり、ランクもFから順にSまであります。冒険者ランクの一つ上のランクまで依頼を受けることができます。何かご質問は?」


「いや、大丈夫です。あっ、これ出来ました」


「はい……確かに。それでは冒険者カードを作成いたしますので少しお待ち下さい」


 ラビさんが裏に戻り数分後1枚のカードを持ってきた。


「これが冒険者カードになります。Fは黒色になり、順に紫、青、赤、銀、金、そして虹色になります。シルフィード様はSランクなので虹色ですよ。この国でも2人だけで大陸でも10人ほどしかいないんですよ」


 師匠はやっぱりSランクか。


「ありがとうございます」


「最初は無料で発行しますが、紛失等による再発行は有料になりますのでご注意下さい」


「わかりました。ありがとうございますラビさん」


 こうして俺は冒険者になることが出来た。

閑話というより続きのような……

まあ、閑話という事で投稿させていただきます。


評価等よろしくお願いします!


次はあの子の話でも……


7月28日修正

「副園長」⇨「副学長」に変えました。

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