16.情勢(2)
レガリア帝国って確か魔の大地を挟んだ隣にある大国だったよな。
「レイはまだこの大陸について習ってなかったな。この大陸は8つの国で成り立っている」
そう言い、ジークが説明してくれた。
俺たちが住んでいる国『ナノール王国』
この大陸の一番東にあたる国になる。魔の大地がある事以外は特に問題もなく平和な国だ。
そして、この国と接している国が3つある。
一つ目はナノール王国の南に位置する国『獣人国ワーベスト』
人口の7割が獣人で成り立っており、ナノール王国とは同盟関係にある。代表である獣王は年に何度か家族を連れてナノール王国にやってくるほど、仲がいい国だ。
二つ目の国は俺とは無縁とは言えない神、女神アステルを信仰している国『アルカディア教皇国』
何でも俺と同い年である、この国の教皇の娘が女神アステルの加護を受けており、国挙げての大賑わいになるほど、女神アステルを信仰している。各国にある神殿の本山がこの国にある。俺のステータスがばれたらめんどくさい事になるから、あまり行きたくない国だな。もちろんナノール王国とは同盟関係にある。
三つ目が、初めに出てきた国『レガリア帝国』だ。元々は、小さな国だったレガリア国がこの国唯一の召喚魔法である勇者召喚で勇者を召喚し、他国へ侵攻、吸収合併を繰り返し今のような大国へとなった。今も軍備に力を入れており色々な国と戦争状態にある。この大陸を統一するのが目的だとか何とか。
この国々がナノール王国と接している国々となる。
残りの国で、この大陸の最南端にある国『シーリア王国』
この国は海から国の真ん中まで大きな川が流れており、そこから取れる水産物が名物となっている水の国となっている。なんでも水竜が住んでいて、水竜の加護によって守られているらしい。水竜を見たことある人がいなく伝承に残されているだけなので本当かどうかは分からないけど。
シーリア王国の北、ワーベストの西に当たる国『亜人国フォレストファリア王国』
この国は名前の通り、人口のほとんどが亜人となる。まだ見た事はないがエルフやドワーフが住んでいる国だ。精霊が住まう国とも言われている。また、ヒカリンを連れて行ってあげたいな。人口は一番少ないが、魔法が得意なエルフや鍛冶が得意なドワーフが防具や武器を作る為、他の国々と変わらぬくらい強い国だ。
そのフォレストファリア王国の西にある国『イールノルト連邦共和国』
元々は20を超える小国が集まった国で数年に一度選挙で代表を選ぶこの大陸の中では変わった国だ。
そして、レガリア帝国と同じぐらい問題のある国でアルカディア教皇国の西にある国『魔国テンペスト』
魔族が治める国で、魔王が存在する。この魔王が問題でとても好戦的なんだとか。現在も接しているアルカディア教皇国とレガリア帝国に戦争を仕掛けている状態。この為レガリア帝国はまた勇者召喚を考えているとか。それぐらい魔王は強いらしい。
これがこの大陸の情勢となる。
「レガリア帝国は、他の国々に戦争を仕掛けている理由は話したと思うが、大陸を統一しようとしているのが一番の理由だ」
また迷惑な話だ。
「今回のはもうレガリア帝国が黒幕だと考えているの?」
エリスがそう聞くと
「多分な。こうなったら報告しに行かないといけないな。ギル、今いる兵士の中で50人ほど選んでおいてくれ。日にちは来週ぐらい出発だな」
「了解しました」
「連れて行くのは、エリスとレイ、フィーリアも連れて行かないとな。そうなるとクロエにクロナもか。申し訳ないが、エイリーンとエアリスには領地を頼む」
「仕方ないな。領地は任せて」
ん? 話についていけていない。
「父上。どちらに向かうのでしょうか?」
「そんなの王都に決まっているじゃないか。今回の帝国の介入は王様に話しておかないといけない。それにレイも付いて来てもらう」
「……私も王様に会うのでしょうか?」
「もちろん。転移の魔法陣を見てオークたちを殲滅したお前が行かずに誰が行くと言うのだ」
そう言いながら苦笑いするジーク。まじか〜。王都は楽しみだけど王様に会うのはな……
「あ、あと王都にいるエリザベートにも会うから楽しみにしとけよ、レイ。お前の兄もいるからな」
そう言って出て行ってしまった。そういえば俺には兄がいたな。俺が生まれてから一度しか領地に来ていないから忘れていた。
こうして王都に行く事が決まってしまった。




