表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

128/350

116.家族

「やぁっ!」


「おっと」


 上段から振りかぶる剣を横へ逸らす。しかし、相手はそのまま下から掬い上げるように、剣を振り上げる。

 俺は後ろは下がる事で避けるが、相手はそのまま詰め寄ってくる。


「土魔法ロックショット」


「おお」


 その上相手は剣戟の合間に魔法を使ってくる。俺が剣で石飛礫を弾いている間に、横へ移動していた相手は鋭い突きを放つ。


 しかし、俺はそれを体を横へ逸らして避け、剣を持つ手を掴み投げる。相手は抵抗する間もなく地面へ転がる。そこで俺が剣を喉元へ突きつけ終わりだ。


「くっそ、また負けたぁ!」


「はは、残念だったロイ。だけど魔法を剣戟の合間に入れるのは良かったぞ。ただ、少し魔法に集中し過ぎて隙が出来ていたな」


「わかったぜ! 次からは気をつける!」


 朝から元気だなぁ。ロイは素直に駄目なところを受け入れて直してくれるし、その上覚えるのが早いしと、師匠としては有難いな。


『結びし者たち』のおかげか元々の素質なのかはわからないけど、日に日に動きが良くなっていく。教えるのが楽しくなる。師匠もこんな気持ちで教えているのかな?


 そんな事を思いながらロイへタオルを渡してあげていると、家の扉が開き、タタタッ! と誰かが走ってきて俺へダイブしてくる。俺はしっかり受け止めてあげると、その子は顔を上げて笑ってくる。


「えへへ〜、お兄ちゃんご飯できたよ!」


「ああ、ありがとなメイちゃん」


 俺は抱きついてきた少女、メイちゃんの頭をお礼に撫でてあげると、お腹へ頭をグリグリと擦り付けてくる。甘えてくるフェリスみたいだな。


 昨日アレクシアたちとの婚約が発表されたけど、特段急いでする事もなく家に帰ってきたのだが、こういう日常がやっぱり落ち着くな。


「ああっ! ズルいぞメイ! 兄貴に構ってもらって! 今は俺の修行中だ!」


「ロイくん、もう朝ご飯の時間だからロイくん時間は終わりだもん!」


 2人は睨み合ってグルルッ! と威嚇し合っている。そんな事で喧嘩するなよ。普段は仲が良いのになんで俺が絡むと喧嘩するんだよ。……なんかデジャブ。


「ほら2人とも喧嘩してないで中へ入ろう。俺もお腹減ったよ」


 俺がそういうと、メイちゃんは笑顔で俺の手を引いてくれて、ロイは先に扉のところへ移動して、扉を開けて待っていてくれる。……いや、そこまでしなくてもいいかな?


 メイちゃんに今日は私も作ったとか、ロイがどうしたら速くなるかとか、話をしながらリビングに行くと、そこには


「あっ、レイさん、おはようございます!」


 笑顔で微笑んでくれるプリシアが、食事の準備をしてくれていた。今までは担当を交代でやっていたのだが、プリシアは学校も行かず、家にいるだけだからみんなの家事は全部やると言うのだ。


 孤児院にいた時もやっていたらしく、その時に比べたら量も少ないので楽と言うので、やって貰うことにした。いざとなれば手伝えば良いし。


「キュ〜ル〜ル〜」


 そこへ2階から飛んで来たエクラが、俺の席へ飛んでいき寝転ぶ。その上そこで寝てしまった。なんで俺の席がわかったのだろうか? 俺は席まで行きエクラを抱き抱える。


「ほら、エクラ。ご飯だぞ。そろそろ起きろよ」


「キュン」


 俺が抱き抱えてあげると、頭を擦り付けてくる。少し目を覚ましたようだ。なので俺がエクラ専用の机、(俺の側に使っていなかった小型の机を置いただけだけ)に移動させる。その机にプリシアが食事を置いてくれて、エクラは器用に食べていく。


 そこにちょうど2階からフェリスとエアリスが降りてくる。2人とも制服に着替えている。俺はロイの訓練前に着替えておいた。


「ふぁ〜、おはようレイ」


「おはようレイ。プリシアもご飯ありがとうね」


 みんなが席についたので、挨拶をしてから朝ご飯を食べる。アレクシアとヘレンは今週は実家で過ごして、来週からこの家に来るそうだ。


 アレクシアもヘレンも王宮とか実家の屋敷の方が広いので、そこから通った方が良いと思うのだが、2人とも俺から離れたくないと言うので俺も了承した。キャロもその間はアレクシアのところでお世話になってから一緒に来るらしい。


 俺はみんなを見回す。プリシアの料理を美味しそうに食べるフェリスとエアリス。嫌いな野菜があったのでそれをメイちゃんのお皿へ入れようとしてメイちゃんと喧嘩をするロイ。好き嫌いするロイを叱るプリシア。我関せずと黙々と食べるエクラ。ほっぺにソースついてるぞ。


 王様に貰った当初は、1人では広いと思っていたこの家だが、日に日に人が増えていき、まさか狭く感じる日が来るとは思わなかった。


 夜とかはアレクシアやヘレンが来てくれたが、朝とかは寂しかったのに、エアリスが増え、フェリスが増えていき、今ではこんなに明るい朝になった。


 実家とは別にはなるが、俺にはかけがえのない家族だ。そんな風にみんなを見て笑っていると


「何笑っているのよ、レイ?」


 怪訝そうな顔で尋ねてくるエアリス。すると美味しそうに食べていたフェリスや、喧嘩をしていたロイたちにエクラまでも俺を見てくる。そんなに見られても。


「いや、ただ明るい家になったなと」


 俺は頭をかきながらそう言う。ここにアレクシアとヘレン、そして家にいるクロナが加わるともっと明るく楽しくなるだろう。みんなが集まるのが楽しみだな。

デートは必須ですよね。あとは何を書こうか。


評価等よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ