表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

182/350

168.再会

 ジークの作戦通りおびきだせたな。


 目の前には真っ黒な剣、って魔剣じゃ無いかあれ。なんで使えるんだ? わけがわからないが、魔剣を持った男と、ザ・勇者って感じの鎧を着た男と、両手に籠手をつけた男が構えている。


 ……勇者っぽい男と籠手をつけた男はどこかで見たことがあるな。どこで見たことがあるのだろうか?


 ……あっ! 今日夢で見た後輩のイケメン君だ! まさか同じ高校の後輩が召喚されるとは。まあ、勇者っぽい顔しているもんな。


「……こいつがガルガンテが言っていた俺らと同い年ぐらいの少年か」


「そこをどけ! 今行くぞみんな!」


「ば、馬鹿野郎! 先走りやがって!」


 勇者君が剣を拾って俺に切りかかってくる。馬鹿かこいつ。周りには千人程の兵士たちと、昨日痛い目にあわされているはずの師匠がいるのに突っ込んでくるなんて。


「悪いが高校生だからと言って手加減は出来ないぞ」


「ふざけるな! 手加減なんて……えっ?」


 勇者君は、俺に切りかかってくる途中に怪訝な顔をする。戦闘中に気を抜くとは余裕だな。


 切りかかってくる剣を槍で弾き、石突きで腹をを突く。勇者君は辛うじて体を捻り避けるが、そのまま槍を振り吹き飛ばす。


 まずは1人目。勇者君目掛けて槍を突き出すと、横から剣で弾かれる。いつの間にか二刀流になっている魔剣君だ。勇者君を庇うように立つ。


「大丈夫か伊集院!」


「げぼっ、ああ、何とか」


「1人で突っ走るんじゃねえぞ。俺たちが力を合わせなければあいつは倒せない」


「ああ、そのようだな」


 そう言い立ち上がる勇者君。いつの間にか格闘家君も2人の側にいた。……なんか俺が悪役みたいじゃないか。他の兵士たちは動かないし。レガリアもナノールもだ。見学状態になっているじゃないか。


「行くぞ! フォトンブラスト武器付与!」


「ボルケーノドライブ武器付与」


「ゲイルブラスト、フレイムブラスト武器付与」


 勇者君たちがそれぞれ武器に魔法付与し本気で来る。俺も槍にカオスボルテックスを武器付与する。ロウガじゃないからもつか心配だが


「はぁあっ!」


 まずは勇者君が切りかかって来る。勇者君の剣を外套で防ぐ。そして槍で足払いをすると、勇者君は飛んだ避ける。空中じゃあ避けられないだろう。勇者君目掛けて外套を伸ばす。


 勇者君を外套で巻いて捕縛して、そのまま地面に叩きつける。背中から叩きつけたため勇者君は肺から空気が抜けて、苦しそうに呻く。


 だが呻いている暇なんてないぞ。地面に寝転がっている勇者君に向かって槍で突く。勇者君は転がるように慌てて避けるが、俺はすぐに勇者の側まで行き、蹴り上げる。血を吐きながら吹き飛ぶ勇者君。


 俺が追撃しようとすると、間に割り込んで来る格闘家君。槍で連続で突きを放つが、籠手でうまいこと逸らす。そこに


「せいっ!」


 切りかかってくる魔剣君。普通の剣と魔剣にそれぞれ別の魔法を付与している。風を纏わせる剣と炎を纏わせている魔剣で切りかかってくる。……勇者君より動きが良くないかこいつ。


 右手の剣で切りかかってくるのを外套で防ぎ槍で突く。俺の槍を左手の魔剣で防ぎ、俺の上を飛ぶ様に超える。そこにさっきまで倒れていた勇者君が、再びやってくる。それに合わせる様に格闘家君も。


 俺を囲む様に攻めてくる3人。1番気をつけないといけないのは二刀流の魔剣君だな。光天ノ外套が魔力に反応して防いでくれるから何とかなっているが、これが無かったら厳しかったかもしれない。


「全軍、突撃っ!」


 そんな風に勇者たちとやり合っていたらレガリア軍が動き出した。もう、捕まっている奴らの事は無視か。


「お前らはそれで良いのか?」


「何だと?」


 俺の問いに勇者君が反応する。魔剣君は俺の言いたい事がわかるのか黙っている。格闘家君も同じく。


「お前たち勇者組はこのまま使い潰されるのがオチだぞ。このままレガリア側にいて良いのか? 俺たちの方に来れば、まあ、殺しはしない」


「ふざけるな! そんな事信じられるか!」


 まあ、それはそうだよな。俺が勇者側だったとしても信じられない。だけど、これで遠慮なく殺れる。


「わかった。なら死ね。雷装天衣発動。複合魔法、雷光ノ天装」


 ぐうっ! レベル9の魔法を同時発動は中々辛い。物凄い勢いで魔力が減っていく。だけど、レガリア軍もろとも吹き飛ばすには、俺が使える最大の技だ。


「吹き飛ばせ、雷の閃光(グロムレイ)


 俺の上空に数えるのも嫌になる程の光の球体が現れる。レビンさんやエクラが使っていた技を俺なりに改造した。


「ま、まず……」


 その全てが勇者組、前方のレガリア軍へと降り注ぐ。大地を揺るがす程の威力。兵士たちの叫び声すら聞こえない程の轟音。


 俺が発動した全ての光の球体が降り注ぐと、俺も立っていられなくなって膝をつく。かなり魔力を持っていかれたからな。


 吹き荒れていた砂煙晴れていくと、レガリア軍は完璧に停止していた。前の方は血塗れの人たちが倒れている。生きている人は少ないだろう。


 勇者組は……全員生きているが、五体満足のやつはいなかった。勇者君は左足が吹き飛んで、格闘家君は右腕が吹き飛び、魔剣君は両腕が無かった。そのほかの怪我は体が貫通しているくらいか。


 このまま放っておいても出血多量で死ぬだろうが、このままトドメを刺そうか。俺は何とか立ち上がり、1番近くにいた魔剣君の方へ行く。


「恨みはないが、ナノールのためだ。じゃあな」


 魔剣君目掛けて槍を振り下ろす。このまま刺すと俺は思っていた。だけど、そうはいかなかった。槍が何かに弾かれたからだ。


「た、匠くんから、は、離れてください!」


 そして聞こえる声。……俺の耳はおかしくなったのか? なんでこの世界で聞こえるはずのない声が聞こえてくるんだよ。俺は恐る恐る声のする方へ向く。


 俺は気の所為だと思った。俺の耳がおかしいだけだと。今日夢で聞いたから、偶々似た声がそう聞こえるだけだと。そう思っていたが、俺の外れて欲しいという思いは届かなかった。


「みんなから離れないと魔法を撃ちます!」


「……香奈」


 そこには、本当ならこの世界にいないはずの従妹が俺に杖を向けて立っていた。

評価等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 1.「勇者君は飛んだ避ける」→「勇者君は飛んで避ける」 2.「砂煙晴れていく」→「砂煙りが晴れていく」
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ