1.暗闇の中で
初投稿になります。よろしくお願いします。
気が付けば暗闇の中だった。
四方八方何もなく、ただ暗闇が続くだけ。
上下左右もわからないまま周りを見ていると、
「気がつかれましたか? 桂木 隼人さん」と、綺麗な女性の声が聞こえてきた。
声の聞こえた方を見てみると、そこには見たことの無いような美女が立っていた。
「いや〜、美女なんてありがとうごさいます! ここに来られた皆さんそう言ってくださるのでとても嬉しいです! やっぱりこれがあるから転生神は辞められませんね! 他の神なんてみんな美男美女だから見慣れてるのか、滅多に私の事褒めてくれないんですよね〜」
とても綺麗だと思っていたら、物凄い勢いで喋り始めた。少し残念な人だと思ってしまった。
「誰が残念な人ですか! 最近他の魂もここに来たら普通の人だと褒めてくれますが、ラノベやらアニメが好きな方だと『チートくれ‼︎』とか、『モテモテにしろ‼︎』とかそういうのばかりだったのですぐに転生させて話したりしなかったんですよね。他の神達も遊びに来てくれませんし...…」
この女神は残念な人じゃなくて寂しい人だった。
「寂しい言うな〜! ただ少し遊びに来てくれる人が少ないだけです! 全然寂しくありません!」
なんかこの人可哀想に思えてきた...あれ?
さっきから俺の思った事に対して返事が返ってきているような。
「女神様。もしかしてさっきから俺の心を読んでいませんか?」
「気付きましたか。先ほどからあなたの心を読ませていただきました。今までの方なら『転生キター!』とか『チートはよ!』とかばかりなのでしたが、あなたは本当に私の事が綺麗としか思っていませんね」
だって本当に綺麗だし。金髪碧眼に整った顔。体はモデル体型ですらっとした足。しかも、とてもきわどい服装をしているから目のやり場に困る。
「ふふふ! ありがとうごさいます! では、これからの話を始めましょう」
これからの話?
そういえば、さっきから転生がどうのこうの言っていたな。
「その通りです。何故あなたがここにいるか覚えていますか?」
俺の最後の記憶といえば、そういえば学校が終わり雨の中、帰宅している途中だったのを覚えている。そのあとは...そうだ! 交差点のところを渡り終えたときに女性の悲鳴が聞こえ、振り返ってみると、猛スピードで走ってくる車が、女性に向かって突っ込んでいくのを見て俺はとっさに動いてその女性を押し出し、代わりに俺が
「そうだ! 女性の代わりに俺が車に轢かれたんだ」
「その通りです。あなたはあの事故で即死でした。なので死後魂だけとなり、この場所までやってきました」
そうか。俺は死んでしまったのか。俺の部屋に隠している秘蔵のコレクションとかどうなるのだろう? 母親や妹に見つかると大変な事になってしまう。
「隼人さんの秘蔵のコレクションでしたら妹さんが見つけていましたよ。そっこう焼却していましたが」
マジかよ……俺が一生懸命集めたコレクションを。
「まあ、ドンマイ! ということで話を進めてもよろしいでしょうか?」
「えらい軽いなオイ!」
「だってそういう方はたくさん見てきていますもん。慣れちゃいました。テヘ!」
「テヘ!」ってこの女神。最初の神々しさがなくなってイラっとしてきたぞ。
「まあまあ、落ち着いてください。今後の話をしましょう」
「今後の話って転生するって話だっけ?」
「はい、その通りです。すべての魂は肉体が無くなるとここに来るようになっています。そこで私がその方の亡くなるまでの人生を見て判断し、転生させます」
「その判断基準というのは?」
「いろいろ基準はありますが、やっぱり一番の基準となるのは生前の善悪が基準となります。前世で善行を行っていた方は、次の生では王様とかになったりしますし。悪行しか行っていなかった方は、人間になれないかもしれませんし」
何その差は。
「まあ、これは極端な例になるんですけどね。悪行ばかり行っていても、人間に転生している人もいますから。大抵は±0ってことで平民か奴隷になります。まあ、これも個人差がありますので参考としてください」
今重要なことサラッと言ったぞ、この女神。
「おい! 奴隷ってなんだよ⁉︎」
「ああ、そういえば隼人さんの住んでいた日本では奴隷がいなかったのでしたね。次に転生していただく世界にはどの国にも、奴隷制度があります。だから、捕まって売られたりすると奴隷になってしまうので気を付けてくださいね」
この女神、笑顔で言いやがったよ。
「でも、今俺にその話をしたって転生したら記憶とかなくなってしまうんじゃないか?」
「隼人さんはかなりの善行を行った事になっていますので記憶を残したまま転生する事が可能です。善行は、私がこの仕事についてからTOP10に入りますよ。ちなみに、TOP10に入るような人たちは、次の世界では王様とか英雄とか歴史に残るような偉業を達成したりする方が多いですね」
「えっ? 俺普通の学生だったんだけど?」
「あなたが助けた女性なんですが、あなたの亡くなった後に、とても感謝をしていまして、それが善行の増える結果となりました」
「それだけで善行って増えたりするものなのか?」
「普通ではそんなに増えません。それだけその女性の感謝の仕方が凄かったからです」
「そんなに凄かったのか?」
「知りたいですか?」
「えっ?」
「本当に知りたいですか?」
ちょっ、女神顔近い!
「い。いえ! 大丈夫です!」
あまりの迫力にビビってしまった。
「そうですか。では話を進めましょう」
さっきまでの女神に戻った。なんだったんだ。さっきの凄みは?
「えーと、記憶を残すがどうするかだったよな。じゃあ残すで」
「わかりました。記憶は残して転生するということで。記憶を残してという事で、あなたに耳寄りな情報を一つ」
なんだ? 耳寄りな情報って?
「あなたの才能を見たところ中の中でしたので、『努力をすればするほど成長する』という能力を差し上げましたので頑張ってくださいね! あと直ぐに言葉を聞ける様になる能力も差し上げましたから!」
なんかとても重要な事をめっちゃ良い笑顔で言いやがった。
「ちょっ! それどういう...」
俺が言い終わる前に、周りが光り出して辺り一面真っ白になった。
「では、新しい人生を!」
こうして、俺の新しい人生が始まった。
追記
「あなたの才能を見たところ中の中でしたので、『努力をすればするほど成長する』という能力を差し上げましたので頑張ってくださいね!」
↓
「あなたの才能を見たところ中の中でしたので、『努力をすればするほど成長する』という能力を差し上げましたので頑張ってくださいね! あと直ぐに言葉を聞ける様になる能力も差し上げましから!」