12.目が覚めて
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜???side〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は転移魔法より偵察から戻ってきた。ちっ! あの結果をクソジジイどもに報告しないといけないと思うとイライラするぜ。
俺はそう思いながらも扉をノックする。
「失礼します」
「おお! 戻ったか! それでどうなったのだ!?」
「残念ですが、計画は失敗に終わりました」
「なんだと! お前があの方法では必ず上手くいくと言うから以前の大行進が終えたときから王国側にばれんように、密偵を送り込み準備をしたというのに、それを簡単に失敗しましただと! ふざけてるのか貴様は!」
けっ! 準備したのは俺が中心だろが! 俺が提案した時はホイホイ釣られてきやがった癖に失敗した途端手のひらを返しやがって。
「そこまでにせよ」
「はっ! 皇帝よ、こやつの罰はどうなされますか?」
「のちほど命ずる。追って沙汰を待て」
「はっ!」
そう言って俺は部屋を出た。クソ野郎どもが。途中までは上手くいっていたんだ。だが、あのガキのせいで全てが狂った。なんだったんだあいつは? 数十体いたオークと、オークジェネラルを一撃で消し飛ばすほどの技。あの年であのレベル。今後あの領地を手に入れるためにはあいつの排除が優先だな。あのお方の邪魔にならなければいいが……
そう思いながら俺は暗闇の中へと消えていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜レイside〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
うーん、体が重たい。寝起きのせいか? でも体を動かす事が出来ない。金縛りか!? とかそんな事を思いながら目を覚ますと目の前には体が動かせない原因があった。
「むにゅ〜おにいしゃま〜」
「れいしゃま〜だいすき〜」
どんな夢見ているんだ! と聞きたくなるほどとてもいい表情で寝ているフィーリアとクロナが俺の上にいたからだ。
そして左側のベッドのそばには
「ううーん。レイ〜」
と寝言を言うエアリスがいた。しかも俺の手を握って。なんて言うか普段は剣を握っているから剣だこができているが、女の子特有の柔らかさが残っている。俺が握り返すとエアリスの顔が嬉しそうな顔になった気がした。その表情と柔らかさに思わずドキッとしてしまった。
「ダメだ! エアリスは半分とはいえ血の繋がった姉弟。そんな邪な目で見てはいけない!」
いきなり俺の中の天使がそう言いながら出てきた。
そこに
「前世の時の倫理観をこの世界に持ち込むんじゃねえよ! お前も調べて知ってるんだろ? この世界は血の繋がった家族とも結婚できることを!」と悪魔の俺が出てきた。
そうこの世界は余り勧められてはいないが家族でも結婚する事が出来る。その理由はやっぱりステータスがある。ステータスを赤の他人にどうしても知られたくない家は、異性の家族などと結婚するのだとか。
そんな俺の中の悪魔と天使がバトルしていると、扉をノックする音が聞こえた。
「レイ様、失礼します」
そう言いながらクロエが入ってきた。
「レイ様! 気がつかれましたか!」
ちょっ! そんな大声で言ったらみんなが
「ふぁ〜、お兄様? お兄様! やっと起きられましたね!」
「う〜ん。ん? あっ! レイ様だ! やっと起きた〜!」
そう言いながらフィーリアが飛び込んできた。遅れてクロナも。
「今日は仕方がないのでクロナにも半分分けてあげるのです! お兄様〜!」
「レイ様〜! 頭なでなでしてください〜! ずっと我慢していたんですよ〜!」
「ちょっと待て、クロエ。俺は何日寝ていたんだ?」
「2日ほどになります。医師によると極度の魔力欠乏による気絶と言っていましたので皆さんそんなに心配されていませんでした。どちらかというとエアリス様の方が怪我が酷かったですから。あっ! ちゃんと回復魔法で完治はしていますのでご安心を」
それは良かった。俺はフィーリアとクロナの頭を撫でながら気絶していた時のことをクロエに聞いた。
「レイ様がエイリーン様に背負われて屋敷に戻った頃に大行進が終わった鐘が鳴り響きました。今回の大行進は今までの歴史の中で一番早く終わったそうです。そのことでもジーク様が話したい事があると仰っていましたので今からお呼びしようと思うのですが大丈夫ですか?」
「ああ。大丈夫だ。フィーリア、クロナ、ごめんな。今から父上と大事なお話があるからクロエと一緒に外で遊んでもらえるか?」
「えーー! そんなぁ! やっとお兄様に構ってもらえると思ったのにぃ」
「うぅ〜レイしゃま〜」
ちょっと! そんな涙目で見ないでくれ! 物凄い罪悪感に苛まれる。
「今度街に出て買い物をしよう! 2人と遊ぶ時間を作るから許してくれ!」
「絶対ですよ! 絶対の絶対ですよ!」
「よろしくお願いします! レイ様!」
元気になったのは良いが変わりすぎだろ。
そうして3人が出て行くと同時にジークとエリス、エイリーンが入ってきた。
「起きたか、レイ」
「はい。ご心配おかけいたしました」
「領主として言うならば、民を守ってくれて助かったと言いたいとこだが、父親としてなら無理をするんじゃない馬鹿者! っと言いたい部分とよくやった! さすが俺の息子だ! と褒めてやりたいので半々といったところだ」
そう言いながら苦笑いをするジーク。
「もう! 父親なら叱る時はちゃんと叱らないと! レイ、もうあんな無茶したらダメなんだからね! あれ以上魔力が枯渇していたら、生死に関わっていたんだから!」
やっぱり最後の攻撃魔法の付与が不味かったか。
「はは、これからは気をつけます」
そういうと、エリスに睨まれた。保証はできないから仕方ない。
「まあ、良いじゃないか。領地の危機は去ったんだし」
「それはそうだけど、こういう事はちゃんと言っておかないとまた同じことを繰り返すわ!」
「確かに、私も今回の話を聞いてエアリスに怒ったからな。その気持ちはわかるが、レイはまだ病み上がりだ。今日はここまでにしてやろう」
おお! さすが先生! わかってらっしゃる!
「まあ、明日の訓練は今までの倍になるがな。私にも見せてもらおう。付与魔法の重ね掛けとやらを」
うわっ! この人それが楽しみなだけだ! 物凄く良い笑顔をしている! 嵌められた!
「それもそうだな。ではレイ。明日今回の大行進について詳しく話そう。今日はもうゆっくりすると良い。エアリスもそのまま寝かしてあげなさい。レイの看病にずっと付きっ切りだっからな」
そうなのか。それは感謝しないと。
「ちゃんと休みなさいよ。お休みレイちゃん」
「お休みなさい、母上」
「明日は楽しみだなぁ、レイ?」
「は、はい。そうですね先生」
「しっかり休めよ」
「はい、父上」
みんなが出て行った後、俺は自分のステータスを見た。すると色々変わっていることに驚いてしまったのだった。
ステータスまでいけませんでした。次はステータスから始めたいとおもいます!
ご意見・ご感想、評価・ブックマークお待ちしております!
こちらもよろしくお願いします!http://ncode.syosetu.com/n5600dj/
「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」
訂正8月6日
兄弟同士などと結婚するのだとか。
⇨異性の家族同士などと結婚するのだとか。




