後日談.新婚旅行?編 束の間の休息
「今回は本当にありがとうございました、エアリスお姉様!」
エアリスの手を握りながら頰を赤く染めるミレス。周りの助けた女性たちも、エアリスを囲んで次々と感謝の言葉を述べる。
エアリスは戸惑いながらも、次々と述べられるお礼に受け答えして行く。俺はそれを離れたところで見ているだけ。完璧に蚊帳の外だ。
何故こんな事になっているかと言うと、簡単な話、ミレスたちを助けに行った時に、エアリスが中心として、ミレスたちを助けたからだ。
その結果、ミレスはエアリスの事を『お姉様』と呼び、元々ミレスを慕っていた女性たちも『大お姉様』と呼び始めたのだ。
俺も助けたのだが、まあ目立たなかったようだ。それも仕方ないか。エアリスはかなりの存在感を出していたもんな。
「わ、わかったからみんな落ち着いてちょう……あんっ! だ、誰か私のお尻触ったわね!」
エアリスを中心に、姦しく騒ぐ女性たち。楽しそうで何よりだ。ただ、そろそろ俺にも構って欲しい。部屋の端っこでぽつりと1人で立っているのは寂しすぎる。
それから1時間後してようやく解放されたエアリスが、涙目で俺の元へと戻って来た。体中色々とまさぐられたらしい。俺の陰に隠れるエアリスを、ミレスたちは追うが、俺がいるので近づいて来ない。
その中からミレスがおずおずと近づいてくる。そして、左右を見て、周りの女性たちは頷く。そして
「……こ、こほんっ。あ、あなたにも感謝しなければ。あなたが彼女たちを助けてくれなければ、私はあのままやられていた。私たちは男が嫌いだが、あなただけには心から感謝をする。本当にありがとう」
ミレスが代表して頭を下げると、続くように後ろにいる女性たちが頭を下げてくる。そして、その中から少女が1人出てきて、俺に花をくれた。
「助けてくれて、ありがとっ!」
花が咲いたように愛らしい笑顔を向けてくる少女。俺は思わず頭を撫でてしまったが、少女は嬉しそうに微笑んでくれた。
それから、ミレスたちがエアリスにここに残ってくれ、と物凄く懇願していたが、俺が無理矢理エアリスを引っ張り連れて帰ってきた。あれ以上いたら、女性陣総出で、エアリスを捕まえかねないからな。
俺はエアリスを連れて、カレンディーナの屋敷に帰って来ると、みんなが出迎えてくれた。みんなの中から飛び出して来る2つの影。アレンとエレネだ。
「パパ、お帰り!」
「パパ、お帰りなさい!」
「ああ、ただいまアレン、エレネ。良い子にしていたか?」
「「うん!」」
ああ、癒される。2人のこの笑顔が見れるなら、なんでも出来る気がする。最近は2人に構ってあげられなかったから、今から遊ぶか!
「良し! アレン、エレネ、今から遊ぼう!」
「えっ!? いいの?」
「ママたちがパパの邪魔しちゃいけないって言っていたよ」
2人とも驚いてはいるけど、目をキラキラさせている。俺は2人の頭を撫でながら
「今日は良いぞ。こっちに来てからは、2人に余り構ってあげられなかったからな」
と、言ってあげると、2人は「やったー!」とバンザイして、クルクル追いかけっこをする。
2人は年の割には、かなり聡明だ。親バカも含まれているかもしれないが、それでもかなり我慢してくれている。俺がいない間は、妻たちが側にいるのもあるだろうけど。
それから俺は、カレンディーナに使っていない土地が無いか尋ねると、この前、俺がぶっ放した場所は空いていると言われた。確かに空いているな。
そこに転移して、俺は土魔法で土地を整地する。そこに次々と遊べる遊具を作る。普通の土魔法では無理だが、そこは2人のためだ。神格化を発動し、次々と作っていく。
子供が好きな物と言えば遊園地だろう。メリーゴーランドにコーヒーカップ。観覧車など定番な物を色々と作っていく。
動かすには魔力が必要だが、空気中の魔力を自動で吸収する様にしているから、ボタンさえ押せば動き出す。
整備も不要な様に、劣化しない様防御膜も張っているし、万が一壊れれば、直せるゴーレムを配備する。これで簡単にだが遊園地の完成だ!
そこに妻たちにロイたち夫婦、それからこの国の王であるカレンディーナを作った遊園地へと連れて来た。
この建物を見た事の無いアレクシアたちは興味津々で、当然日本にいた時に見た事のある香奈と麻里は、少し苦笑いをしている。
「パパ、パパ! ここは何するところなの!?」
「ここはな、ここにある乗り物に乗って楽しむところなんだよ。今日はここで遊ぼうか」
俺はアレンとエレネの手を引き乗り物に行く。後ろで香奈たちが「私たちも遊園地デートしたいのに〜」と言っているが、向こうに帰ってから作るから許して欲しい。俺もみんなと行きたいからな。ただ、今日はアレンたちに使いたい。
結果は大好評だった。アレンもエレネも終始大はしゃぎで、物凄い笑顔だった。ここ最近は本当に屋敷に篭りっぱなしだったからな。楽しそうで何よりだった。
この遊園地は、そのままカレンディーナに譲る事にした。この土地を焼け野原にしてしまったお詫びと、屋敷に泊めてもらっている礼も含めて。
カレンディーナは恐縮そうにしていたが、最終的には受け取ってくれた。この土地はコクシを倒した事による女神クリーナから賜った物として、国民にも知らせると言う。みんな楽しんでくれたら良いが。
そして、2人が寝静まった後は「私たちの番よね?」と集まって来る妻たち。さすがに他の屋敷でアレをするのはあれなのだが、俺が防音の魔法をかけてヤってしまった。俺も色々と溜まっていたみたいだ。
この夜は色々とスッキリとした。開いていた扉の隙間から覗く視線には気がつかなかったが。