13.ステータス上昇、そして契約☆
「はぁ、はぁ、くそっ!」
俺は迫り来る剣を避ける。
「雷魔法ライトニング身体付与2重発動、武器付与発動!」
これでスピードはほぼ互角のはず!
「ほう! それが魔法の重ね掛けか! なかなかのスピードじゃないか! なら私も、火魔法ヒートバーン武器付与」
うお! 先生まで武器付与をしてきた。しかも称号の所為でさっきまで均衡だったのが押され始めた!
「くっ!」
俺は何とか槍を振るうが剣で流されてしまう。仕方がないので俺は奥の手を使った。
「これでどうだ!」
そう言った瞬間光魔法のライトを先生の眼の前で使った。もちろん先生はビックリして目をつぶってしまう。
俺はその隙を狙い槍で薙ぎ払った。だけど先生は既にいなかった。いったいどこに? 辺りを探しても何処にもいない。そう考えていると、上から影が落ちてくる。もちろんそれが先生だ。俺は避ける暇もなく先生の踵落としを頭にくらった。
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「レイ、まだまだ甘いな。魔法やステータスにばかり頼らずに技術も磨かなければな。まあ、まだ8歳のお前にはまだ早いかな?」
そう言って頭を撫でてくる先生。あっ、そこはコブが出来ているので出来れば触らないで欲しいのですが……ちょっ、痛! そんなグリグリしな、痛いって!
さすがに我慢できなくなったので身体強化を発動して避ける。それを先生は見て笑っていた。この人は全く……
俺と先生は昨日の約束通り、朝から訓練をしていた。いつもならエアリスと手合わせをするのだが、今日は見学をしている。理由はわからないが今は剣を触りたくないらしい。先生は理由がわかっているのか何も言わない。
「しかし、レイ。付与の重ね掛けをしなくても、以前に比べてかなり速くなったな。これが例の称号の力なのか?」
そう、昨日起きてからステータスを見てみるとかなり変わっていたことに驚いた。これは多分『困難に見舞われし者』の効果だと直感的に感じた。そのステータスがこれだ。
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レイヴェルト・ランウォーカー 8歳 男 レベルー
職業:生徒(卒業見込み)
体力:1230
魔力:2060
筋力:1010
敏捷:1780
物耐:740
魔耐:620
称号:女神アステルの観察対象 限界なき者 困難に見舞われし者 天才魔法師 雷精霊に愛されし者 守り手 大行進を乗り越えし者
スキル:槍術レベル4 剣術レベル3 雷魔法レベル6 風魔法レベル4 水魔法レベル2 火魔法レベル1 土魔法レベル2 光魔法レベル2 闇魔法レベル2 生活魔法レベル3 頑強レベル4 身体強化レベル5 気配察知レベル3 魔力探知レベル2 礼儀作法レベル2 言語(大陸語)レベルー
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この前の大行進に使ったスキルと魔法が軒並み上がっている。数値も魔力が4倍ほどで敏捷が5倍近くなっている。それに新しい称号が増えた。
雷精霊に愛されし者:雷精霊に好意を持たれている者。契約すると雷魔法使用時に消費魔力を抑えてくれる。そしてレベルの一つ上の雷魔法を使うことも可能になる。契約した精霊は見ることができるようになる
これもまた凄いのが来たな。契約する事で一つ上の魔法が使えるとかとんでもないぞ。フィーリアに手伝ってもらおう。
「今日はここまでにしておこう。エアリス! 終わったからこっちに来たらどうだ?」
ニヤニヤしながらそう言う先生。なんでニヤニヤしているんだ?
そう言われたエアリスは俺の顔を見てから、猛ダッシュで去って行ってしまった……俺なんかしたかな?
「はぁ、あいつも素直になればいいのに。まあ、あの子が考えることだから何も言えないんだけどね。レイは今からどうするの?」
「俺は今からフィーリアのところに行こうと思います。父上のところに行くまでまだ時間があるし、雷精霊との契約をしてみようと思います」
「そうか。私は大行進の後処理の手伝いをしに行くわ。時間までには戻ってくるから」
「わかりました。お気をつけて」
そう言うと先生は手伝いに行った。
よし! まずはフィーリアを探そう。
確かこの時間帯は中庭にいたような気がする。
歩いて数分するとそこにはフィーリアとクロナが花冠を作っていた。
「お! 上手に出来てるじゃないか」
「あっ! お兄様! どうしたのですか!」
「レイ様! これ私が作ったんです!」
そう言って抱きついてくるフィーリアとクロナ。2人の頭を撫でてあげるとデレ〜とした表情になる。うん、可愛い。
「実はフィーリアに頼みがあって来たんだ」
「私に頼みですか? 何ですか?」
可愛らしくコテンっと首を傾けるフィーリア。それにつられて同じ方に首を傾けるクロナ。可愛いかったのでもう一度頭を撫でてあげよう。
「実は雷の精霊と仲良くできそうになってね。その手伝いをフィーリアにして貰いたいんだ」
「そうなんですか! 私と一緒になるんですね!」
そう言って喜ぶフィーリア。横では「レイ様と一緒。いいな〜」と落ち込んでいるクロナ。少しかわいそうになったのでたくさん撫でてあげる。そうすると表情が笑顔に戻った。
「わかりました! お手伝いします。お兄様と仲良くなりたがっている雷精霊さんは、え〜っと、あっ! お兄様の後ろにいます! 雷魔法を発動してみてください!」
そう言われたので雷魔法のボルトを発動。そうすると魔力が吸収されるのがわかった。これは精霊が吸っているのか?
「お兄様。精霊さんに名前をつけてあげてください!」
「名前を? 性別とかはわかるのか?」
「えっと、精霊さんに聞くと、精霊さんはこれといった形はないそうです。だから契約した人の思い一つでどちらにもなれるだそうです。うーん難しいです」
そう言って頭を抱えるフィーリア。
俺は名前を考えた。うーんとおれのセンスが問われるな。
「よし! 決めた! お前の名前はヒカリンだ!」
頭の事じゃないよ? この子の名前だよ。
そうすると眩い光を放ち始めた。そうして収まると現れたのは2頭身の女の子だった。
「ヒカリンとかダサいと思うんだけどマスター」
そして名前のダメ出し。これが俺が死ぬまで一緒に戦ってくれる事になるヒカリンとの出会いだった。
遅くなりましたが更新します!
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「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」