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11.雷撃の滅槍

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜エアリスside〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 私は今、街の中央にやって来た。そこには、100体近くのオークの大群が、住民たちを襲っている光景があった。ここにはもちろん来たことがある。街の中央なだけあってとても賑やかだった街並みが今では赤く血塗られている。住民が並んで買っていた屋台も、恋人たちが隣り合わせで座っていた長椅子も、子供たちが水を掛け合い楽しそうに遊んでいた噴水も、全てが壊されている。それを見た私は、いつもお母様が言っていた「どんな時でも冷静に判断しろ」というのを忘れてしまっていた。


「はぁあああ!」


 私は一番近くにいたオーク目掛けて、剣を振り下ろす。


「ブゥオオオオー」


 その事に気づかなかったオークをそのまま切り殺した。初めて生き物を殺したが、いまはそんな事を考える暇はない。とにかく数を減らして住民を逃さないと!


「こっちを見なさい! オークども!」


 大声で叫ぶと、近くにいたオークの注意をひく事ができた。


 そして私は近くにいたオークから順に斬り伏せていく。囲まれないように気を付けながら切っていく。だけど切っても切っても数が減ったようには思えなかった。


「くっ!」


 後ろからオークが棍棒を振り下ろした。私は、オークの棍棒をかろうじて避ける。しかし数が多過ぎて、このままでは体力が持たない。そんな事を考えていたら奥から一際大きなオークがやって来た。他のオークに比べて立派な鎧を着て、かなり巨大な剣を持っている。


「これがオークジェネラル……」


 私は初めて見たオークジェネラルに体が動かなかった。他のオークとは比べ物にならないくらいの威圧感。このままではやばいと思った瞬間、オークジェネラルは剣を振り下ろした。


「ブモオオオー!」


 私は身体強化を最大にし何とか剣で受ける事ができたが、その代償は大きかった。私の剣は根元から折れ、私の腕も折れてしまい私は吹き飛んで行った。


 壁に激突した私は頭がふらつくのを我慢し、何とか立ち上がったが、すでに目の前にはオークジェネラルが立っていた。


 私は称号に『剣の申し子』という才能を持ち、努力もしてきたつもりだった。だけど、この魔物には全く太刀打ちできなかった。これが父上が言っていた経験が無いということだろうか。


 既にオークジェネラルは剣を振り下ろす形になっていた。しかし私は立つ事がやっとでもう動くことが出来ない。


 もうダメだ、と諦めていると、突然声が聞こえてきた。


「諦めるんじゃねえよ!」


 そして、その者はオークジェネラルに突撃していった。オークジェネラルはそれに何とか気づき、剣で受けたが耐えきれず先ほどの私みたいに吹き飛んだ。


 そして現れたのは、雷を纏っている弟だった。

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜レイside〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 ふう〜危なかった〜! 後もう少し遅かったらエアリスは死んでいたな。


「大丈夫ですか、姉上?」


「……」


 ん? 反応が無い。怪我がひどいのか? 腕が骨折してるのはわかるが。


「姉上! 大丈夫ですか!? 返事して下さい!」


「な……で……よ……」


「えっ?」


「何でここに来たのよ!」


 おっと! いきなり怒られてしまった。


「あなたは、模擬戦で毎回私に負けるほどの実力じゃない! それなのにどうしてここに来たのよ! 私でもオークジェネラルには太刀打ちできなかった……あなたに太刀打ちできる相手じゃ無いのよ!」


「いや、でも今吹き飛ばしたでしょ?」


「そんなの不意打ちで入ったマグレじゃない! 今、倒れているうちに逃げなさい! そしてお父様か、エリス様、お母様でもいいから呼んできなさい!」


「姉上はどうするおつもりで?」


「私はここで、あいつの注意を引くわ。ケガをしていてもそれくらい出来るわ!」


 はぁ〜、なんかものすごくイラってきた。この姉さんはまったく。だから俺は


「だからレイははや、いひゃい! れひ、いひゃい!」


 思いっきり両頬をつねってやった。


「全く、バカ言ってんじゃねえよ! 大切な姉置いて逃げる訳にはいかねぇたろ! 黙ってそこで見てろ!」


 そう言うとエアリスは泣いてしまった。


「でも、私じゃ、ヒック、どうにもでぎなぐで。それなのに私より弱い弟にまがぜるわけいかないじゃない」


「1人で抱え込みすぎなんだよ。1人じゃダメなら協力し合えば良いじゃないか。まあ、今回はそこで安静だからな」


「でも!」


「でもじゃない。はあ〜俺も本気を出しますか。これやると体が動かなくなるし魔力が一気に持っていかれるから嫌なんだよな〜」


「レイ? いったい何を言って……」


「見といて下さいよ、姉上。これが俺の本当の戦い方です」


 そう言って俺は魔法を発動した。


「身体強化最大発動。ライトニングエンチャント身体付与2重発動と武器付与2重発動。スピードエンチャント2重発動。良し、こんなものか」


「な、何よそれ。魔法は基本一つしか使え無いはずじゃあ」


「忘れていますね姉上。俺には称号に『天才魔法師』があるんですよ。だから魔法が複数同時発動できる」


 そう、俺が考えた技は身体の能力や武器に属性を付与する付与魔法の重ね掛けだ。これをしたら数値はどうなるか確認したら何と、元の数値×付与した魔法の数値×付与した魔法の数値=強化した数値になった! 俺の今の魔力じゃあこれが限界だけど、これがあればある程度は太刀打ちできる。


 そうこうしているうちに、オークジェネラルが立ち上がった。強化した槍で吹き飛ばしたのに結構頑丈だな。


「姉上は下がってろ」


 そう言って俺はオークジェネラルに突撃した。


 オークジェネラルは俺の強化したスピードについてこれずに、すぐに体中血塗れになる。しかし防御力が高いのか決定打に繋がらない。あの技まですると流石に体が動かなくなってしまう。どうしよう……


「ブモオオオー!」


 そう考えているとオークジェネラルが雄叫びをあげた。そうすると周りにいたオークたちが集まってきた。これはやばいな。囲まれて動けなくなったところを殺すつもりか。


 姉上の方を見てみるととても不安そうな顔をしている。はぁ、そんな顔は見たくないな。仕方ない、腹をくくるか。


 そうして俺は今まで以上に魔力を解放した。


「雷魔法ライトニングボルテックス武器付与!」


 俺が今最大の雷魔法ライトニングボルテックスを俺の武器付与により強化した槍に重ねて付与する。これをしたら槍がぶっ壊れるけど仕方ない。周りを一蹴するにはこれしか無いからな。


 そうして付与した槍は青白の眩い光を放つ。それを見たオークたちは足を止める。


「いくぜ! 俺が今出せる最大の技だ!」


 そして俺は全方位に槍を薙ぎ払う!


 「はぁあああ! 雷撃の滅槍(タケミカヅチ)!」


 とんでも無い轟音を響かせ眩い光で辺り一面を白一色にする。


 そうして光が収まると、辺りは真っ黒なっており、オークは一体も残っておらず、肉片すらも焦がしたようだ。


 そしてエアリスの方を向いて俺は


「ほらな! 勝てただろ?」


 笑顔でそう言ってやった。そしたらエアリスは物凄いスピードでこっちに突っ込んで抱きつかれた。


「もう! レイの馬鹿! 心配したんだから! 物凄く心配したんだから〜! うぇええええん!」


 そう言って泣いてしまった。やばいどうしよう。エアリスが泣いたことにも困ったが、俺自身魔力がもう無いから起きているのもやっとなのだが……


 そうこう考えているうちに兵士たちがやってきた。中には先生もいる。外は大丈夫なのかとか考える事はあるが、もう無理だ。もたない。


 先生が来たことに安心した俺はそのまま気を失ってしまった。

なんか呆気なく倒してしまいました。

戦闘シーンは難しいですね。

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「召喚された勇者に婚約者を取られた男は、魔王として彼らを見返す!」

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